見出し画像

ソウダカツオのうずわめし


ソウダカツオばかり釣れる異常な夏

毎年8月にもなると、南伊勢〜熊野方面ではシオ(カンパチの幼魚)が釣れる。30㎝ぐらいでも引きが強く、食べても、刺身良し、焼いて良しで釣り人からは人気だ。何より他の青物に比べて色白の美人さんで、白く輝く魚体と薄ピンクの口元が美しい。

美しいシオ

ところが、今年はどこに行ってもシオの姿がなく、代わりにソウダカツオがめちゃくちゃ釣れる。カツオなんてこれまでは、たま〜に釣れたのを聞くぐらいだったのに。

異常気象で水温が上がってるからなのか、去年釣れたから今年も釣れるだろうが通用しなくなっている。

左の雨雲のところだけ雨が降ってて右側は晴天のはちゃめちゃな空模様

先日海に行った日は、15分ごとに晴れたり雨が降ったりを繰り返す本当に変な天気だった。

そんな異常な日だったからか、雨が止むと海面にナブラが立ち、案の定立て続けにソウダカツオが釣れた。

やってればもっと釣れたろうけど2匹で十分
はじめましてのケンサキイカさん

さらにメタルジグをしゃくっているとケンサキイカまで釣れた。自分はこれまでエギングでアオリイカを釣ったことは1度しかないけど、なぜかジグではよくイカが釣れる。

真っ赤になって怒り出したケンサキイカ。眉間の間をナイフで刺して〆るとスーっと真っ白になる。不思議な子だ。
なんかくれ〜とずっとそばにいたニャンちゃん

食中毒になると言う人もいれば、美味しいと言う人もいるマルソウダ

口と目の位置が近いことから、メヂカと呼ぶ地域もある

ソウダカツオにはヒラソウダとマルソウダの2種類があり、人によって「ヒラソウダは刺身で食べれるけど、マルソウダは食あたりする」とか、「どちらも危ない」とか、「ちゃんと処理すれば生食問題なし!」とか、見解はバラバラです。

青物の中でもマルソウダカツオは特に血合いが多く、すぐに痛んでヒスタミンによる食中毒の危険が大だそう。しかもこのヒスタミン、加熱してもなくならないそうで、傷んだソウダカツオは生だろうが火を通そうが、あたる。

ゆえに、ソウダカツオは通常ソウダ節と呼ばれるかつお節に加工されることが多く、鮮魚としてスーパーに並ぶことはほぼない。

そんな難儀な魚をどう扱えばいいのか。逃そうか。でも、釣れた青物はリリースしても死んでしまうことが多いので、ここは責任持って持ち帰ろう。

さて、どう食べようかしら。

調べると、釣れたら一刻も早く血抜きをして、血が抜け切ったら秒を争う早さで内蔵とエラを抜き、完璧に冷やして持ち帰れば、生食も可能とのことなので、すぐさまエラを切ってストリンガー で海に吊るし血抜きをした。

この時心臓が止まると血も止まるので、心臓は動いたまま、エラから頭にかけて刃を入れて、背骨付近にある一番太い大動脈を1箇所だけ切ると、ポンプ作用で効率良く血が出てくる。魚のためにもスマートに処理したいけど、いつまでたっても下手くそだ。

うずわめしとの出会い

しっかり処理はしたものの、食中毒のリスクがある以上家族には食べさせたくない。

ということで、自身が実験台となってソウダカツオの生食に挑むことに。

3枚におろしてみると、血抜きをしたにも関わらず身は真っ赤。身の半分は血合いじゃないかというぐらい赤黒い…。これは痛むのが猛烈に早いわけだ。

自分は血生臭いお刺身が苦手だし、どうしたものかなあ。ネギや生姜で誤魔化してなめろうにするしかないかなあと思って料理法を調べると、「うずわめし」と言う食べ方があるらしい。なんぞやそれは。

うずわとは、渦のような模様があるソウダカツオをさし、青唐辛子と一緒にたたいたソウダカツオの刺身をご飯に乗せ、醤油をかけて食べる漁師飯なのだそう。青唐辛子は大好きだし、なんだか夏っぽい粋な食べ方な気がしたので、ソッコーでうずわめしに決定。

見よう見まねでつくったうずわめし

まずは、さばいた身のかけらをすこし食べてみる。この時点で舌がピリピリするとヒスタミン中毒の可能性が大なので、潔く食べるのを諦めよう。

幸いピリピリ感はなく、見た目に反してそれほど血生臭くもない。どうやら血抜きと鮮度保持はうまくできていたようだ。

なめろうの要領で青唐辛子を混ぜて刺身を細かくたたき、刻み海苔を敷いた白飯の上に乗せて醤油をかけてかき込むと……

ウマイっ!

メチャクチャうまいじゃないか、うずわめし。
ソウダカツオの刺身はどうしても少し血の味がするけど、それを青唐辛子が爽やかに中和して、なんか夏の刺身!という清々しいどんぶりとして成り立っている。

これはワサビでは鈍重すぎる。やっぱり青唐辛子ならではの爽快感がいい!はじめに思いついた人の味覚すごい。

最後に、ソウダカツオの身を茹でた際にでた出汁をかけてお茶漬けにするとさらに最高。氷を入れて冷や汁のように食べても夏っぽくて素敵だと思う。

なまり節が止まらない

1人で2匹のカツオを生食はできないので、残りの身はなまり節に。

3枚におろした身を塩でさっと茹で、あら熱を取って2日ほどラップをせず冷蔵庫に入れて乾燥させれば完成。

ソウダカツオのなまり節

これを、マヨネーズや大根おろし、もみじおろしなど好みの薬味をつけて、ちまちまと食べると…

ウマイっ!

冷やした焼酎や泡盛なんかにピッタリで、全然止まらない。野暮ったいけどクセになる食べ物だ。

今後ソウダカツオが釣れたら、この食べ方が一番簡単でゆっくり消費できそう。

ケンサキイカってこんなに甘いのか

ケンサキイカとオオモンハタ

初めて釣ったケンサキイカは王道のお刺身に。
アオリイカ以外釣ったことなかったので、最初はヤリイカ?スルメイカ?何?って感じでイカの種類がよくわからなかったけど、知人に聞くとケンサイカで夏に湾内に入ってくるそう。

イカの中でも特に甘味が強く、身も厚いので、やはりお刺身がいいとのこなので……

ケンサキイカのお造り

1人分のお造りに。ゲソは軽く茹でて添えた。

食べると本当に嘘みたいに甘くてネットリとした食感。エンペラの部分はコリコリと楽しい歯応え。茹でたゲソが生姜醤油にぴったりなのは言うまでもないのです。

というわけで、異常な酷暑のせいかいつもの夏と違った魚種が釣れた日。新しい魚をさばいて食べるのは発見だらけで楽しい。

次は何が釣れるかなあ。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?