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斜陽

最近はコロナ禍からも完全に明け、それ以前の生活へとすっかり戻った感がある。
お店をされている何人かの人たちとも久しぶりにお会いする機会があり、ついありきたりな言葉が口をついてでる。

最近どうですか?

われながら、何か他に言うことないのかよ、とツッコミを入れたくなる常套句ではあるけれど、そこが気になっているのも本心である。

最近は、また外国人のお客さんが増えましたねぇ

あぁ、確かに

ぼくの訊いた相手が、京都と東京の人ということもある。けれど、東京から京都へ戻ったときなど京都駅八条口のタクシー乗り場へ行くと、その行列の長さに思わず閉口することが増えた。
仕方なく列に並び、ほどなくして振り返ると後方にもすでに大行列が。
前後に続く長蛇の列を眺めていると、この行列の中にいる日本人はぼくだけじゃないか?と本気で思うほど外国人の方ばかりだったりする。

日本には四季があって美しく、街もキレイで人は親切だし治安もいい。それに食べものも信じられないほど美味しくて安いので、みなさんマナーを守ってどうぞ日本で散財していってくださいな。
あ、そうそう、現在日本は以前にもましてさらにお安い国になっていますから。

と、そんなことを胸中で思いながらタクシーの順番を待った。

コロナ禍以前のインバウンド狂想曲も辟易するほどだったけれど、今の外国人観光客の多さはあの頃と同じくらいか、もしかしたらそれ以上な気がする。データを確認したわけでなく感覚的なものだけれど。

コロナ禍以前に来られた人たちも現在来られている人たちも、それぞれもちろん日本に魅力を感じて来られているのだろうけれど、前回との違いがあるとすれば「めっちゃ安いから」という動機の外国人もかなり増えたんだろうな。
そう思うと、複雑というかなんとも残念な気持ちになる。

資源のない日本がインバウンド、インバウンドと騒ぎ、観光を全面的に売りにするのは日本の収支をかろうじて支え、業界も潤いそれはそれで良いことだとは思うけれど、そこでしか世界と戦えるものがないというのは、個人的にはもう先進国というよりも開発途上国か後進国になったという印象を受ける。
資源はないけれど、世界に誇れる(売れる)技術のある日本であってほしかったな。

そして残念だけれど、インバウンドが増えても日本の経済が斜陽であることはおそらく変わらないだろうな、とぼくは思っている。

その話を次回。

つづく

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