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イシューは何だ【短編小説】700文字

「井田くん、14時から第3会議室で打ち合わせしたいんだが。」
相原部長はいつも急だ。きっと昨日の予算会議でうちの部の上期予算未達が問題になったんだろう。下方修正してもダメだったか。
下期で補うとしてもどうするか。このコロナ渦でどこも社内システムへの投資は見送りがちだ。保守期限のあるサーバ更新でさえ難航していると聞く。
やはり他部署に出稼ぎに行かせるしかないのか。

「宇治川くん、13時半から第1会議室で話をしたいんだけど。」
井田課長が話をしたいと言うときはだいたいトレンドの話だ。
クラウドやAI。今のコロナ渦においてうちのシステムに組み込む余地は多いにある。特に急激なテレワーク増加でクラウド業界には追い風が吹くだろう。
最近定時上がりできてるからアイツにプランを考えさせてみるか。

「江藤、13時にミーティングブースな。」
宇治川主任と顔を突き合わせてミーティングなんて4月ぶりかもなぁ。まぁ、つい最近までテレワークで過去の資料整理がメインだったし。新規のプロジェクトも開始が見えないし。
そういやOJT状況聞かれたらどうしよう。テレワークでOJTって難しいんだよなぁ。1時間に1回オンラインで確認するのって、さぼってるかの確認かと思われそうで気が重かったなぁ。
この数ヶ月の成果としては改修させた機能を説明すればいいか。あ、いい機会だし一緒に同席してもらおう。

「太田さん、今日のお昼一緒にどう?」
江藤先輩と一緒にお昼なんて嬉しい!同期には今日はパスって連絡しなきゃ。
江藤先輩かっこいいもんね。仕事もできるっぽいし。ラッキーだったな。
オンラインのときにちらっと見えた私服もセンスよかったし。背景に見えたぬいぐるみもギャップがあってかわいかったし。ってあれ、彼女のかな。思い切って聞いてみちゃおっかな。


タイトルに文字数の目安を入れてみました。
短編小説なのか、ショートショートなのかわからないけど、短いから読んでみて、という想いを込めて。

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