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続 ・ 為替介入の話

さすがスーパー賢い財務官僚だと感服するばかりだけれど、そんな神田財務官は今月末で退任される。そう思うと、彼にとって最後の大仕事だったのかもしれないなぁ。

為替介入の話

少し前にこう書いたばかりなのに、神田財務官がまた為替介入をやったらしい。
それも2日連続で。

前回、意表をつくタイミングに界隈の人たちは戦慄さえ覚えたと思うけれど、今回も急激に円安が進行したわけでもなければ、米消費者物価指数(CPI)が発表された後という予想外のタイミングだった。

やるなぁ、神田財務官

相場参加者のほとんどが驚いただろうし、今回もまた、ほんの数十分で人生を詰むほど大損をした人もおられると思う。
しかし財務官がその矛先と想定しているのは、巨額な資金で日本円の売りを仕掛けてくる海外ヘッジファンドら投機筋なんだろう。

舐めんなよ、と。

実際、神田財務官は「投機による過度な変動があれば、適切に対応していく」と公言されていて、その回数や頻度に制限はなく、今後も介入を辞さない。とされている。

昨日の日経新聞にも『円相場、消えた「介入できない」観測 投機筋が戦略修正』という記事が出ていた。
そりゃ、まったく予想できないタイミングで、どれだけ介入を打ってくるのかわからないのだから、ヘッジファンドは大損をしないよう警戒し二の足を踏むことになる。

こういった動きがあった際、いつもノーコメントなので本当に介入が実施されたのかは、月末に発表される財務省のコメントを待たないとわからない。
けれど、日銀が公開している当座預金残高を確認すれば、介入にどれくらいの資金が投じられたのかを推計できるらしい。
今回は、2日間で約5兆円規模とみられている。

この介入で円高へと向かったレートは、現在 1ドル155円台にまでなった。前回より小規模の額で、これだけの効果を出したことになる。
神田財務官の不意打ちは、お見事としか言いようがない。
そして前回あれだけチクリチクリと何度も苦言を呈していた米国が、ぼくの知る限り今回は何もコメントを出していない。容認しているのかな。

しかし介入額が小さくなったのは、捉え方によっては使える弾(残高)が少なくなってきている、とも考えられる。
そこを見透かされるとヘッジファンドはまた仕掛けてくるだろうし、そうはさせまいと神田財務官は「いつでも打てる(介入できる)」と牽制をする。
それが本当なのか、ブラフなのかもわからない。

財務省(日銀)と投機筋のこういった駆け引きを想像すると、おもしろい経済小説を読んでいるようで興味深い。

まさかの為替介入連発で、予定外の話になってしもうた。

つづく


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