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パンの名前 1. 

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

日比谷の店がオープンしたばかりのころ、スタッフが手書きで作ってくれたプライスカードを見て、ふと気になったことが。

例えば、パン・オ・フロマージュ

「これ、ぼくらは当たり前のようにフロマージュって言ってるけど、”チーズが入っています” とか説明書きがないと一般の方の中にはわからない人もいるかも知れないよ。それか、チーズのパンって名前にしてしまうとか」といった会話になった。

作り手であるぼくらは、いわゆる厨房用語、専門用語といったものを日常的に使う。それは食材に限らず機器や道具などの呼称もそうだし、溶いた卵を塗る動作を「ドレ」と言ったり。
料理やお菓子などでは調理法や生地の状態などもフランス語表現になるものも多いため、スタッフでも特に厨房の子たちがたまたま売り場でお客様から何か訊ねられていると、つい専門用語の混じった説明をしてしまっている場面に遭遇することがある。もちろん本人に悪気はまったくないけれど、そういった場合には「いまのじゃ多分、一般の方にはわからないと思うよ」と伝える。

フランス料理屋さんでお客さんにソースのことを訊ねられ、「エシャロットのアッシェをスュエしたものに白ワインと白ワインヴィネガーを加えレデュイールし、そこへバターをモンテして最後にパッセしております」なんて説明をするようなスタッフさんは、まずいない。
ま、これは極論だけれど。

もうお客様が同業者でもない限り、説明をする際には厨房用語や専門用語といったものは、一切使わないくらいの方がいい気がする。

つづく



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