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キミと物語

息子が最近、映画『魔女の宅急便』にハマっている。

主人公のキキが大好きで、テレビを観る時間になると「キキちゃんみる!」と言ってきかない。リビングではしょっちゅう、ホウキにまたがって空を飛んでいる。

試しに、同じスタジオジブリ作品の『となりのトトロ』や『猫の恩返し』を見せてみたが、彼の心には刺さらなかったらしい。10分もしないうちに「キキちゃんみたい!」といって、キキのいる世界へ旅立って行く。

近頃しきりに「○○君はしごとがあるから!」「しごとがあるんだから!」と言い始めた息子。どこでそんな言葉を覚えたんだろうと思っていたら、なんと作中でキキが口にしたセリフだった。

『魔女の宅急便』が、なぜこれほどまでに彼の心をとらえたのかはわからない。ただ、親の私としては、彼が幼少期に「大好きだ!」と思える物語に出会えた幸運を喜ばしく思っている。

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おそらく多くの方が、幼少期に心踊らされた「物語」を持っているんじゃないだろうか。ある人にとっては『ハリー・ポッター』シリーズかもしれないし、ある人にとってはミヒャエル・エンデの『はてしない物語』かもしれない。

また、プリキュアやセーラームーンを見て、戦う女の子になりたいと思った人もいるだろう。『ONE PIECE』のルフィや『NARUTO』のうずまきナルト、『ドラゴンボール』の孫悟空に自分を重ねた人だっているはずだ。

自分が「大好きだ」と思える物語に出会うことは、人生最初の「相棒」を手に入れることに似ているかもしれない。

小さい頃から何度も読んでいる(観ている)物語を、大人になってから改めて読んだとき、今までは見えてこなかった素晴らしさ、あるいは登場人物たちの苦しみに気付く、なんて経験はないだろうか。

物語はいつでもそこにいて、ストーリーは一切変わっていないのに、不思議な話である。でも、何度読んでも(観ても)新たな発見があるのだ。そしてますます、その物語を愛おしく思うことだろう。

私にとっても、小さい頃から身近にあった大好きな「物語」がいくつもある。児童文学なら『オズの魔法使い』や『若草物語』、ジブリ作品なら圧倒的に『もののけ姫』、といった具合に。

ある物語を読んで人生が大きく変わったか、といわれると、そうではないかもしれない。でも、幼い頃に出会った物語は、知らないうちに自分の血肉となる。大人になったとき、そのありがたさに気付くことがあるかもしれない。

だから、今の息子にとって「大好きな物語」があることが、とても嬉しい。

これからの人生のなかで、たくさんの「大好きな物語」に出会ってほしい。そしてそれらが、いつか息子の助けになりますように、と願ってやまない。


(Day.12)

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