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空耳アワーの固定概念を打ち壊し続ける「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」というバンド

近年、空耳アワーで強烈なインパクトを残しているアーティストがいます。それが「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」というバンドです。(本当は「レイジ」と略したいところですが、空耳アワーには他にも「レイジ」という名前のバンドが登場しているため、今回は略さずにお話しします。)

この「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」というバンドは、採用された空耳が面白いだけでなく、空耳の固定観念を次々と打ち砕く作品を多く生み出しているのです。

今回は、そんな「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」の空耳が、どのように固定観念を打ち砕いているのかを解説しながら紹介していきます。

①エッチをしてるよ

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まずはこの空耳ネタから。いきなり下ネタですみませんが、画像の通り、一人の男性がこちらに迫りながらいろいろなエッチなイラストを見せてくる映像です。

では、これがどのように固定観念を打ち砕いているのでしょうか?

それは、「同じ単語を連呼した後にはオチが必要だ」という固定観念を完全に無視している点です。

なんとこのネタでは、「エッチをしてるよ」を16回も連呼したまま、オチがないまま終わってしまうのです。

これまでの空耳アワーでは、同じことを何度も連呼するネタが採用されることはありましたが、大抵は2~3回程度の連呼で、必ずオチがありました。2012年には「作業場」と8回も連呼するだけの空耳が採用されましたが、オチがなかったためか評価は芳しくなく、一部では「連呼するなら最後にオチを持ってこい」という声が上がるほどでした。

それ以来、3回以上同じことを連呼する空耳には、基本的にオチがないといけないという雰囲気が広がっていきました。実際、それ以降の連呼系空耳は、基本的に連呼の後にバシッとオチがつくネタばかりが採用されてきました。

そんな中、突如として現れたのが「エッチをしてるよ」です。この空耳は、3回以上の連呼の後にオチが来るどころか、16回も同じ言葉を連呼した挙句、オチがないという構成になっています。

視聴者が「連呼系の空耳ネタには必ず何かしらのオチがあるはず」と思い込んでいる中で、このネタは驚きをもたらします。しかも、連呼する言葉が「エッチをしてるよ」というパワーワードである点も、このネタの強烈さを際立たせています。

この空耳を見たタモリさんは「新しい」と評価し、見事にTシャツを獲得しました。

②ナゲット割って父ちゃん どうすんだい!?

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次に紹介するのは、この強烈な空耳ネタです。

何がすごいかというと、「ナゲット割って父ちゃん」を12回も連呼している点です。「エッチをしてるよ」の16回連呼には及びませんが、この空耳のポイントは、連呼の後に「どうすんだい!?」というオチがバシッと決まることです。

12回も連呼した後にオチが来るのは、空耳アワー史上初めてのことです。

「エッチをしてるよ」の例があるため、この空耳ネタも連呼してオチがつかないパターンだと思い込むかもしれませんが、今回はしっかりとオチがあります。12回も連呼し、エネルギーを溜めに溜めた後に「どうすんだい!?」を放つことで、スタジオの空気が爆発的に盛り上がりました。

この空耳の採用前の週でも空耳が盛り上がり、ジャンパー作品が誕生していたのですが、この空耳があまりにも受けたため、20年ぶりに2週連続でジャンパー作品が誕生する事態となりました。(ちなみに、前の週のジャンパー作品は私が投稿した空耳なのですが、それはまた別の機会に…)

12回も同じ言葉を連呼した後にオチがつくというこの空耳は、「近年の空耳アワーで2週連続でジャンパー作品が出るのはありえない」という常識すらも覆しました。

③冬 冬 冬 冬 冬 冬 波

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最後に紹介するのは、この空耳です。

これまで紹介した空耳は、

  • 16回も連呼してオチがつかない空耳

  • 12回も連呼した後に強いオチがつく空耳

でした。

その流れから、この空耳も「何度も連呼した後に強いオチがつくのでは?」と思われるかもしれませんが、今回は少し違います。

この空耳は、「冬」と6回連呼した後に「波」と言って終わるだけのネタです。

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これを聞くと、「それのどこが固定観念を打ち砕いているのか?」と思うかもしれませんが、この空耳こそが最も固定観念を打ち砕いているのです。

なぜなら、「ウケようとしていない」からです。

空耳アワーでは、どの空耳も何とか面白い映像にしようとスタッフが工夫を凝らしています。しかし、この空耳は終始綺麗な映像が流れるだけで、最後に「波」という言葉が登場するものの、それがオチと言えるかどうかも曖昧です。

この空耳を初めて見たとき、多くの人が「これのどこが面白いのだろう?」と思ったことでしょう。しかし、ふと気づくのです。「空耳の映像は、必ずしもウケを狙わなくてもいいのではないか?」と。

そう、この空耳は芸術作品なのです。笑えるかどうかを基準に見てしまうと全く面白くない。しかし、そういう枠から外してみると、この作品の面白さが見えてきます。

なぜ今までこのような路線の映像がなかったのか不思議に思うほど、この作品は画期的でした。タモリさんも「冬の繰り返しがいい」と評し、Tシャツ評価となりました。


このように、「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」は空耳アワーで固定観念を次々と打ち砕いていますが、それだけではなく、空耳アワードでもその固定観念を打ち砕いています。

それは、3年連続で同じアーティストがグランプリを受賞したことです。そうです、なんと「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」は、

  • 「パン!パン!夜食のパン(×3)パン!夜食のパン」

  • 「エッチをしてるよ」

  • 「ナゲット割って父ちゃん どうすんだい!?」

で3年連続でアワードのグランプリを受賞しています。

今回「パン!パン!夜食のパン」の話はしませんでしたが、これも繰り返しのネタで、この作品から空耳アワーにおける「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」の活躍が始まったと言っても過言ではありません。


以上でお話は終わりです。今後、「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」が空耳アワーでどのように進化していくのか、とても楽しみです。私もこのバンドの空耳を探して送り続けるつもりです。


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