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思い出を爪にのせて

一時、職場がストレスフル過ぎて何とか気持ちをアゲていかないと乗り越えられん!!とサロンでジェルネイルをキメいた頃があった。

洋服やお化粧は大学の頃に「もう誰も見てない!今、変にうがってやらなかったら後々絶対後悔する。」と好きなものを着たりしはじめたが、ネイルは肌が浅黒いものあって似合う色が分からなかった。
いい色だなと買ってみても実際塗ると合成みたいに妙に浮いて見えた。
しかも、セルフだとよれるし、はみ出すし色ムラもできる。(時に利き手じゃない方)
やっときれいに塗っても気を抜けば何かに当たって半乾きの部分がえぐれて、やる気が消滅。やけになってリムーバーでなかったことにするのが一連のセットだ。

それでも、雑誌やCMでみるきれいなおねぇさまや、きらきらなOLの皆さんの爪は素敵に塗られていてピカピカキラキラだ。インスタなんかでもセルフネイルをあげているアカウントが沢山あって、(ただ塗っただけ。なんて嘘。塗りだけであんなちゅるちゅる発色抜群なんて無理!)ずっと憧れていた。

なにかのテレビでネイルっていうのは一番目に入りやすい、自分の近くで着飾れて気分をあげてくれる部分だと言っていたが、まさにそのとおり。

2回目のジェルネイルを付け替えに行った時、担当してくださったサロンの店員さんの爪には、好きなアーティストのコンネイルとスヌーピーが乗っていた。参戦したコンサートついでにスヌーピー展に行ったとのことだった。
思い出がつめにのってる、そんなネイル。
私のともだちもアニメの記念日にあわせてアニメに由来するモチーフを組み込んだネイルをしていた。
手を広がればすぐ好きなものがみれる、楽しかった思い出やキラキラピカピカが目に入る。
なんて幸せな装飾なの。

そういえばここ2年ほど出かけるときに身に着けるアクセサリーがすごく増えた。ネックレスやイヤリング、指輪やブレスレットも。汗が溜まってかゆくなるし、つけていることが気になってしまうからと今まで数えるほどしかつけてこなかったのに。
指輪に至っては友達がしていたのを見つけたり、つけ忘れているとそわそわとすこし落ち着かなくなってしまう時があるほどになった。

アクセサリーもその一部だが女性が素敵な服を着たり可愛く美しくして外へ出るのは、やはり“武装”なのだと思う。
自分を鼓舞して拠り所をつくっていかないと中々どうして世の中しんどい。少なくとも私はそうだ。

しかし、結局その武装ネイルはやめることになった。
色やデザインはオフィスネイルと勧められたシンプルなものにしていた、つもりだった。が、3回目のジェルネイルをしたところで上司に呼ばれ「サービス業ではあるんだからその色はやめなさい。(社則にネイルや髪色についての記載なしを確認済)することは禁止ではない、本社ならもっと厳しい、どの色がいい、ダメはないが自爪に近いものにしなさい。」とセルフならいいのか、ネイル自体がいけないのかという質問にも回答してもらえず、核心に迫らせない、よく分からない指導をうけた。

最終的に「する前に相談してほしかった。」と言われた。え、私アラサーなんですけど。(白目)
あら、貴方は私の親か兄弟か何か肉親でしたっけ?肉親であってもそんなこと相談しないのですか、いかがでしょうか?(今だからこんな憎まれ口叩けるが、その時は「そうかこれも報連相の一部だったのかもしれない…。」と一瞬でも思った自分が馬鹿らしい。)
社会人になってまで、中学生の服装検査みたいな(それよりも私には理解できない出来事だけど)ことが起こるとは。

その指導もとい小言を言われてから、セーフのラインを探るのも面倒でぱったりネイルサロンには行っていない。
(その後、休職したことで早速ネイルサロンに行ったことはまた別の話。)

中学生の頃、すこしチャラつき出した女の子を横目に腐っていた私だけど、今は花柄のきゃわいいスカートなんて着てメイクして、ヒールを履いて出かけている。昔なんかよりだいぶチャラチャラしている。その頃憧れていたより驚くほど子供で不安定な“大人”だよね。だけどね、そうしないと十数年後の私は生きていけなかったよ。
けどこれだけは言える、好きな物や可愛いに囲まれているってステキ。