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「いまどきの若い人は・・・」
※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。
ファミレスで働きはじめた初日、一番最初の会話を30年経ったいまでも鮮明に憶えている。
「こんばんは」
チーフ「おはようございます」
あれっ、聞き間違いかな・・・「こんばんは」
チーフ「おはようございます!」
「こんばんは!!!」
チーフ「あんな、挨拶は “おはようございます” なんやわ!」
「もう夕方やのに、なんで “おはようございます” なんですか?」
チーフ「うるさい!店では朝も昼も夜も挨拶は『おはようございます』。そういうもんなんやわ!」
「はい・・・すみません。おはようございます・・・」
飲食業界のこの慣習にとても違和感を覚え、変な日本語を話す人だ。こんな人がぼくの上司になるのか、参ったなぁと思ったものだった。
そんなぼくもお店で会う人みんなが昼夜問わず「おはようございます!」と言っているのを聞いているうちに違和感もなくなり、夜であろうとぼくも「おはようございます!」と挨拶をするようになった。
こうなるとこれまで知らなかった業界の一員になれた気がして、ちょっとした高揚感すらあったくらいなので、やはり18歳男子の思考なんて単純に思える。
ファミレスとはいえぼくは包丁さえ握ったことのないど素人だったので、厨房での立ち方から包丁の握り方、洗い場でのコツまで叱られながら一からすべて教えていただいた。
そんなファミレスの厨房は見聞きするものすべてが新鮮でとにかく楽しかった。
初めて見る業務用コンロの火力や洗浄機という便利なものに感激し、お越しになるお客様の多さに驚いた。
教育係の先輩がおられ本当に初歩的なことから教わったけれど、ぼくはその先輩から教わったことを未だにうちのスタッフに話すことがある。
「皿を洗うときは、それが10枚でも100枚でも同じスピードで洗え。もちろん100枚を洗うときのスピードや。それもプロとアマチュアの違いや」
「丁寧な仕事と遅い仕事は同じやない。雑な仕事と早い仕事も同じやない。わかるか?」
教育係といってもその先輩は、ぼくと1つ2つしか年齢差がなかったのだから当時彼は19歳、20歳だったことになる。
いま思えば、「いまどきの若い人は…」というよりも、昔の若い人は本当に大人だったなぁと思わずにいられない。
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