企業の高齢化がすすむ富山に本気で新規産業を作ろうとしている話

遡ること6年前。
地元富山で一緒に飲んでいる友達の多くに見えた疲れた顔。

「おいおいどうした!?」「昔の溢れるエネルギーはどこいった!!」と思い、どんな生活をしているのか話を聞くと、

平日は創意工夫の余地が少ない業務の繰り返しのなかで朝早くから夜遅くまでみっちり働き、休日は来る平日に向けてひたすらエネルギーを充電する…そのくりかえしとのこと。

このままじゃ、仕事への楽しさを感じることはおろか、仕事のせいで体を壊してしまいかねない…。

僕は、自らの創意工夫がちゃんと評価される環境で働くことに仕事の楽しさを感じていたので、余計にギャップを感じました。
(注:もちろん仕事は苦しいことの方が多いです。ですが、仕事に意義を感じているので苦しさを超えた達成感や、お客様が喜んでくれる姿は苦しさを凌駕して楽しさを感じています。)

先人企業に敬意を払っているからこそ

しかし、充実した環境で働きたいといくら声を上げたところで、そもそも富山にはクリエイティブで面白い仕事が少ない。

それもそのはず。

なんと富山の上場企業の平均設立年数は74年!(注:2017年丸山調べ)

これはつまり、戦後焼け野原で立ち上がり、新たな働き口を創出してくれた偉人たちにまだまだ頼りきりな状況と言っていい事態です。

そのため新しい仕事が圧倒的に足りていない…。
今の若い世代から見て、新たな働き方、多様な働き方、面白い仕事の選択肢が少ない。ここに富山の課題を感じました。

それでいいのか!

現在に至るまでに住みやすい街、働き先としての土台を作ってくれた先人企業に敬意を込めて、我々若い世代が新しい仕事を作っていかにゃ。

働き先を決める高校生や大学生は、自分を起点とした半径数メートル以内にいる大人を参考に働き先を決めていくことが多い。このままじゃ、富山の未来の子供たちは限られた選択肢の中で仕事を選ばなければならず、望まない環境で働くことになってしまうかもしれない。

仕事はこんなにも楽しいものなのに、この楽しさを伝えることができないなんて…。

この状況に悔しさを感じ、何か自分に貢献できることはないだろうかと必死に考え、たどり着いたのがToyama Baseというビジネス塾を作ることでした。

Toyama Baseで地方創生

まずは、Toyama Baseの成り立ちをざっくりと。

「富山には仕事の選択肢が少ない」という課題に対して

「富山に新しい産業を作って東京のマーケットから仕事を獲得できれば解決できるんじゃないか」という仮説を立てました。

そこからは、この仮説を検証するためにひたすら実験。

学生を集めてコミュニティを作って、ビジネスの基礎を学ばせたり、動画編集などのクリエイティブなスキルを身に付けてもらったり、実際に事業を動かして収益を上げてみたり…。

結果、このやり方に可能性を感じたので、コミュニティをToyama Baseと名付け、僕のスキルを学生に教える形のビジネス塾に発展させました。

以前紹介したパーソナルライティング(記事はこちら)もその中の取り組みの一つ。

偶発的な出会いをデザインする

パーソナルライティングって、学生が一流の人にGIVEして対価をもらえる、なかなか面白い仕組みなんです。しかも副産物として、お金の価値以上の、一流の考え方や価値観に触れる経験が手に入る。実はこれが新規産業を作るうえでの、僕のもう一つの狙い。

「偶発的な出会いを学生にもデザインしたい」とは前に詳しく書きましたが、新規産業を作るプロセスでそれが叶ったら、誰もが幸せになれるビジネスを作り出せるんじゃないかと思うのです。

学生から見ると、一流の人から成功までの道筋を聞くことで、一流の世界の輪郭がつかめるようになる。歩み方がわかる。そこで新たに生まれた刺激が向上心へと変換されて、自分の将来をポジティブに思い描けるようになる。

