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【連載小説】少年時代 後編#40


「おーい、ポンターっ」

レスランのチームバスから降りるなり、さとるがポンタの元に駆け寄って来た、

今日は間もなく始まる全国少年サッカー大会の県予選に向けて隣県の強豪チームレスランとの練習試合だ。

さとるはポンタの前まで来ると辺りをキョロキョロ見回している、

「あれーっ、奈々ちゃんは?」

「引っ越した」

「えっ!引っ越したってどこに?」

「四国」

「しこくってあの遠い四国?」

「そーやで」


「奈々ちゃんがひっこし、、しこく、、ひっこし、、しこく、、」

さとるは呆然と突っ立ったままブツブツと独り言を呟いていた。


練習試合が始まった、

ポンタは新加入の五年生キーパーからボールを受けるとドリブルを始めた、

対峙するさとるをポンタは苦手なフェイントで交わしにかかる、いつものさとるなら闘志剥き出しで立ち向かって来るはずだ、

しかしポンタはスッと意図も簡単にさとるを抜き去った、

あれっと拍子抜けするポンタ、


「さとるーー!!何ボーッとしてんだ!!替えるぞーー!!」

レスランの監督が激を飛ばした、


「あーあ、今日の試合はあかんかったわ、、」

試合後さとるがポンタにボヤいた、

「なんかあの新しいノッポのキーパー、奈々ちゃんに見えたねん」

「ハハハ、、全国大会決勝戦はテレビ中継されるから、そしたら奈々も見てくれるで」

ポンタは野木先生に自分が励まされた言葉を受け売りでさとるに言った、

「せやな、よーし、ポンタ、決勝で戦おうな!」

奈々ロスのさとるを笑ったポンタであったが、実は今朝も奈々が帰ってきた夢を見て飛び起きた事は言うまでもない。


つづく

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