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10時間目 狂気の黒幕

このお話は100%フィクションです。
(1時間目から読んでみたい方はこちら

ここに、国から認められていない集落があった。

小さな島に築かれた、その村の名前は「うさん村

この村にタツオ学院という寺子屋を作った者がいた。

ここでは嘘つき学という学問を教えている。
この世の中が嘘で回っている事実を認め、正しく嘘と向き合うことにより、悪意のある嘘に騙し騙される事がないようにという教えである。


※前回、タツオ学院の生徒コタロー、スー、ダイフクの3人は、傍若無人な振る舞いを続ける院長のタツオに対して我慢の限界となり、村の目安箱に訴状を投函した。その結果、タツオは村民会議に掛けられて、学院は一時閉鎖となり、タツオは留置場に収監されてしまった。前回のあらすじはこちら


それでは本編をどうぞ


イチモツ・コタロー:「タツオの追い出しには成功したが、学院には新しい院長が来るのだろうか?」

ウマミ・スー:「きっとタナカ村長が良い先生を連れて来てくれるわよ」

シメノ・ダイフク:「閉院したままで、僕らの行く場所が無くなっちゃったりして」

ユカノ・モプコ:「…。」



ペイン・ポスギ:「よお!お前ら。死んだタチウオの様な口元をしやがって、何回かあったのか?」

シメノ・ダイフク:「それを言うなら死んだ魚の目でしょ、具体的すぎるんだよ。ポスギこそどうしたの?その大っきなトンカチ」

ペイン・ポスギ:「実はよ、村の掲示板にバイトの募集があってよ。流石のオレ様が応募すれば当然合格よ。んでもって、早速の仕事をしてきた訳だ」

イチモツ・コタロー:「ポスギが受かる仕事って事は、頭脳は使わないってことだな。で?何か壊してきたの?」

ペイン・ポスギ:「なんだお前ら知らないのか。タツオ学院を解体するように言われたんだ。タツオ先生、建て替えでもするんだろ?バッチリ仕事してきたぜ!」

ウマミ・スー:「まずいわ!行きましょう!」



タッタッタッ

皆の衆:「!!」



イチモツ・コタロー:「まさか、建物まで壊すとは…。明日から俺たち何処に行けばいい」





シタ・タカ:「こんにちは、皆さん。驚かせてしまったね」

ウマミ・スー:「あら、シタ・タカさん。私達まさか建物まで壊されちゃうなんて思ってもいなかったわ!」

シタ・タカ:「そうだよね、安心して下さい。役所に皆さんの学びの場を用意していますから、是非ともお役所仕事を通じて立派な村民になって頂きましょう。付いてきて」


ウマミ・スー:「やったー!お役所仕事なんてお父さんも喜ぶわ。シタ・タカさんありがとう♪」


ユカノ・モプコ:「アタシャ事務仕事なんて向いてねぇし、村の役に立つ人間には成れそうにねぇ。遠慮しとくっす」

シタ・タカ:「そうですか、残念ですね。そうしましたら、どんな事にご興味をお持ちかな?」

ユカノ・モプコ:「性格的にマイペースなんで…。あんましセカセカしてねぇとこで、絵でも描いてるのが好きっすね」

シタ・タカ:「わかりました。うさん美術館の名誉館長カモシカ・ポクサイ様に私の方から仕事の口を頼んでおきます。少しでも好きな事に携わった方がよろしいでしょう。今日はお家に帰宅して下さい。明日には、遣いの者が参るでしょう」


シタ・タカ:「では早速、仕事の手伝いでもして頂きますか。無理せずコツコツ覚えて行けば大丈夫ですから。あっ君!今日から3人の教育係をお願いする。大切な人材だ、しっかり頼むぞ」

