【連載小説】少年時代 後編#44
その後ポンタチームは快勝を重ね地区大会決勝戦に進んだ、
地区大会決勝、相手チームはあのブルドック顔のフォワードがいるチームだ、
ポンタチームは前半に一点を取り、後半にも追加点を取った、間もなく試合終了という時、ポンタがボールを受けるとブルドックが背後からから猛烈なスライディングをしてきた、
ブルドックのスパイクの爪がポンタの左足ふくらはぎに思い切り当たった、
「いてーーっ!何すんだよっ!」
ポンタは前に倒れ込むと振り返ってブルドックを睨みつけた、
ブルドックはニヤリと笑って謝りもしない、
審判はファールの笛を吹き、ブルドックにイエローカードを出した、
「ふざけんなあの野郎!」
そう言ってポンタは立ち上がり歩こうとするとふくらはぎに激痛が走った、
「ああっ、」
あまりの痛さにポンタは再び倒れ込んだ、
「大丈夫か?ポンタ、」
ポンタの周りに心配した仲間達が駆けつけた、
激痛に顔を歪めるポンタを見て審判はベンチに向かって野木先生に入るよう要求した、
「どうだ、行けるか?ポンタ、」
野木先生はポンタを覗き込んで言った、
ポンタは再び立とうとするがやはり激痛で立てない、
「だめだ、交代だ」
野木先生は担架を呼んだ、
担架に乗って退場するポンタに観客席から大きな拍手が沸き起こった、
"拍手もらったってうれしくないわ"
ポンタは思っていた、
試合はそのままポンタチームの勝利となった、
試合終了の挨拶が済むや否やブルドックはポンタの所に走ってやってきた、
「ごめん、大丈夫か?」
「大丈夫やないわ!」
「ごめんな、ワザとじゃなかったんや」
「…」
ポンタはムッとして何も答えなかった、
「許してくれ、ごめんなさい、、」
ブルドックは泣き出してしまった、
いつもは怖くて憎たらしい顔のブルドックだが泣き顔はなんだか可愛い、
「もういいよ、サッカーに怪我は付き物さ、気にすんな、」
ポンタはブルドックの肩を叩く、
「ひどくなければいいけど、オレも怪我したことあるから、、」
ブルドックが小さな声で言った、
怪我はした方させた方、双方に痛みを残す、
"なんだブルドック、結構いいヤツやん"
ポンタは思った。
つづく
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