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【採用単価7万円/スカウトなし】求人広告に270万円使ったら1年間で9→45人になった話

8月末でitoqの3期目が終わるのですが、今期に関しては中途採用を本格始動させて会社の景色がガラッと変わりました。結果が出たことで「どうやって採用しているのか教えて欲しい」「採用に悩んでいる会社があるから紹介したい」と声がかかるようになりました。困った時はお互い様と思っているので、割りかしやったことは無償で全て話すようにしてきたのですが、話しそびれてしまうこともたまにあるので、全てnoteに綴りたいと思います。
手の内を明かすことや、中の数値を話すことは正直怖いですが、いわば商店街やフードコートみたいなもので、競合店と協力して業界全体を盛り上げる必要があると思っています。

🌈採用実績

「計画通りにいったか」といったら実際そうではなく、”出たとこ勝負の計画”という曖昧なものを実行したら想定以上の数字で着地した感じです。

主な実績はこちらです。

  • 新入社員の30人以上が退職しなかった

  • 採用単価10万円以下(今期の着地見込みは7万円台)

  • 地方採用と地方移住の実績の多さ(入社の過半数)

会社説明資料から抜粋

これらの実績を出せた中でも一番の自信になったのは、スカウトをせずに採用できたことです。
求人は1年間通して出していたのですが、スカウトを行ったのは初めの1回だけ。その際も代理店におまかせでお願いしていたので、実質スカウトを送る作業をしたことがありません。
採用を積極的に行う競合他社に比べても、1人あたりを採用する工数の少なさNo.1の会社なんじゃないかと自負しています。

また、一番嬉しかったことは入社いただいた方が1人も退職しなかったことです。自分に見る目があったとかではなく、新入社員の期待を裏切らず、ある程度以上は応えられているかなと、少しホッとしました。
また、地方在住の方の採用を多く実現することができ、地方創生の一端を担うことができたこと、そこに住んでいる方たちの可能性を大きく広げることができたことは会社経営の根幹にも繋がる大きな自信となりました。

もともと少数精鋭の会社にしたいと思っていたので、採用は積極的に行っておらずリファラルで完結していました。
では、そんな会社が見切り発車の採用をスタートさせて満足のいく成果を出せたのか、長くなりますが振り返りをさせてください。


💁‍♂️振り返り

1期目の取り組みと課題

創業当初は、SES会社を作りたかった訳ではなく、SESもできる事業会社を作りたいと思っていました。そのため、SESの割合も1年目は8人中3人、2年目は9人中4人と少ない割合で活動していました。

事業としては、コロナで計画通り行かないこともありましたが、根本的に未熟で自信もないので何をしたらいいのかわからず、手当り次第の毎日。
振り返ろうとしてもあまり思い出せないくらい早かった印象がありますが、

  • コロナ前からリモートワークをしていた

  • 単価を公開し利益がわかるようにしていた

  • 案件の決定権はエンジニアに持たせていた

  • 受託制作をスタートしていた

  • CloudMeetsを作っていた

このように、現在の事業の基盤になるものに着手できてよかったと思っています。お時間ある方はCloudMeetsのnoteもぜひ。

2期目のチャレンジと失敗

コロナがいつ終わるかわからないし、でも会社を前進させたいし、そんな中考えたのがフリーランスエージェント会社としての転身でした。

これに至った理由は主に3つです。

  • コロナで地方移住のフリーランスエンジニアが急増

  • フルリモート案件を見るようになった

  • 地方に本社があるitoqの親和性の高さ

SES会社は、お客さん側かエンジニア側かを"握ること"が大切なので、まずはエンジニアさんを集客し信頼してもらうことを優先的に動きました。
とはいえキャッシュフロー的に採用はできないので、フリーランスに絞って集めようと思っていたのですが、都内は競合の大手に勝てる見込みがなかったので地方を狙いました。結果は成功!
地方の会社だからこそ、心を開いてくれるフリーのエンジニアさんと繋がることができました。

お客さん側はクイックエージェント が大活躍!エンドクライアントと直接やりとりも取引もできるので、認識齟齬も無駄なマージンもないのでスムーズに契約することができました。
クイックエージェントを運営するポテパンの経営者の2人(宮﨑さんと鈴木さん)は陰ながら尊敬しています。

ただ、会社としてはここから大きく損を出していきます。
このまま売上と利益を伸ばし続けるためには「営業リソースが必要!」と思い配置転換を実施しましたが、あまり結果には直結しませんでした。
また、フリーのエンジニアさんに愛を持って営業したりフォローしたとしても、彼ら彼女らの事情や意向も様々で、なかなかLTVが伸びないことも悩みのタネでした。

あとは、CloudMeetsに大きく投資をしました。自社サービスがあることで、「本社長崎?」「創業2年目?」「リモート?」「鹿田って誰?」のような胡散臭さを少しでも解消したいと思っていました。

