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ショートショート|特集・ロボット掃除機

 おはようございます。
 ニュース・トップルームランナーのお時間です。
 本日の特集は「ロボット掃除機」。
 テレビ、冷蔵庫と並び、現代社会の三種の神器とさえ呼ばれる便利な電化製品ですが、その便利さゆえか、思わぬ落とし穴も見えてきました。今日は、ロボット掃除機を巡る問題について、深堀りしていくことにしましょう。
 特別ゲストとして、長年ロボット掃除機の研究をされておられる、動物愛護大学機械工学科の明良あきら・メガ・早夫はやお先生にお越しいただいております。
 先生、よろしくお願い致します。

 よろしくお願い致します。

 ロボット掃除機といいますと、時間に追われる我々現代社会の人間にとって、とても便利な頼れるパートナーという印象なのですが、現実では違った側面もあるのでしょうか。

 はい、ロボット掃除機を愛用されている方にとっては、間違いなく頼れる相棒、なくてはならない存在と言って良いと思います。ですがネットには、意外と使えない、だとか、買って損した、といったクチコミも見られます。
これらは下調べが足りていなかったり、使い方が誤っているケースがほとんどなのですが、こういった方々がその後に取りがちな行動が、近年、大きな問題として注目されつつあります。

 ロボット掃除機の虐待ですね。

 そうです。
 殴る、蹴る、熱湯をかける、ロボット掃除機どうしを闘わせるなど、外傷や故障が生じる行為が増加しています。
 また、ステーションに戻った直後のロボット掃除機に再度掃除を強要するなど、過剰な酷使も見られます。

 ロボット掃除機の虐待は、破損や故障だけでなく、核爆発のおそれもある、非常に危険な行為ですね。

 はい、人間、ロボット、どちらにとっても有害です。断じて許してはなりません。
 また、自宅で電気代を払えなくなったからといって、野生に遺棄する方も増えています。捨てる側からすれば、誰か他の人に拾われたほうが美味しい電気をもらえて幸せだろう、という願望があるのかもしれませんが、現実はそう甘くはありません。
 家庭用に開発されたロボット掃除機は野生環境で電気を得たり、危険を回避したりする能力を持ち合わせていないため、天敵の格好の餌食となってしまいます。
 万が一、野生環境に適応できたとしても、今度は人間にとって害のある存在に豹変しかねません。

 近年、野生化したロボット掃除機が人を襲う事件が多発していますね。

 そうです、野生化したロボット掃除機は非常に危険です。ロボット掃除機が市街を徘徊することで、畳やカーペットを勝手に水拭きされたり、回収したゴミを庭にばらまかれたり、といった被害が生じます。
 吸引口に手を巻き込まれるような直接的な危害もありえますし、道路を掃除しているロボット掃除機を避けたせいで、バイクや自動車が交通事故を起こすケースも見られています。

 ロボット掃除機の虐待や遺棄を防止する方法はないのでしょうか。

 実は、これらはすでに法律で禁止されています。
「ロボット掃除機の愛護及び管理に関する法律」が今年の4月に制定され、今月から施行が開始されました。

 購入したロボット掃除機を虐待したり、遺棄することは犯罪です。
 皆様、くれぐれも行わないようにご注意ください。
 さて、次は……、あっ。大変です。ロボット掃除機を購入して不満を感じたユーザーたちが、「★☆☆☆☆星1つ」を掲げて暴動を起こしています。今、このステーションに、なだれ込んできました。

 掃除に時間をかけすぎだぞー。
 細かい場所もきちんと吸えー。
 床の物を片付けなきゃいけないから結局面倒だぞー。
 階段くらい気合いでのぼれー。
 音がうるさいぞー。
 家具が傷ついたぞー。

 口々にロボット掃除機に対する不満を述べています。
 過激派団体の侵入により、現場が混乱しております。
 ここで、いったんコマーシャルに、入らせていただきます。

 繰り返しになりますが、購入したロボット掃除機を遺棄することは「ロボット掃除機の愛護及び管理に関する法律」によって禁止されています。
 犯罪です。
 皆様、くれぐれも行わないようにご注意ください。

<了>

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