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「混乱、混乱、混乱そして共感と涙、ついでに勇気」【映画】Everything Everywhere All at once を観て


一週間ほど前、日本では静かに話題の「エブエブ」、観てまいりました。

※追記(3/14)
アカデミー賞95thにて、作品賞とりましたね!!!
おめでとうございます!
キワモノ扱いされないでよかった・・・。

そして、監督賞、脚本賞、編集賞、ほか堂々の7冠受賞!
特に主演女優賞に関してはアジア系で初めての受賞ということで日本でも話題になりました。


こちらの作品に興味を持ったきっかけは『世界と私のAtoZ』の著者の竹田ダニエルさんのTwitterを見ておすすめしていたから。

監督へのインタビューもされており(Brutusほか)、この映画に関してきちんと解釈をされております。文章からめちゃ「賢(スマート)」なのが伝わってまいります。

竹田ダニエルさん、(勝手に)注目しておりますが著書、まだ読んでません、かならずや読みますね・・・


あと、下の方のTwitterをみて、「まじ何言ってんの?」となったのも一つの要因です。


そんな何もないシーンで一番泣くってなに?
何が起きた?どゆこと~!


このお二方の影響で、


「ど~れ、そんじゃいっちょ、そのシーンがなんなのか確かめに
観に行ってみっかあ~!」

となったのです。

私、口コミに弱いんです。ええ。


レディオ体操様、もしもし万が一当記事を見てくださってしまっていたら、
はじめまして。勝手に引用してすみません。

そして、ありがとうございます。
素晴らしい映画を見るきっかけを私にくれて。


超案の定、このシーンになった瞬間、
顔ぐしゃぐしゃで涙がぽとぽと、小さな静かな映画館ですが思わず
「うああああ・・・はわあああ・・・・」と声が出てしまいました。

このシーンで一番泣いておりました。ええ。





以下、映画を見た直後の混乱した頭で、一生懸命に書き残したライブ感あふれる感想(乱文)です。ネタバレ入ります
ネタバレ許さん、絶対殺すマンの方は、以降読むのはお控えいただいた方がよいかもしれません。何卒。











3/9
忘れないうちにこの攪拌された感情を書き留める!!!!
こいつぁとんでもない作品かもしれない。もしかしたら!

映像を撮ったことがないただの素人ですが、この素人めの「喚き」を聞いて
ほしい。



まず、場面、状況(別人格の移動)の切り替え方の見せ方がよき。

中国語、チャイニーズイングリッシュ、通常の(流暢な)英語を使い分けて、人物の中身が世界を移動したことが表現されている。

多重人格者のような話し方の違い、身体的な表現での違いをだけではなく、(本編では身体表現的なものも沢山あるけど)言葉一つで変われるんだと感動した。

私はネイティブな方言を話すことができるが、標準語と方言を使い分けて場面と状況の変化を伝えるような感覚かな。

方言日本語、標準日本語、ジャパニーズイングリッシュ、流暢な英語を話して切り替える、その切り替えを観客に「なにかの変化」として気づいてもらうという手段はいろいろと応用できそうだ。

あと、ジャパニーズイングリッシュも言語として胸を張って良いのだと!


カオスな映像、カオスな衣装、カオスな装飾、現場はとっても楽しそう。
※追記(3/19)・・・
衣装の担当は Shirley Kurata さん。アカデミー賞では衣装デザイン賞も獲得されましたね。ジョイの衣装、本当にかわいかった。。


強い幻覚のような動き回る光、見ているこちらも眩暈を起こしそうな錯乱っぷり。千にも万にも引き裂かれるエヴリン。そして、


無限の苦しみ

そして無機物になったとたん、解き放たれた苦しみ


ここね!このシーン!一番泣いた!!