教育係の役人:「しょ、承知しました。(無茶振りすんなー!)では、皆んな私の仕事の手伝いをして頂きましょう」

皆の衆:「よろしくお願いしまーす!」




※翌日

うさん美術館


ユカノ・モプコ:「シタ・タカさんからの紹介で来た、ユカノ・モプコっす」

カモシカ・ポクサイ:「おぅ。待っておったぞ!早速じゃが君には重要な任務を任せたい。付いてきなさい」

ユカノ・モプコ「え、アタシャ何にも出来ねぇっすよ」

カモシカ・ポクサイ:「何も出来なくていいんじゃ。これを見てくれ」

ユカノ・モプコ:「なんだか生々しい石像っすね」

カモシカ・ポクサイ:「これは、科学者メザメノ・アカシ君が西洋からの客人を招いた時に譲り受けた物だ。とてつもなく価値がある代物で、我が美術館に寄贈してくれたのだ」

ユカノ・モプコ:「ほう、それでこれをどうしろって話なんすか?」

カモシカ・ポクサイ:「最近、怪しげな連中が美術館の周りをウロついておるのだ。おそらく、この石像を狙っている。君には監視を頼みたい、そこにブザーがあるじゃろ。うさん警察署に直通のブザーじゃ、押せば周辺にいる署員が駆けつけてくれる仕組みじゃ。怪しい奴が近付いたら押せばいいのだ」

ユカノ・モプコ:「ただボタン押すだけなら出来そうだな。ちと恐っかねぇけど、事務仕事よりマシか。引き受けるっす」

カモシカ・ポクサイ:「村の宝を守ると思えば、人経費など安いもんじゃ。固く考えずに気楽にやってくれ」



※一方、村役場では

教育係の役人:「ふぅ、皆んな良く頑張ってくれているね。ここいらで休憩にしよう、1時間後にまた戻ってきてね」


皆の衆:「はーい」

シメノ・ダイフク:「少し役所の中を散策してみようよ」

ウマミ・スー:「そうね。私達ここに来てまだ何も知らないもの」

イチモツ・コタロー:「役所も別館が何ヶ所かあったな。あの一番奥の建物に行ってみようぜ」


※うさん村役場 別館屋上


シメノ・ダイフク:「こんな所に入っちゃまずいよ…」

イチモツ・コタロー:「大丈夫だよ。景色も良さそうだし屋上に出よう」

ウマミ・スー:「待って、誰かいるわ」







夜黒龍:「ボス、申し訳ねぇ。邪魔が入ったんだよ!俺のウィルスが効かない奴がいたんだ!」



シタ・タカ:「あっ?言い訳してんじゃねーぞ!テメー、恩を仇で返すとは何事だ。せっかくバカ村長を手なずけて万全の準備を整えたというのに…俺がお前を作り出したんだぞ。いつでも消せる事を忘れるな!しばらくの間、で〜ぶランニング内で力を蓄とけ。次は無いと思えよ…」

夜黒龍:「うへぇ。承知しました…次は必ず村ごと乗っ取ります。ではこれにて失礼」


シュッ


皆の衆:「!?」

イチモツ・コタロー:「シタ・タカさん!どう言うことだよ!何でバグ因子の夜黒龍と一緒にいるんだよ??」


シタ・タカ:「はっ!君たち何でこんな所に…」

ウマミ・スー:「夜黒龍を作ったってどう言う事なの!?」


シタ・タカ:「そうか、夜黒龍のことも知っているとは…。決定的な現場を見られては仕方がない。おい!!誰かいるか!」

役人:「お呼びでしょうか?」

シタ・タカ:「コヤツら3人は村の機密文書を盗もうとしていた。恐らく何処かの回し者、留置場にぶち込んでおけ!!」


イチモツ・コタロー:「待て!俺たちは何もしてないって!」



※うさん警察署 留置場内


いつもタツオ:「どうせ囚われの身ならば、獄中日記でも付けてみたいのぉ」



ギーッ

刑務官:「おい!お前ら速やかに部屋に入れ!」


バタンッ!


コタロー・ダイフク:「せ、先生!」



いつもタツオ:「諸君!どうしてここに?あの後どうなったか、心配しておったぞ!」

コタロー、ダイフク:「先生!ごめんなさい!!」

イチモツ・コタロー:「実はカクカクシカジカで…」

シメノ・ダイフク:「スーも女子部屋に拘留されてしまいました」



いつもタツオ:「何と!おのれ、シタ・タカめ!」

コタロー、ダイフク:「先生。許してください」

いつもタツオ:「もう良いわ、諸君は大切な事を学んだのぅ」

イチモツ・コタロー:「俺たち取り返しのつかない事を…」


いつもタツオ:「いや、まだ望みはある。隠者の森に向かったジローが上手いことやってくれれば良いのだが…。もう頼みの綱はジローしかおらんぞ」

-ナレーション-

遂に本性を現したシタ・タカ。このままでは人工知能「で〜ぶランニング」が夜黒龍の手に落ち、村ごと乗っ取られてしまうぞ!!

最後まで読んでくれてありがとう!

このつづき11時間目はこちら

-つづく-

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