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冷静さを欠いた映画レビュー

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冷静さのかけらもない、感情にまかせた映画レビューをちょいちょい書いています。
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#映画感想

リタ・モレノの「どこか」は遠く --- 映画「ウエスト・サイド・ストーリー」レビュー ネタバレあり

実はもう何ヶ月も前に観に行った映画なのですが、原稿を下書きのまま保存しておいたら、その間に世界がガラリと変わってしまい、書きたいことが全く変わってしまったので一から書き直しています。 今の今まで書くことができなかった理由を自分なりに考えてみたのですが、結局僕はこの映画が好きではなかったのだと思います。低評価、というより好きになれなかったということです。 私はロバート・ワイズのウエスト・サイド物語を見てミュージカルの魅力に取り憑かれて以来、劇団四季の公演も何度も見ているし、

そこには愛しかない。---映画 「トップガン・マーヴェリック」レビュー ネタバレほぼなし

あらためて、トップガン・マーヴェリックについて書きます。 元々僕は86年のトップガンには全くハマらなかったタイプです。まあトムキャットはそれなりにカッコ良かったものの、どう見てもトム・クルーズのアイドル映画だし、とにかく女といちゃいちゃしている時間が長かったという印象しかなく、Take My Breath Away がかかるとは未だにスピードワゴン井戸田の「アマーーーーい!」という声が聞こえて来ます。 まあそんな評価ですから、正直トム・クルーズがトップガンにそれほどの思い

良すぎ。---映画 トップガン・マーヴェリック 感想第一報

後ほど改めてちゃんと書こうと思いますが、とにかくトップガン・マーヴェリックの出来が素晴らしいです。正直ウルトラマン観てる場合じゃない。なるべく大きな画面で、良い音響の劇場で観られるうちに。急いで、考えちゃダメ!!!!!

映画「シン・ウルトラマン」at イオンシネマ海老名第7スクリーン レビュー 追記あり

上映前 さて、今日からシン・ウルトラマンの公開ということでイオンシネマ海老名まで。普通に考えればIMAXで見るべきなんだろうけど、今回は一般スクリーン。音響はTHXサウンドシステムだけど、おそらくそれ用のチューニングはされていないはず。この劇場で以前見た「この世界の片隅に」の音響は確かになかなかのものだったけど。ちなみに私は主戦場をTOHOシネマズからイオンシネマに変えた。TOHOが夫婦50割を廃止したからだ。イオンシネマの場合、特定のイオンカードを持っていれば年間30本を

劇団ひとりのたけし愛が強すぎる --- NETFRIX「浅草キッド」レビュー

本作について語っている劇団ひとり自身も吐露しているように、彼は器用で、頭が良くて、優しいのだろうと思う。そしてたけし愛が強すぎるのだろう、本作は美しすぎるなあというのが最初の感想でした。 あれだけ心酔した師匠と袂を分かち漫才を選ぶということはとても非情な決断なわけだし、師匠を捨ててでも成り上がろうとするたけしのギラギラした部分や、その衝動に火を付けるような何かガツンとした出来事があったはずなのですがそれが見えて来なかった。だからなんとなくフランス座に飽きたところをきよしに誘

『アメリカにとっての自由とは、偽る自由だ。』--- NETFRIX ターニング・ポイント: 9・11と対テロ戦争 レビュー

僕はあまり海外の紛争とかに詳しいわけではないし、軍事や外交に特別興味があるわけでもない。でもさすがに近年アフガニスタンで起きた出来事については気になっていて、ちょいちょいネットの記事やtwitterなどで記事を探ってみたもののなかなか良い物に巡り会えなかった。なんといっても20年は長すぎる。しかもその間に起きた東日本大震災のおかげで記憶がブツ切れで、アルカイダ、タリバン、ISと個々のテロ組織の名前は知っていてもそれぞれの違いもわからなければそれぞれがアフガニスタンとどう関係し

もう、滅茶苦茶(笑) --- 映画「マトリックス・レザレクションズ」IMAX版 レビュー

初めてのIMAXレーザー、しかも2D!画面が美麗で見やすくて素晴らしい!コロナも落ち着いて久々にぎっしり入った映画館でしたけど、両隣に他人が座るってこんなに近かったんだなあとなんだか驚いてしまいました。 さて、マトリックスの続編であります。 私ちゃんと3部作劇場で見てるはずなんですが、全然覚えてない。「ネオ」「トリニティ」「モーフィアス」「エージェント・スミス」という名前はかろうじて覚えてるけど、そもそも何と戦っていたのかも思い出せない状態だったのですが、「まあ見ているうち

語り口に容赦なし! --- NETFRIX「地獄が呼んでいる」レビュー ネタバレあり

いまさら感は否めないのですが、それでも書かないわけにはいきません… 新感染-ファイナルエクスプレスを見て、この名前は覚えておこうと思ったのが、マ・ドンソクとヨン・サンホの二人でした。本作はそのヨン・サンホの新作ドラマということで、大変楽しみにしてました。そして先週末から2日間で一気に見てしまったわけですが、まあ期待を遥かに上回る大傑作でした。私は映画に限らず、ドラマだったり、小説だったり、漫画だったり、あらゆる物語を鑑賞するにあたって、テーマの芯にあたる部分で共感できれば細

そっち行かないで! --- 映画「LAST NIGHT in SOHO」レビュー ネタバレあり)

コロナ自粛のおかげですっかり配信メインになってしまっていましたが、本当に久しぶりの映画館です。カミさんが何やらネットで評判がいいと聴いたらしいので、それに付き合い本当になんの予備知識も無い状態で鑑賞。映画との出会い方としてはこれは理想的かもしれない。 英国の片田舎でファッションデザイナーに憧れる少女がロンドンの服飾学校の合格通知を受け取るまでの冒頭数分の出来が素晴らしく、開始10秒でバッチリ眼が覚めました。音楽、衣装、カメラワーク、完璧。主演のお嬢さんの身のこなし、表情、最

ドラマ「チェルノブイリ」を観て感じた映画のレーティングについて。

アマゾンプライムビデオにて、話題のドラマ「チェルノブイリ」をようやく観ることができました。実際の現場の様子、被害が広がっていく様子、放射能に蝕まれていく人体など、まあよくぞここまでリアルに再現したものだと感心しきりでした。 有名なチェルノブイリ原子力発電所爆発事故の話ですからネタバレもなにも無いわけですが、あらためてこうしてドラマを観ているとやっぱりこれは大した事故だったんだなあと改めて思います。日本からは遠すぎて、事の深刻さというのが伝わりきっていなかったのかもしれません

今、映画館で観る意味がある。 ー 映画「わたしは分断を許さない」レビュー ネタバレあり

新型コロナウイルスの猛威は一向に治まる気配が無く、全世界での死者は2万人を超えて感染者数に至っては50万人に迫る勢いだ。そのため世界中で都市封鎖、国境閉鎖が始まり、解除する見通しはまるで立っていない。新型コロナをネタになだぎ武で笑ったのが2月23日だったからわずか一ヶ月で世界がロックダウンしてしまったことになる。オリンピックは1年延期されたが、専門家の話ではワクチンができるまでは1年半から2年はかかるとのことだ。つまりその1〜2年の間、僕たちは物理的にズタズタに寸断された世界