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キャリートレード 前編

この話題は割愛しようと思っていたけれど、さすがに「歴史的大暴落」「日経平均株価が過去最大の大暴落」と、あらゆるメディアで取り上げられるほど大きなニュースだったので、投資をされていない人の中にも何が起きたのか、興味のある人もおられると思うので、拙い解説になってしまうけれど述べてみる。

投資をされている方ならご存じだろうし、すでにいろんな方が述べられているように、ぼくも今回一番の要因となったのは、円キャリートレードのアンワインドと呼ばれる「巻き戻し」が起こったと思っている。

ついこの前まで一方的に進行したドル円は162円まで上昇し、それと同じように日経平均株価も2023年初めから右肩上がりを続け(正確には2012年後半から上がり始めた)、米国S&P500に至っては、ほぼ押し目もなく上がり続けた。そして日経平均株価、米国のナスダックやS&P500は、いずれも史上最高値を記録するバブル状態だった。

絶好調過ぎる(ように見える)右肩上がりの株価推移を単純に見ていると、めっちゃ景気が良いように映る。

でも、本当にそうなのか? 実力が株価に反映されていたのか?

ということを露呈したのが、今回の暴落だった気がする。
とはいえ、後述するけれどこのようなことは、今回初めて起こったわけでもない。
また、絶好調に映る株価がまったくの虚構だったとも思わないし、思いたくもない。

素人の私見なのでこれが正しいのかはわからないけれど、絶好調過ぎる株価の何割かは、やはり下駄を履いていたのだと思う(率直にいえば、かなり高さのある下駄なのでは、と思っている)。

”粉飾” という意味ではないので誤解ないように。

要するに下駄の部分がいわゆるバブルで、何かの拍子にはその部分が弾ける。そしてバブルの主な要因は、円キャリートレードの巻き戻しだったのだろう。

あえて「〇〇が悪い」と述べるのなら、金融政策正常化のために引き金を引いた人でなく、そこまでバブルを大きくした人と、日銀にプレッシャーをかけた政治家だと個人的には思っている。

いつものスケープゴート

今回の件は日銀が利上げを決めたからといって、わずか0.25%で歴史的大暴落や世界同時株安を引き起こしたなんて単純な話でもない。


端的に述べれば、キャリートレードとは低金利の通貨を調達し(借入)、高金利の通貨などで運用することを指す。
外国為替証拠金取引(FX)や先物などCFDをされている人ならわかると思うけれど、レバレッジトレードと同じようなものになる。

日本は長年に渡り、異常ともいえるほぼゼロ金利を続けてきた。
機関投資家やヘッジファンド、個人も含め投資家は、この相対的に超低金利の円を借り、高金利のドルに換えれば金利差だけで4~5%以上のリターンを得ることができた(米ドルに限った話でもない)。
また、ドル高・円安が進めば、為替差益を得ることもできる。
さらにそれだけでなく、日本の低金利で調達した資金で高金利な米国債や株、金(ゴールド)など世界中の金融商品で運用もしてきた。その中には、日経平均株価(日経225)などのインデックスも含まれる。
こうして世界中の機関投資家やヘッジファンド、個人投資家などは、”金利差” ”為替差益” ”株のキャピタルゲイン(売却益)” で易々と大儲けをすることができた。

つまり、超低金利の日本円は世界一安い資金調達源であり、世界中の資金の流動性を供給してきたことになる。そして、もちろんこれらはすべて円安(株高)要因である。
悪く言えば日本は利用され、円キャリーバブルで儲けた人たちがいる一方で、損を被った人たちがいる。
それが、物価高騰で苦しむことになった日本人なんだと思う。

日銀ガー、植田ガーの人たち

だから日銀や植田総裁は、金融政策を正常化しようとされているんだと思いますよ。

まぁ、急すぎたし、政府からの要請もあったと思うけどね。

つづく



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