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連載小説 ロックンロール先生(19)


「みんな、この構文は英語の諺だ。さあどう訳す?」

「Sometimes dreams come true. 夢は時々叶う、です」

一番前の席の学級委員の子が答えた。

「なるほど、他の答えは?」

僕は恐る恐る手を上げた。

「お!ルーシー、初めて手を上げてくれたな」

「夢はたまに叶う、ですか?」

先生の授業で手を上げた事は一度も無い。僕はせめて最後に感謝の気持ちを示したかった。

「普通に訳すとそんな意味だな。でも俺はこう訳す」

「夢は叶える為にある!」


先生は黒板に大きく書いた。

「みんな!夢を持って生きるんだぞ!」

先生はストラトを肩に掛けアンプのボリュームを最大にした。

「ギャギャギャギャーーン!!キュイーーーーン!!!」


校舎中に響き渡る馬鹿でかいギターの音にもすっかり慣れた。

「さあ!みんなで叫ぼう!」

「ロックンロール!!」


先生に合わせ僕達は拳を突き上げた。

廊下で波平校長が微笑んでいた。隣のママゴンは呆れ顔で苦笑いしていた。


つづく

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