振り返りが長くなりましたが、失敗が全て無駄だった訳ではなく今期の成功に繋がっていると思います。

3期目の改善点

継続することとやめることを気をつけています。
ここでいう継続することは1期目に取り組んだことで、やめることは2期目に取り組んだフリーランスのエージェント会社として注力することです。
時間とお金が有限である中で、結果を出すために今はプロパー中心の会社に転換する必要がありました。理由は主に3つあります。

  1. 地方エンジニアの契約実績
    地方のフリーランスのエンジニアさんを1年間注力し営業しましたが、特にギャップやハンデを感じることはありませんでした。当時、右も左もわからない状況でしたが、実力のあるエンジニアはどこからでも求められるし、成長しているお客様はリモートの整備など柔軟な調整ができるのでシンプルに考えることが大切だと実感しました。

  2. 全国フルリモ採用の前例の少なさ
    大手企業であれば主要地域に支社があり全国採用も一般的だと思いますが、10人程度の規模の会社が全国から年間20人以上採用したい、という事例は聞いたことがありませんでした。ましてや、コロナ真っ只中だったので採用に対してポジティブに思っている会社もそう多くはなかった印象があります。競合が少ない分いけると思いました。

  3. 専任営業の採用
    創業して2年間、専任のSES営業はおらず兼任で対応している状況でした。サッカーで言う"0トップ"のようなフォーメーションだったのですが、当時の自分たちには難易度が高くうまく連動していませんでした。
    そこで絶対的なFWが必要だと思い、旧友の山本さんをなんとか口説いて入社してもらいました。もともと気の利く人の集まりだったため、うまく山本さんにボールが集まるようになり、全員で結果を出せるようになってきました。(分からない人も多いと思いますが、マンチェスター・シティに移籍したハーランドや、アーセナルに移籍したジェズスみたいな感じでハマったと思っています笑)


🎯itoqの採用手法

はじめにも書きましたが、採用に対して無駄な工数をかけないよう留意しています。理由はシンプルに大きく2つあります。

  1. まだ見ぬ新入社員よりも既存の社員に時間もお金も使いたい

  2. 一時的な広告よりも事業に投資して自力の魅力を永く作りたい

採用活動に時間をかけすぎることで起きる弊害は多いと考えています。

  • 本業や古株の社員に目を向けることを忘れてしまう

  • 流れ作業になってしまい面接で応募者からの信用が下がる

  • 判断基準が鈍る or 不採用を出す癖がつく

時間もお金も体力も有限のため、弊社のような小さな企業はやらないことを決める必要がありました。「採用基準に達していないけどとりあえず面接してみよう」や「応募がないからとりあえずSNSを更新しておこう」という曖昧な時間の使い方はしていません。

例えるのであれば、大将が1人で経営する寿司屋に近いと考えています。

ビラ配りやCMのような広告手法は使わず、仕入れにお金を使い味を追い求め、既存顧客を満足させるような感覚です。店から営業をかけるのではなく、見つけに来てもらう意識で求人を出しています。
座席数も回転数も限られているので大きな売上は見込めませんが、ファミレスほどのリスクは少ないかもしれません。

自分が在籍するのは、家族経営のアットホームな飲食店なのか、独自性の高いフレンチなのか、ファミレスのような大きな会社なのか、認識を履き違えてしまうと、応募者に対して魅力を上手く伝えることができません。

どんな人を採用しているのか

フルリモートで働けるスキルを持った方が中心となります。
特徴としてはこんな感じです。

  • 平均年齢30代前半(年齢幅は20代半ば〜40代後半)

  • 男性6:女性4

  • 既婚5:未婚5

  • 平均単価70万円(100万円越えは2名)

  • コミュ力が高い(察しがよくリモートでも困ることがない)

  • 家庭的(夫婦で移住 / マイホーム建設中 / 子供との時間を作る)

スキルは人間力の上に成り立つと思うので、逆に経験がまだ少ない方でも人として魅力がある方は内定を出しています。
調和も大事だと思うので、人間力があってもitoqにマッチしなさそうな人は見送ることもあります。

懇親会を開けば初対面同士でも勝手に仲良くなって、勝手に三次会まで行ってくれるので、下戸で人見知りな自分としては非常に助かっています(笑)

どう見極めているのか

  • 面接で判断しない
    初対面、かつリモートの1時間程度で相手のことをわかることはできないと思っています。(逆に自分の会社のこともわかってもらえない)
    面接は武装してくることもできるので真実を見抜けない時もあります。そのため、履歴書の書き方、メッセージの書き方、レスポンスの速さなど非同期で評価できる項目を見つけ可能な限り定量化するべきです。
    また、お互いにとって貴重な時間なので、わかりやすい会社案内資料を作成し事前に確認いただいています。
    itoqの面接は、趣味の話しかしなかったり、30分足らずで面接が終わり即内定を出すことも少なくありません。

  • 1人で決めない(1人の場合はとりあえず寝る)
    抽象的でも断片的でも疑問に思ったことは社員に相談するようにしています。ラッキーなことに自分より信頼できる社員がたくさんいるので、的確な答えを導き出してくれたと思っています。それまでは、1日おいて自分と相談してみることをやっていました。昨日の自分と今日の自分は別人、というポエマー的な感覚です。

