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連載小説 センチメンタルジャック(2)


人間は肉体労働を全てロボットに任せる様になりほとんど働かなくなった。ジャックは労働力不足を補う為に今から五十五年前の西暦2035年に作られた旧型の労働ロボットだった。

ジャックは約四十年間、昼夜休み無く自動車工場でドアにビスを止める仕事をしていた。

しかし量子エネルギーと言う新しい動力が発見されると、新型のUFOに似た乗り物が一気に普及し、ガソリンや電気で動く自動車は急速に廃れて行った。そして自動車工場は閉鎖されジャックは仕事を失った。

次にジャックはビルの解体の仕事に就いた。街には供給過剰でゴースト化したタワマンやオフィスビルが溢れていた。そんなビルの不要になった上層階を解体し一階部分だけにする仕事。人々はちょん切られ一階だけになったタワマンをタワマン長屋と呼んでいた。

あれほどニョキニョキあったタワマンもあれよと言う間に長屋化すると、ジャックの仕事はとうとう無くなってしまった。近年街にはジャックの様な職を失った浮浪ロボットが溢れ、大きな社会問題となっていた。


つづく

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