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「チーム」という視点から見る「サービス力の低下」

前回「サービス力の低下」というキーワードについて、自分なりの自論を書かせていただきました。

前回は「上司、先輩たちが、愚痴を言うだけで解決策を生み出せない」という持論で話を進めていきました。

しかし、この「現場のサービス力の低下」の問題については、別の側面から見た問題点もあると私は考えているので、今回はそちらについて深掘りしていこうと思います。

チームが抱える「サービス力の低下」の問題

まず前提として、私がよく相談を受けているのは、主に婚礼サービスに関わる方々からです。
私自身もアルバイトとして、接客サービスの仕事を始めてから、最終的には店舗でのサービス部門の責任者まで任せていただいた経験があります。
(私がどういう風にして接客サービスにハマっていったのかの話もいずれ書かないとですね…)
その経験を元に相談を受けていた中での気付きの為、今回の問題には、個人の技術も関連はしていますが、どちらかと言えば、一つのサービスチームとしての問題が大きいと捉えています。

サービスチームとしての問題としてこの問題を捉えると、見えてくるのが、

  1. チームとしてのコンセプト、方向性が統一されていない。

  2. チームとして、スタッフへの「教える力」がない。または、意識が低い。

この2つの原因が大きいのではないかと私は考えています。
順番に詳しく考えていきます。

①チームとしてのコンセプト、方向性が統一されていない。

指揮官が全体の方向性を修正することができない

接客サービスを個人で行う時はもちろん、チームとしてもゲストに対応する際にその店舗のコンセプトに合った、対応の仕方、対応する際の判断基準、設備やオペレーションに合わせた動き方を統一していく必要があります。

それは、マニュアルを見れば解決するという簡単な問題ではありません。個人によって理解度は変わりますし、状況によっても判断基準などは変わってきたりします。
そういったチームの大枠を設定して、全員を同じ方向に導くのが、サービス部門のトップに立つ、マネージャークラスの人間です。

これは、自分の実体験も含めてなのですが、マネージャーの仕事は多岐にわたります。マネージャー自身が多くの仕事を抱えているために、現場の状態をその都度確認するという業務が難しくなります。全体の方向性を司る指揮官がチームの状況を把握できていなければ、チームが最大限のパフォーマンスを発揮することは厳しくなってきます。

リーダー達の独自の解釈がさらなる混乱を生む

しかし、この状態を緩和させる方法はあります。
それは、マネージャーに近いスタッフとチームの方向性について、しっかりと話し合っておくことです。
こうすることで、実際に現場で指揮をするのはそのスタッフ達なので、彼らがチームの方向性を理解しておけば、チームはマネージャーが細かく手を加えなくても理想の方向性に持っていくことができます。

ただ、残念なことに、この話し合いも十分に行われていない現場が多いように感じます。
その理由が、②のスタッフへの「教える力」がないに繋がっていきます。

②チームとして、スタッフへの「教える力」がない。または、その意識が低い。

その日のリーダーでサービスの色が変わるチーム

チームのトップのマネージャーが全体の方向性を把握できておらず、その近くにいる現場のリーダーとして振る舞うスタッフにもチームの方向性がきちんと伝わっていない状態。

こういった状態で起こることが、リーダー達が各々でチームの方向性を独自に解釈して、その解釈に伴いチームを動かしていくようになります。

つまり、指示を受けるスタッフからすれば「AさんとBさんの言っていることが違う。」という現象が起こる為、リーダーによってやり方を変えていく必要性に迫られ、チームとしての統一感がなくなっていきます。

この状態こそが、前回も書いた指示をする人間は「部下の動きが悪い」と愚痴を言い、指示を受ける側の人間は「もっとちゃんとした指示をくれ」という二分化の状態になります。

「教える力」の不足

このような状態のチームにおいて、さらに問題を悪化させているのが、先輩達の「教える力」の不足です。
ここで言う先輩とは、自分よりもそのチームでのサービス経験が長い人のこと全般を指しています。
新人スタッフから見れば、全員。3ヶ月のスタッフから見れば、4か月以上のスタッフ…と捉えていただければと思います。もちろんこれには、責任者のマネージャーも含まれます。

「人に意思を100%伝える」ということはとても難しいことです。
ましてや、それを理解してもらい、行動に移してもらうとなると、さらに難しさを増します。

「教育」というものは、その道のプロがいるくらい難しいものです。
その難しいものを、学習し、改善せずに「出来ないあいつが悪い」で終わらせる先輩達を私は数多く目にしてきました。

サービス業界は、悲しいことに、人の入れ替わりも激しくなっています。
そんな中で、チームの中で指示を出す人達が「人を育てる難しさ」を軽視し、自らの「教える力」を育てていない人が多くなっています。

そもそも、そのチームの文化や伝統の中に「教える力」が代々伝わっていれば問題がないのですが、元々そういった文化がはぐくまれていなかったり、人の入れ替わりが激しく、それを教わらずに人に指示を出すポジションに付いてしまったという状況が今の状態を生んでいることが多いようです。

チームで積み上げてきた「サービス力」をいかに伝えていくか

「サービス力の低下」の問題をチームの視点で見た時に、

  1. チームとしてのコンセプト、方向性が統一されていない。

  2. チームとして、スタッフへの「教える力」がない。または、意識が低い。

の2点が問題であると考えました。
①は、人手不足や経費削減などの影響で、全体のサービスの状況を把握している人がいないので、それぞれがバラバラに動き、チームとして機能していない。
②は、そもそも指示を出す側に「教える力」がない。しかも愚痴を言うまでで思考も止まっているので、改善の余地もない。

この2つの問題から見えてくることは、その店舗のサービスチームがこれまで築き上げたものを伝える仕組み、文化が作られていないことです。
人が頻繁に入れ替わってしまうというのは悲しい現実ですが、それでも残った人たちがしっかりと「教える力」を持って今まで積み上げてきたものを新しく入ってきたスタッフに伝えることができれば「サービス力の低下」という問題はそれ程大きい問題ではなくなると考えます。

そういった状況を解決するためには、「教える力」をどう鍛えていくかだと私は思っていますが、それについては、長くなってしまったので、また別の記事にしたいと思います。

長文となってしまいました…
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ぜひ、あなたの考えをコメントに残していってくださいね。

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