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連載小説 下宿あだち(47)


ポンタは朝からえらくご機嫌だった、フンフンと鼻歌を歌いながらトーストにマーガリンとジャムをこれでもかと塗っていると目にクマを作った吉田先輩が隣に座った、受験勉強もいよいよ大詰めとなり昨夜も遅くまで勉強していたのだろう、

どうした、何か良い事あったのか、とポンタの異様な雰囲気に吉田先輩は怪訝そうな顔をして言う、いえ別にと言いながらニヤニヤしてるポンタに、お前大丈夫か、と先輩は呆れ顔だった、


学校に行くと日奈子はもう来ていた、周りを多くの友達が取り囲んで楽しそうに話をしている、

いつもなら気軽におはようと声掛けるのだが、今日は何だか気恥ずかしくて日奈子をチラリと見て自分の席に着いた、

そんなポンタに気付いた日奈子は何事も無かったかの様にポンタにおはようと話しかけて来た、

ああと返事したポンタだったが照れ臭くて日奈子と目を合わす事が出来ない、いつもと何だか違うギクシャクした会話を少しだけした、

昨夜の出来事を日奈子は何とも思って無いのだろうか、それとも忘れてしまったのか、

授業中机に頬杖付きながら日奈子の後ろ姿を眺めながら、女の方が男より肝が座ってるんだな、とポンタは思った。


つづく

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