応募数とどう向き合っているのか

  • 応募者増は内定者増ではない
    採用基準を設けているにも関わらず、未経験者からの応募も少なくありません。ちゃんと見てくれている人、探してくれている人に届けばOKという気持ちで、敢えてプランを上げずに求人を出し続けました。会社の規模にあった適切な応募数でなければ、人事の負担が増えて本業が回らなくなる可能性もあると考えています。

  • 結局は求人内容が全て(応募単価1,000円台を達成)
    社内受託チーム ATELIER-Q は現在デザイナー3名、営業1名で運営しています。今年、ATELIER-Qのデザイナーの求人を出した時は安価のプランにも関わらず応募数は400を越えました。スカウトなしで応募単価は1,000円/人です。SESの求人では毎回100くらいなので4倍。同じ会社でもこれだけ応募数が違うのは、結局のところ求人内容の差であり、まだまだSES業界への課題を感じる結果となりました。改めて応募者はちゃんと求人内容を見ているので、アピールできる実績や制度を追記できるよう本業と向き合うことを優先していきたいです。

スカウトをしないことについて

はじめて求人掲載した2021年9月、周りの声的にとりあえずスカウトがあるプランで掲載しましたが、試しに安いプランで掲載したら変わらず結果が出たのでスカウトやめました。
年間で計画通りに進められた、というよりも初めは恐る恐る出してみたら結果がでて、それを繰り返している状況です。

itoqの場合、内定承諾率が高いこと が採用の強みで、約7割の方が内定を承諾いただいています。
辞退された約3割のうち半分の方は、SES業界の経験がなく業界自体に魅力を感じていただけなかったことが主な理由です。次いで、家庭の事情での辞退もありますが、これは対策することもできないので割愛します。

結果として、同業他社の引き合いに負けることはほとんどなかったので、「内定5社出ている」「あと2ヶ月程度転職活動したい」という話もビビることなく「大丈夫です!転職活動応援しています!」と寄り添うことを徹底できました。応募者には余裕なのか何のかポジティブに感じていただき、最終的に弊社を選んでいただいたんだと思っています。(内心は毎日メッセージが届いていないかそわそわしていました)

結論テクニック云々ではなく、スカウトをしていないことと、プランが安く目立っていないこともあり、応募した時点でかなり興味をもった状態で応募してくれているから承諾率も高いと考えられます。
面接数も適度に抑えられるので、必要最低限の担当で対応できているのでメリットづくしと考えています。

【今後の課題】
ここ1年はスカウトを出せるほどの余裕がなかったので諦めましたが、将来的にはスカウトの採用手法も確立させたいです。

半自動化

SESの一連の採用活動は下記の流れで進むと思います。

応募 > 日程調整 > 面接 > 内定 > 承諾 > 入社処理 > 営業開始

itoqの場合、応募から面接までは基本的に鹿田1人で対応しています。
役立っているのは日程調整サービスのSpirです。
ダブルブッキングを防ぎながら、面接のURLまで自動で発行しています。

内定以降は、バックオフィスにおまかせしています。タスクの漏れがないのはもちろんですが、業務の切り出しができるので、日々ブラッシュアップしています。(本当に優秀な2人!)

エンジニアのリストはCRMにまとめているので、面接の振り返りはもちろん、営業するにあたっての特記事項、スキルシートや参画後のサポート内容など更新しているので、属人化せずに対応することができています。

【今後の課題】
ある程度は応募から営業開始までを一連の業務設計できていますが、より最短距離で自動化することで、さらなるコストカットと品質を上げたいと考えています。


🫰まとめ

長々と自慢めいた見栄えの良い書き方をしてきましたが、角度を変えればitoqもそこそこの数字かなと思う点もあります。
それは、かけるべき求人広告費を事業に使っているからです。

  • CloudMeetsの開発と運用のコスト

  • SESの販管費(還元率を高くしている)

  • その他1〜2期の取り組んだ事業

例えば100万円の採用予算があるのであれば、itoqは丸々求人広告に使うのではなく、60万円は事業に投資し残りを求人広告に使うと思います。

広告運用は商材によりけりです。求人は1回売って終わりの商材ではなく、1人採用すると何年も何十年も寄り添っていくことが必要です。
受け入れる準備ができていない会社が、一時的な効果しか発揮しない広告に頼ることはNG行為だと思います。
応募者の期待に応えるためにも、既に支えてくれている社員のためにも、事業に注力し会社の制度を整え、自力の魅力を高め信頼を裏切らないことが最低条件だと考えています。

最後に、現在掲載中の求人ページを紹介させてください。

採用担当者の方で、itoqに興味を持っていただいたらお気軽に鹿田のFacebookかTwitterかにメッセージいただいて問題ありません。
お金はいらないので、お互いに高め合うことができればと思っています!
もちろん、エンジニアで転職を考えている方もお気軽にご連絡ください!

長文ありがとうございました。
今後とも株式会社itoq(イトク)をどうぞよろしくお願いいたします!


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