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9時間目 大ピンチ 村民会議

このお話は100%フィクションです。
(1時間目から読んでみたい方はこちら

ここに、国から認められていない集落があった。

小さな島に築かれた、その村の名前は「うさん村

この村にタツオ学院という寺子屋を作った者がいた。

ここでは嘘つき学という学問を教えている。
この世の中が嘘で回っている事実を認め、正しく嘘と向き合うことにより、悪意のある嘘に騙し騙される事がないようにという教えである。

※前回、フィールドワークの場として街に繰り出したタツオとタツオ学院の生徒たちは、バナナ社で一人横綱コンピュータウィルス、夜黒龍の襲来に巻き込まれた。バナナ社の社員とシメノ・ダイフクがウィルス感染し狂ってしまったが、ヒモ男マルコス・ボーロの活躍によって救われた。夜黒龍は復讐を宣言しながらも姿を消した。前回のバナナ社編はこちら


それでは本編をどうぞ

いつもタツオ:「街でのフィールドワークもトラブルに見舞われて失敗に終わってしまった。こういう時は息抜きが必要じゃ、皆の衆!次の授業は自習にする。各自、好きな事を学びなさい。吾輩はちょっくらビーチに行ってくるわい♪」

イチモツ・コタロー:「おい、アイツは確実にナンパしに行ったな」

ウマミ・スー:「ダイフクを平気で見捨てたり、もう…我慢できないわ!」

シメノ・ダイフク:「…。」




※村役場まえ目安箱

イチモツ・コタロー:「ここにタツオ先生に対する訴状を投函する!」

シメノ・ダイフク:「ほ、本当に入れるの?ジローに相談しなくて大丈夫かな…」

イチモツ・コタロー:「ジローは先生側の人間だ。変に頭がキレるから、俺たちは何度も丸め込まれてきただろう」

ウマミ・スー:「そうね、その為に3人で来たんだから。最悪の場合に学院が取り潰しになったらモプコちゃんには悪いけど、もう我慢の限界よ!さあ、入れましょう!」


バサッ



一週間後

※村役場 中庭

皆の衆:「…。」



ザワザワッ

タンッタンッタンッ!

村長:「静粛に!これより、村民会議をはじめる。今日は大勢の村民が参加されておるので、会議室ではなく中庭で村民会議を行う。皆様、ご準備はよろしいですね」


村民共:「はーい」

村長:「本日の司会進行役を務めさせて頂く、村長のタナカ・シリゾウです。書記には私の秘書のシタ・タカ君を任命します」

シタ・タカ:「はい。書記を任されましたシタ・タカです。皆さま本日は宜しくお願い致します」

タナカ・シリゾウ:「本日の議題ですが、村役場まえに目安箱が設置されているのを皆さまご存知ですね?何か村での生活に困ったことがあれば、この箱に内容を書いて投函するという仕組みでしたね。先週、一通の訴状が投函されておりました。内容はシタ・タカ君、読み上げたまえ」

シタ・タカ:「はい、匿名での訴状です。うさん村にあるタツオ学院では、生徒にデタラメな嘘を教えている。そこの学院長の いつもタツオという奴はとにかく下世話な人物で、日々ナンパに明け暮れて性にだらしがなく、ここぞという時に教え子を簡単に見捨てる最低の男。学院の取り潰しか学院長の更迭を強く要望する。っと書かれておりました」

タナカ・シリゾウ:「う〜ん。これが本当であれば問題じゃな。村で数少ない教育機関がこれでは困る。では、本人に直接はなしを聞くことにするか。いつもタツオ!参れ!」

役人:「ほらっ!早く歩け。席に付かぬか」


いつもタツオ:「うぅ事実無根。何かの間違いじゃ。何で吾輩がこんな事に…」

タナカ・シリゾウ:「タツオよ、書状の内容は誠か?誠なら何故そのような蛮行に走ったかを申してみよ」

いつもタツオ:「いえ、その様な事実は一切ございません」

村女:「う、嘘よ!私、アイツに声かけられたことがあるわ!ねちっこいナンパ手法でしつこかったのを覚えているわ!」

いつもタツオ:「そ、それは貴女があまりにも美しかったから…つい。悪意は一切ありません!村長、信じてください」

タナカ・シリゾウ:「ナンパをすること自体は問題無いのだが、立場をわきまえねばならんぞ。それに、昨日お主の学院に事前アンケートを取ったところ、5人の内で3人が不服を申し立てている。これはどう言うことじゃ?」


