【連載小説】少年時代 後編#48
野木先生はポンタのためにお別れサッカー大会を開いてくれた、
レスラン、ブルのチーム、ポンタチーム、計三チームの小さな大会だ、房子先生も駆けつけた、
ポンタはみんなとの最後の試合に集中することにした、今日が終わりであることを考えたくなかったからだ、
そして最終試合が訪れた、
古賀君、はざま君、のいねめ君、野木先生、ネズミ先生、房子先生、さとる、ブル、
ポンタは一人ひとりの顔を順に見ていく、
「ああ、この試合がみんなとできる最後の試合や」
そう呟くと涙が出てきた、ポンタは涙が溢れないように上を向くと三上山の頂上が目に入った、
"そうや、いつも見守ってくれた三上山ともお別れなんや"
ポンタの目からポロポロと涙が溢れてきた、
ポンタは走った、涙で霞んでボールはもう見えない、でも必死に走った、
"みんな、みんな、ありがとう、もっともっと一緒にサッカーしたかった"
涙でぐしゃぐしゃの顔でポンタは走り続けた。
練習試合が終わった、ポンタは横一列に並んだチームメイト達の前に立つ、
チームメイトが順番に一人ずつポンタにお別れの言葉を言う、
そして最後はキャプテンの古賀君、
「ポンタ、一緒にサッカーが出来て本当に楽しかった、ありがとう、これはみんなからのプレゼント」
そう言って大きな紙袋をポンタに渡した、
袋の中には白いエナメルバッグが入っていた、のいねめ君とお揃いのヤツだ、
「ポンタ、いつも欲しそうな顔して見てたやん、このバッグ見てオレ達のこと思い出してな」
古賀君は涙目でニヤリと笑った、
ポンタはエナメルバッグを首からかける、
「これもみんなから」
はざま君が小さなサッカーボールをくれた、寄せ書きがびっしりと書いてあった、
ポンタは涙が枯れるほど泣いている、お礼の言葉もしゃくりあげてうまく話せない、
すると野木先生がポンタの側にやってきてポンポンと頭を撫でた、
「あのなポンタ、サッカーの世界って結構狭いねん、中学高校になれば全国各地に遠征試合に行く、やめなければ必ずまた何処かで会えるんだ、だからサッカー続けろよ」
ポンタは野木先生を見上げ、ウンと頷いた、
「ポンターっ、ありがとう!」
「四国行ってもサッカーやれよ!」
「また絶対会おうな!」
みんな泣き叫んでる、
パチパチパチパチパチパチパチパチパチ、、、、
ポンタを送る惜別の拍手は中々鳴り止まなかった。
つづく
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