実は、"新規事業を作る"・"組織を作る"など専門分野について富山の中だけでアドバイザーを探そうとするとどうしても難しくて。そもそも富山には過去数十年において専門分野を科学するくらいのめり込んで仕事をしてきた人がが少ないので、正しくアドバイスできる人が少ないんです。

なので、東京と富山を一つのビジネスの中でつなぎ合わせることで、学生に適切なアドバイザーをマッチングできる。

2021年12月時点では、新しい事業を作りたい時に富山でも資金を集めやすい仕組みができています。富山で新しいチャレンジをやりたい人と専門分野に精通した人が繋がることが容易になれば、初めて富山にいる誰しもが正しくチャレンジできる土台ができると思っています。たくさんの人のチャレンジの末新しい事業が生まれ、新しい働き先・働き方が生まれ、活き活き働いている人が増えることが、私にとっての地方創生なんです。

なおかつ、富山全体から見ても、このビジネスによって一流の人が富山に関わる機会を作りだせる。そうすれば、Toyama Baseが富山の関係人口を増やすきっかけになれる。そうなったら素敵だなと。

学生たちの成長に涙

これまでToyama Baseでいろんなチャレンジを繰り返してきて、学生の成長を間近で見ることができました。これには毎回感動させられっぱなしで…。

今は一旦お休みしていますが、特に成長を感じたのは、株式投資。

僕の100万円を原資にして、学生たちに気に入った企業へ投資してもらおうという実験。

そのために、彼らにはまず決算書を読んで企業を分析し、利益から見える企業の状況や赤字の理由などを深堀りして資料にまとめて、プレゼンしてもらうことに。

もちろん、最初は決算書の読み方やプレゼン資料の効果的な作り方がわかるはずもないので、手取り足取り教える必要がありました。

そうして毎週zoomでスキルを提供し続け、3ヶ月後。

最初は資料の内容よりもデザインにこだわっていた子たちが、たった3ヶ月で、大人顔負けの一貫性のあるプレゼン資料を作れるまでに。

この飛躍的な成長がめちゃくちゃ嬉しくて、つい泣いちゃいましたw

僕には、僕の手で救える人がいるなら、あらん限りの力を使って救いたいという信念があります。

綺麗事かもしれませんが、こうやって間近で学生たちの成長を見届けられるたびに、その成長の一助となれたことがとてつもなく嬉しいんです。

3年後に「丸さんのおかげでここまで成長できました!」って言ってくれる子がいたら、きっと嬉しすぎて号泣しちゃいます。

チャレンジは続く

今は、Toyama Baseの取り組みをサステナブルな形で仕組み化することと、「第二のパーソナルライティング」を作ることに向けて、日々奮闘しています。

突然ですが、皆さんは仕事で一番難しいことってなんだと思いますか?

僕は、“継続させること”であると思います。

せっかく素敵な仕事が生まれても、未来の子どもたちに残すことができないなら意味がない。

では、仕事を継続させるためにはどうしたらいいか?

お客様はもちろん、働き手、そして社会に、幸せが循環する仕組みを作ることではないか。

この新たな仮説を基に、気持ちよく働き続けるための仕組みづくりに力を注いでいます。

「第二のパーソナルライティング」を

パーソナルライティングはその性質上どうしても、

①本を読める②文章を書ける③集中力がある 
この3つが備わっている子に限られてきます。

ですが、他に強みがある子ももちろんいるわけで。そういう子たちが活躍できるような、パーソナルライティングに次ぐ新たなビジネスを作りたいと考えています。

まだまだやりたいことが山積みで、ワクワクしかありません。

こうやって僕がやりたいことに向かってまっすぐ突き進めるのは、いつも暖かく見守ってくださっている皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

これからも全力で突っ走っていきますので、応援してくださると嬉しいです!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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