見出し画像

初学者あるある話⑤~不登法という高い山~

2020年度司法書士試験に合格されたスタッフのK.Nさんに、受験生時代を振り返っていただくシリーズ第5話です。現在司法書士試験の合格を目指して学習中の方は是非参考にしてみてください。

入門生の皆さんはそろそろ不動産登記法の講義も終わりになりますね。

おそらく「???」のままここまできてしまったという方がほとんどではないでしょうか。反対に不登法は調子良く理解できてバッチリ!という方がいたらどんなふうに勉強をしているのか、ぜひ私の方が教えていただきたいくらいです。今振り返ってみてもどうすれば良かったのかわかりません。それくらい、とにかく不登法は苦戦しましたし、私はそれを直前期まで引っ張りました。

講義を視聴して、問題を解いて、なんとなくわかったような気がして、しかし、次に問題を解くと、理解したと思っていたことはまやかしで、やっぱりわかっていなかったの繰り返し。なぜ自分はこんなに理解力がないのかと絶望しました。

何度もこの絶望感を味わって、ふと、そういえば民法を初めて習ったときもこんな感じだったなと気づきました。この「民法を初めて習ったとき」というのは行政書士試験で民法に触れたときのことです。やはり理解したと思ってはしていなかったりの繰り返しで、3回程講義を視聴し直しました。

この行政書士試験のアドバンテージがあるので司法書士試験の勉強を始めたときに民法はあまり抵抗感もなく進めることが出来ましたが、だからこそ民法と不登法の抵抗感にギャップを感じてしまったのです。結局自分は理解力がないので新規で習う科目はこの「3回の法則」(あくまで最低ラインが3回ということなので3回やればできるということではないです)に則るしかないと思ったら、少し気が楽になりました。

私が行った具体的な不登法の対処方法としては、問題演習をひたすら繰り返したことです。身も蓋もありませんし結果論ではありますが、間違えて相違を認識して覚える、という作業をしていました。

不登法は法律の条文上から考えるとできないだろうと思われることでも、先例でこの取り扱いもOKとしていることが多々あります。それはもう理屈ではなく無理矢理覚えるしかありません。先例が問題で問われる際は捻りがなくそのままストレートに先例が聞かれてきますが、これは覚えているか否か、という世界なので、とにかくテキストや過去問で触れられている先例は覚えるのみです。私はテキスト読み<問題演習を繰り返す派なので問題演習で間違えながらこれを覚えていきました。個人的には問題演習の繰り返しが一番実を結びやすいのが登記法のような気がします。

もちろん本試験では過去問で未出の先例も出てきますが、その場合は無理に戦わずに他の肢で判断できるようにしましょう(最近登記法は難化傾向にあるので、どうしても未出の知らない肢のみで戦わなければいけないときは、今まで自分が習ってきた条文や先例の傾向に照らし合わせて判断するしかありませんが……)。

学習が進んでいくとさらに混乱が生じてきます。たとえば抵当権と根抵当権の異抵当権はこうだったから根抵当権でも同じだろうと思っていると実は違っていたり、根抵当権でも元本確定前と元本確定後では扱いが違っていたり、習えば習うほど混乱が生じます。

あたまの中がごちゃごちゃしてしまったときは手を動かして簡単にメモでまとめていました。当時のメモがこちらです。

画像1

なかなか覚えきれないものは過去問を10回以上繰り返しましたし、それでも不安だったので試験延期期間を使って髙橋智宏講師の『択一登記法集中演習講義』を受講しました。

択一の問題数が多いこと、記述もあることから当たり前といえば当たり前ですが、11科目の中で一番時間を使ったのが不登法でした。最初からするすると突っかかりなく問題を解いてしまうより、突っかかって転んだ痛みで覚える、という科目だったのかもしれません。

講義終盤に近付いてもなかなか理解に結びつかなくて悩んでいる方も多いと思います。しかしこの試験は、不登法に入ってすぐ挫折してしまう方が多いのです。ここまで勉強を続けてこられたこと自体ひとつ大きな山を越えたのだと自信をもって、引き続き勉強頑張ってください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?