連載小説 サンタドロップス(21)
河川敷のグランドがオレンジ色に染まって行く。俺は一人ベンチに座って水面に沈み行く太陽を見ていた。
そこにあかねさんがやって来て俺の隣にそっと座った。
「今日はボコボコにやられちゃったね」
あかねさんが呟いた。
俺はあかねさんを見た。目を細め夕日色に染まった横顔もやっぱり素敵だ。
「三田くんもお父さんと同じ野球馬鹿だね、ウフフ」
「俺、野球の事になると熱くなって我を忘れちゃうんだ、指導者としてまだまだだな」
俺は頭をポリポリ掻きながら言った。
「お父さんも昔同じ事言ってたよ、でも私そんな熱い人スキだなあ」
とあかねさんが言う。
スキ、あかねさんが俺の事スキと言った!こんな綺麗な人にスキと言われた!俺の鼓動は破裂しそうに高まった。
「あかねさん!」
俺はあかねさんに向かって大きな声で言った。
つづく
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