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ちょっとアホなことをしてみたら、永久保存版の自信が手に入った話。限界というのもただの思い込みかもしれないね。

新潟市で気温37度を記録し、全国的に猛烈な暑さだった2023年7月7日。
腰痛学校オンラインコミュニティ登山部の仲間と相模湖嵐山という低山に登りました。

気温30度を超えると半そで半ズボンで歩いても汗だくになりますよね。
それなのにザックをかついで山を登る。
家族には「アホちゃうか」「自分なら絶対に行かない」「自殺行為」とまで言われる中、家を出ます。

朝8時、家から駅まで歩くだけですでに汗がだらだら。
こんな気温の中、登山? 無理じゃない?
でも、行くのは相模湖嵐山。
湖の近くは涼しいはずと、自分に言い聞かせます。

それに……。
ちょっと「アホなこと」もしてみたかったんです。
普段はメリットデメリット、損得、先のことを考えて、安全圏で行動しているわたし。
自分一人では絶対やらないことをやってみるいい機会だとも思いました。

新宿から中央線で一本。
高尾駅でホームに降りた時のがっかり感。
「都心と同じくらい暑いやないかい!」

そうそう、前日の夜、夫が「今の季節の神奈川の山はヤマビルがでる」という(不必要で余計な?)情報を入れてきたので、いろいろと検索するとこんな記事が。

高尾駅で仲間4人と合流し、猛暑&ヤマビルの話になり、「登山はやめていきなり温泉に行っちゃおうか」というアイデアも出ました。
どちらかというとわたしはその案に一票(笑)
一応駅前の観光協会で聞いてみようということになりました。
相模湖駅の観光協会の方は「ヤマビル? 石老山では聞くけど、嵐山では聞かない」とおっしゃったことと、ちょうどタイミングよく観光協会の目の前に、嵐山登山口行きのバスが来たので勢いでバスに乗りました。
当初は登山口まで歩く予定でしたがせめてここは体力温存と、バスを選んだことは大正解でした。
山に入ってしまえばそれなりに涼しいだろうと期待して。


嵐山登山口

嵐山登山口。山頂までは800Mです。
この800Mをなめきっていました。
だって平地では800Mなんてあっという間。
上りの山道だとしてもそれほどたいしたことはないだろう。
とにかく暑いのでさっさと登っちゃおうとハイペース登ります。

ところが……。
急坂+休憩できるところない。
そしてなんといっても30度超の気温。
きついなんてもんじゃなかったです。
心臓が苦しくなり、呼吸がしにくくなり、ほんの少し命の危険を感じたほどです。


嵐山山頂から見た相模湖

なんとか山頂に到着。
この800Mで体力の8割を使ってしまった感覚でしたが、「まっ、あとは下るだけだし、なんとかなるっしょ」と気持ちを切り替えての下山道へ。

ところがどっこい、下りだけではなく上ったり、下ったり。
急坂、道なき道、手すりのないい本橋、藪漕ぎ、虫。
ちょっとしたアドベンチャーでした。
下りのはずなのにこんなに登るの? 
この道でいいの? という不安。
そしてなんといっても気温。
時間は12時前後、30度はゆうに超えていたでしょうね。

体調に不安をおぼえたのは、下山道、中ほどの休憩ポイントでした。
他のメンバーがおにぎりなど食べている中、わたしの胃は水分以外は受けつけず。
仲間が保冷剤を分けてくれたので、ひたすら頸動脈を冷やし回復につとめました。
立ち上がった時に軽いめまいと吐き気があり、残りの行程に不安を感じましたがこういう時には「考えちゃダメ」です。
さいわいわたしには、「無になる」という必殺技があります。
何も考えず、とにかく目の前の一歩だけ。
道なき道を踏み外し、急斜面に落ちないように。
それだけに集中し、なんとかかんとか下山。


メインはこちらの温泉

下山ルートは合計1時間30分ほど。
本日のメイン、温泉にたどり着きました。
入口の椅子に座り込み、しばらく動けませんでした。
早く靴を脱いで、ザックを下ろし、お風呂に入った方が気持ちがいいとわかっているのに、疲れ切ったのと安堵したので動けなかったのです。
そういえば、小学生だった息子が、遊び疲れてランドセルを背負って靴を履いたまま玄関に倒れこんでいたことを思い出しました。
靴を脱ぐ体力すら残っていない。
ここまでエネルギーを使い切ったことは何年振りのことでしょう。

苦行の後の温泉は、文字通り最高。
でも、それ以上に最高だったのがサウナ、というよりその後の水風呂。
滝のような汗をかいた後なので、今日はサウナはいいかな、思っていました。
サウナ大好きにもかかわらず。
これ以上汗をかかないほうがいい気がしたのですが、でも、それでもちょっとだけと3分サウナに入って、水風呂にちゃぽん。
すると疲れがすっと抜けました。
嘘のように覚醒したんですよね。
あれにはびっくりしました。
水風呂効果ってすごいのね。

その後は、他のメンバーがお酒とおつまみでおおいに盛り上がり、お酒を飲めないわたしは一人、おそばを食べて元気復活。
空腹感もここで戻ってきました。

登山の良さは「始めたらやめられない」というところです。
ほとんどのことは「途中でやめること」ができますよね。
わたしも普段から「ちょっとやってみて、イヤならやめればいい」と人に伝えています。
ほとんどのことはそれでいいのですが、それだと今までの自分の枠は壊せません。
自分の枠を広げるには、「もう無理、無理無理、やめたい、今すぐやめたい」ということを半べそかきながらやり遂げることが必要なのかもしれません。
そこで得られた自信は永久保存版ですから。

拙著『人生を変える幸せの腰痛学校』にもこんなセリフを書きました。

100%無理だと思い込んでいたことが、実際には無理じゃなかった。あり得ないって思っていたことが、やってみたらあり得たんです。

『人生を変える幸せの腰痛学校』212ページ

そして、その100%無理だと思うことに挑戦できるのは仲間のおかげです。
一人だったらできません。

つい〇年、○か月前まで
「足の裏がしびれて不安で……」
「痛いのが不安で……」
「座っていられなくて……」と言っていた人たちが、こんなに元気になってくれて。
その姿を見ることができたことが、私にとっては一番のご褒美でした。

腰痛学校オンラインコミュニティの仲間はわたしの誇りです。
猛暑日に登山をして、全員熱中症にもならず、ケガもせず、むしろ温泉とアルコールで元気になって帰宅しました。
夢のような1日でした。

たまには「アホなこと」もやってみるものです。


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