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ぼくとフランソワ・シモンさんの15年。 5.

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

BRUTUSによる第二弾『フランソワ・シモン再び! 東京・関西7000円以下のフレンチを判定する。』 が第一弾と同じ1997年に刊行された。
今回も文章や表現の難解さは変わることなく既述した通りだけれど、その批評の辛辣さは前回を凌駕する(気がした)。

前回、東京の単価1万円以上の高級フランス料理店、いわゆるグランメゾンがその批評の対象だったのに対し今回は単価7000円以下のレストランがその対象となり、ぼくは前回にも増して興味を掻き立てられることになった。
客単価1万円超えのグランメゾン、高級レストランは、ぼくにとって憧憬の的ではあるけれど、それはどこまでもぼくの身の丈に合わない非日常世界であり、将来的に自分自身がそういった箱(店)をつくることは想定になかった。
故に1冊目の特集の際には、他人事で自分には届かない別世界の話を読んでいる傍観者の気持ちだった。ところが対象が7000円以下になったことで、一気に身近なことに思えてくる。

この時点で、ぼくが近い将来何屋さんをするのか決めていなかったけれど、もし飲食店を選んだ場合にはこの枠に入ることになる。
自分が飲食店をするならもっと単価の低い店を想定をしていたけれど、対象が7000円のでなく、”7000円以下の” ということだからぼくの想定していた店もそこに含まれることになる。それに今回は東京だけでなく関西という括りが加わったこともより身近に感じる要因となった。
実際、対象となったお店の中には、ぼくが何度も伺ったお店、自分が店をつくるときのお手本、参考にしたお店も含まれていた。

総括として記載されている グランメゾンとビストロの中間に位置するレストランの難しさ、レストラン自身が価格という制約の中で模索している状態という指摘にぼくは頷きながらも、この2冊目によって自分に才能がないことも承知で、いつか一矢報いてみたいといった漠然とした気持ちが胸中に芽生えた。

つづく


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