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学生時代のセクマイ事情③

つばき

私は学校が嫌いだった。同級生からいい顔なんてされないし、大学出たくらいでいい気になってる大人に指図されるのも胸糞悪かった。

オネエ 、オカマ呼ばわりされるようになったのは、私の声変わりが始まった小学5年生くらいからだった。

当時、世間は空前のオネエブームで、多種多様なオネエタレントがTVに出演していた。声変わり途中の私は、とあるタレントのものまねに最適だったようで、家族には大ウケだった。

そのノリで、学校でも披露した私にも落ち度があるが、それ以降私はオネエ疑惑を背負いながら学生生活を送ることになった。

学校へ行けば投げつけられる言葉はオネエ、オカマ、ニューハーフだったり、

「お前男が好きなの?」
「いつ手術すんの?」
「俺のこと襲うなよ」

男の子好きだったけど、この時は自分でも受容できてなかったんだよ。ゾウさん取るつもりなんかねーよ。誰がお前なんか襲うかよ、鏡見てから言えよ。

こういうことを言われても、私は言い返すことができなかった。自分のセクシュアリティに違和感を持ち始めていたけれど、一体これが何なのか、自分でもよく分からない。本当に自分はオネエなのかもしれない。

本当のことを言ったら、家族はどんな反応をするのだろうか?将来結婚して、子どもは作れるのだろうか?いつかはボーイズラブ漫画鑑賞をやめられるのだろうか?

本当に悔しかったのは、当時はそれを止めてくれる先生がいなかったことだ。スペインの同性婚成立を、世の中が狂ってきたと言った先生だっていた。生徒と一緒に私をオネエ呼ばわりしてきた先生だっていた。

性的違和感を伏せたまま、学校でオネエ呼ばわりされていることを、家族に相談したこともあった。けど・・・、

「だったらそのままオネエキャラでいれば?」

返ってきた言葉がこれだった。

ああ、私はこのままオネエというレッテルを貼られたまま生きていく他ないんだ。そう思った。

もしかしたら、TVに出ているオネエタレントと呼ばれる人たちも、そんな扱いをされたかった訳ではないのかもしれない。周りの人たちとは違う特性を持っている。だからこそ生きにくいところがあって、でもそれを武器にして生きた結果がこうなってしまっただけで。

私はオネエタレントと呼ばれる人たちで、大好きな人がたくさんいる。歯に絹着せぬ物言いができる賢いあの人。誰よりも美に対して情熱を持っているあの人。世界で一番美しいニューハーフと呼ばれたあの人。尊敬できる人たちがたくさんいる。だからこそ、そんな人たちを軽蔑の対象として扱われるのは我慢ならない。

平成29年、文部科学省のいじめ対策のガイドラインに、性自認、性的指向について記載された。今まで蔑む対象として当たり前に扱われてきた人たちを、急に守らなければいけなくなった。戸惑っている学校の先生もたくさんいる。

お願いだから、これ以上、学校というものに対して失望させないでくれ。学校は生きていくために必要なことを教えてくれるんじゃないのか。やれ受験だ、やれ大企業に就職だと言っているが、そんなものが一体何になる?人を罵ることを教えたいのか?過労死するまで働くことが素晴らしいのか?受験に使わないからと言って、みそ汁の作り方を教えなくなったのはなぜだ?AVを性の教科書にしている勘違いさんが増えたのは誰のせいだ?

セクシュアリティが他人と違う。そんなことで苦しむ人が少しでもいなくなるなら。セクマイ の生徒を救いたいけど、どうすればいいのかわからない、そんな先生たちの役に立てるのなら。私が生きてきた人生が、誰かの役に立つのなら。そう思いながら、今日も生きている。

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