無限はただ死ぬことをよりもずっとつらい。
どの世界に行っても、その世界ごとにかならず苦しみがあり、
必ず自分を襲う。

そこからの解放。なんともあっけない。だけどきっとこれが最適解。

何の生命もいない荒野になった瞬間の気持ちよさ。
ただの石ころになったときの平和さたるや。安寧の時間。


だけどHAHAHAHAHAHAHAの何とも言えないさみしさ。
皮肉の効きがすごい。


で、結局「FU*K」なジョイ


分かってもらいたいから、ずっと追いかけ続けるジョイ。
彼女は沢山のユニバースで諦めたり諦めなかったりを繰り返している悲しい存在。

彼女が最後ベーグルに入る、というのは、永遠の諦めのようなものを表しているように感じた。

よく女性が「もういいよ」とつぶやくときのアレ。

絶対に戻ってこない心のお別れ。最終宣告。

入ってしまったらもう最後、彼女の心はどうやっても開かれない。


ガールフレンドを紹介するときに逃げ出すジョイ、リアルだ・・・

母親って娘のことがわかったつもりで分かってない。

「私は母親なんだから」一番子供のことが分かっている。
でも、それが苦しい。二人とも苦しい。

歩みよったつもりが傷つける。そんなもん。

母と娘って絆(?)が強すぎる気がする。絆というか繋がりというか。

母のことを理解した(つもりになった)上でできるだけ大人な対応をとり、できるだけ逃げる娘。(ベーグルに逃げ込もうとする。)
逃げることをいったん受け入れる母。
受け入れてもらったおかげで仲直りする親子。(ベーグル回避)
(この辺りはもう2周目見てみないとよく分からないかも。)



ジョイのようなジェンダーではないから詳細はわからない。
(わかったふりになってしまっても嫌だから)

だけど、私自身が散々経験した「母娘のケンカ」という点で見れば、
エヴリンのあの対応は限りなく正解に近いのではないだろうか・・・


相互理解は一回では絶対にできない。

ぶつかり合いと話し合いの繰り返し。

そして妥協と折り合いを少しずつベターなものにしていくだけ。

あと、ベーグルに入ろうとするジョイを止めるときのエヴリンの
「I am your mother」というパワーワード。あれは卑怯。


motherの力は世界共通なのか・・・motherはあんな状況をひっくり返せるほどの力を持つ存在なのか。
そう見えてほしいというなら、ちょっと卑怯な気がする。


私自身、母娘の関係の正解が見いだせていないからかもしれないけど、
娘があんなにギリギリの状態で、咄嗟にあのワードは母親サイドに加担している気がする・・・まあ、ジョイにもフォーカスをあててるから映画全体としてはバランスいいのかな・・・


あと、ウェイモンド、Ke Huy Quan、かっこよかった~!素敵だった!


どの世界のウェイモンドも、たとえお金がなくても、社会的に評価されていなくてもされていたとしても、いつでもいろんな方法でエヴリンの味方してくれる。どこにいても味方をしてくれる人が一人いるだけでこんなに心強いことはないよね。
相手を傷つけないという、優しさという強さを見せる最高の人。
助演男優賞、本当におめでとう!



あと最後に
ちょっとしたことでよく、自分の生きている世界は最悪だ、と思ってしまうけど、もしかしたらもっと最悪な世界に生まれていたかもしれない。

そして、そんなものは些細な違いにすぎなくて
自分次第でなんとでもなる!

自分が成長することで見え方が変わる。
そんなこと、子供のころには分かっていたのに、大人になった今なんで忘れちゃってたんだろう・・・!

運命も未来も、よりよくするのは自分次第。


以上




後述
タイムリーにアカデミー賞受賞のニュースがあり、たくさんの有名メディアがインタビューやコメントを出していて、本当は私のこの映画感想も映画見た直後に投稿しようと思ったけれど、「こんなにたくさんちゃんとした人たちのレビューがあるのに、こんな素人の感想文つまらんかも・・・」と思って10日ほど放置してしまいました。。。

そうしたら我が家のウェイモンドより
「レビューって、色々な背景を持つ人間の色々なフィルターを通って、そして世に出てこそ意味があるんだから。早く書いて投稿しちゃいなよ。(だいぶ意訳)」との金言をいただき、やっと投稿しました・・・

ありがとう我が家のウェイモンド。
きっとあなたはどの世界でも私と巡り会って私の味方になってくれてるんだ
ろうな。


おわり


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