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目立ちたい人の心理


※この記事は速読の練習用として使えるように、太字部分を読めば2,3分程度で読めるように書かれています。ぜひやってみてくださいね!



前回は“目立ちたくない人の心理”を見たが、今回はその逆の“目立ちたい人の心理”を見ていこうと思う。


目立ちたがり屋の2大パーソナリティ

目立ちたがり屋のパーソナリティとして、2つの特性がある。それはナルシストヒストリオニクスだ。これは同じ目立ちたがり屋の特性でありながら同時に、対照的な性格を持っている。

ナルシスト

まずナルシストだが、これは一般的にも聞き馴染みのある言葉だろう。なので、こちらは軽く説明だけしようと思う。

そもそもナルシストという言葉はギリシャ神話に登場するナルキッソスから来ている。そしてそのナルシシズムを呈する人をナルシシストと呼ぶが、日本ではナルシストと呼ばれる。
ナルシストの特性として、根底の自信過剰がある。ナルシストが目立ちたがるのは自分の方が上であることの誇示他人に賞賛されるためのもので、他人を感心させるための印象操作を目的とするイメージ戦略である。また、ナルシストにとって高すぎる目標を実現しているという空想をすることは、ストレス解消の役割も果たしており、自分の中で「理想化された自己イメージ」を演出するシナリオに従って自己コントロールをしている。


ヒストリオニクス

次に目立ちたがりのもう一つの特性であるヒストリオニクスを見ていく。ヒストリオニクスという言葉はあまり聞いたことがないという方が多いだろう。ヒストリオニクスとは日本語で言うと“演技性人格障害(パーソナリティ)”になる。そのヒストリオニクスたちの特性をひとつずつ見ていこう

刺激を欲するヒストリオニクス

ヒストリオニクスの特性のひとつに‟刺激を好む”といったことがある。

みなさんの周りにも最新の家電やガジェットが好きな人がいるだろう。新しいiPhoneが出るたびに買い替える人もそうだ。そういった行動も「刺激を好む」特性の一部だと言える。こういった人は常に刺激を求めていて、すぐに退屈してしまう。また、好奇心が旺盛であり、旅行などでも毎回行先や宿泊先を変える傾向にある。

ヒストリオニクスが刺激を欲する要因として、「他の強烈な刺激に目を向けて、本来の問題を考えないようにする」といった逃避的な考えがある。
これは一見悪いことのように聞こえるかもしれないが、ストレスに対しての有効な手段の一つである。だが、ストレスの対処のレパートリーが少なく、この逃避的な考えばかりに偏ると、問題になる。ストレスの対処として刺激を求め続けているヒストリオニクスはいつか破綻してしまう。セックス依存症やアルコール依存症などもその一例と言える。


誇張するヒストリオニクス

もうひとつ、特徴の一つとして“オーバー”ということがある。彼らはとにかく誇張した表現を好む。例えば地震が起きた時に彼らは「地震だ!地震だ!」と叫びまわる。場の雰囲気にのまれて感情的になり、それをオーバーに表現するのだ。彼らがしていることは新しい情報を付け加えるのではなく、その時の感情を増幅させているに過ぎない。

ヒストリオニクスは、冷静な状況判断ができず、すぐに「もう死ぬ」などの最も極端な感情表現に飛びついてしまう。彼らは内的な判断、思考作業が苦手であり、感情や漠然とした印象にすぐに振り回されて一番大げさな反応をしてしまう。近年使われる「超」や「~過ぎる」にもこの傾向が見えるだろう。


ノリの良さで生き残る

ヒストリオニクスについてマイナスな面ばかりを挙げたが、反対にプラスなる面もある。

それは‟ノリが良い”ということだ。

彼らはノリが良く、しばしばムードメーカーとなる。周囲の空気を敏感に察知し、即座にそれを盛り上げるように動く。このような直感的、全体的把握が得意であり、これが彼らの物事の把握の特徴となっている。

しかし、そういって見事にプラスに転じることができるのは健全なヒストリオニクスたちであり、病的なヒストリオニクスたちは自分の感情のままに動きながらその表現がオーバーすぎて周囲をしらけさせてしまう

ヒストリオニクスは場の空気を察知して、場の主導権を握るといった形で目立つことができる。しかし彼らの自己評価は低く、その場の空気に対立してまで貫くようなポリシーを持っているわけではない。自らを承認することができない彼らは、自分が今喜ばれている、忘れられていない、というような瞬間的なレベルで他人からの承認を求めるため、他者の期待や場の雰囲気を常に肌で感知している。だが、ポリシーや一貫性のない彼らの人生は、周囲の雰囲気や他人の期待によってたやすく揺れ動いてしまう。


ヒストリオニクスとは

つまりはヒストリオニクスをまとめると、根底の自信の無さがあり、他人に自分の存在を気づいてもらい、気に入られるために目立ちたがる。そしてそれにこれといったポリシーはないが、ノリは良いため常に空気を読んで周りを喜ばせるためのエンターテイメントとして目立ちを利用する。誇張を好みその場の感情を大げさに表現するが、それは騒ぎを大きくしているだけで新たな情報発信をしているわけではなく、客観的事実よりも印象を語ろうとする。そして受けたストレスは目新しい刺激に飛びつくという逃避によって忘れようとする。



目立ちたがり屋の全員がこういったヒストリオニクスというわけではないが、自分の周りの目立ちたがり屋、目立っている人に当てはまることが多々あるのではないだろうか。もしくは自分に当てはまるという人もいるだろう。だが、心理学者のミロンがパーソナリティの異常性としているのは、1つ2つの特定の行動の有無ではなく、ある特定のパターンが強固すぎて他の手段を使えないという硬直性である。

パーソナリティの説明にいくつかあてはまる部分があったとしても、それだけでそのパーソナリティに分類されるとは言えず、むしろ様々なパーソナリティ類型に少しずつあてはまるというのは柔軟性の証であり、成熟したパーソナリティであるといえる。

だから、これを読んで自分はこんなに当てはまっているからヒストリオニクスなのだろうか……などと心配にならないようにしていただきたい。




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参考文献

「とにかく目立ちたがる人たち」(2006) 矢幡洋



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