いつもタツオ:「そ、そんなあ!まさかっ!吾輩は生徒諸君を信じておったのに…」

皆の衆:「…。」

タナカ・シリゾウ:「決まりじゃな。村民の皆様、よろしいですね。タツオ学院は取り潰しも視野に入れて一先ず閉院します。その間、いつもタツオ氏は留置場で生活してもらう!」

村民共:「異議なーし!」

シタ・タカ:「賛成多数の様ですね。これにて本日の村民会議を閉会とさせて頂きます。皆様、気を付けてお帰りください」

いつもタツオ:「ぶ、ぶるーたす。oh ジーザス…」

役人:「立て、早く歩かんか!」


※うさん警察署 留置場内

いつもタツオ:「ああ、吾輩はいつまで囚われの身となってしまうのか…」

拘留中の男:「おいっ!新入り。知ってるか?」

いつもタツオ:「お主は以前、留置場見学をした際に結婚詐欺で拘留されていた男じゃな。何か用か?」

拘留中の男:「数日前に村長が隠者討伐令(いんじゃ とうばつれい)を出したのを知っているか?」

いつもタツオ:「隠者討伐令じゃと?吾輩は何も聞いとらんぞ。隠者の森に思想家たちが住み着いているのは今に始まったことではないじゃろう。何故いまごろになって討伐令などを村長は出したんじゃ?」

拘留中の男:「その背景には、村長が怪しげな建物を隠者の森の奥深くに建て、そこに美女を住まわせているって噂だ。その発覚を防ぐために周囲に暮らす隠者を討伐しようって、とんでもない話さ。住処を奪われた、隠者の一人から話を聞いたんだ!」

いつもタツオ:「村長、いやタナカ先生はもはや別人になってしまわれた…。実は、タナカ先生は教育者として立派な方だったのだ、吾輩も教え子の一人で尊敬していたのに残念だ。このところ様子がおかしいとは聞いていたのじゃが、まさかそこまでとは…」

拘留中の男:「おそらく、俺にその事を教えてくれた隠者もキナ臭島に島流しになっているだろう。奴が口を破れば俺とて只では済まされないだろう。頼む!、俺たちを救ってくれ!」

刑務官:「おい!いつもタツオ!面会だ。速やかに部屋を出ろ」

ナメック・ジロー:「タツオ先生、一杯食わされましたね。まあ察してはおられるでしょうが、コタロー、スー、ダイフクの3名が先生を裏切り、目安箱に訴状を投函したようです」

いつもタツオ:「もうよいわ!確かにこの処の吾輩は調子に乗っておった。ジロー、お主にはいつも面倒をかけるのぉ」

ナメック・ジロー:「いえいえ、私はいっこうに構いませんが、奥様が心配しておりました。留置場から出てきたら必ず我が刃でお主の心臓を貫くと、そう伝えておいてくれと…」

いつもタツオ:「それ、心配とは言わんじゃろう…。それよりもジロー頼みがある。カクカクシカジカでこういう訳じゃ」

ナメック・ジロー:「なるほど、村長が隠者の森の奥にそんな物を。これは大逆転のチャンスですね。証拠を集めて村長をねじ伏せましょう。メザメノ・アカシさんなら何かを知っているかもしれません。一度、お会いしてきます」

いつもタツオ:「持つべきものは賢い教え子じゃ!どうか、気をつけるんじゃぞ。ゆけぇ!ジロー!!」


-ナレーション-

タツオ学院の生徒達はバラバラになってしまった…。

果たして、タツオは疑いを晴らし大逆転できるのであろうか…。そのカギはジローが握っている事に間違いはないであろう。

最後まで読んでくれてありがとう。このつづき10時間目はこちら

-つづく-

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