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北谷馨の質問知恵袋 「権利義務代表取締役」に関する質問

今回は、「権利義務代表取締役」に関する質問です。

Q:権利義務代表取締役Aが令和2年7月22日に死亡した場合、代表取締役としての退任日は本来の退任日になると思いますが、「令和2年7月22日代表取締役A死亡」としている解答例もあり、混乱しています。

権利義務役員は記述式でも頻出の重要論点です。代表取締役が絡んでくると難易度が上がるので、ここをきちんと処理できるかどうかがポイントになります。
以下、取締役会設置会社(取締役3名以上・代表取締役1名以上置く会社)を前提に、2つの事例を検討します。
取締役ABC・代表取締役Aがいるとします。

事例1
令和2年6月20日の定時株主総会終結時に、取締役ABCが任期満了退任したとします。
後任者が選任されなかったため、ABCは権利義務取締役となり、Aは権利義務代表取締役にもなります。
その後、令和2年7月22日に、Aが死亡したとします。

この場合、「令和2年6月20日取締役A退任」「同日代表取締役A(資格喪失により)退任」の登記を申請することになります。「権利義務が解消されたら、本来の退任原因及び日付で退任登記をする」というルールによるものです。

事例2
令和2年6月20日の定時株主総会終結時に、取締役ABCが任期満了退任したとします。
後任者が選任されなかったため、ABCは権利義務取締役となり、Aは権利義務代表取締役にもなります。
翌日、取締役会が開催され、Bが代表取締役に選定されて就任したとします(これによりAは代表取締役としては権利義務が解消されます)。

権利義務取締役ABCが取締役会を開催して代表取締役Bを選定した場合、Bは、「取締役としては権利義務取締役だが、代表取締役としては正規の代表取締役」になります。ここがポイントです。

その後、令和2年7月22日に、Bが死亡したとします。この場合、取締役としては「令和2年6月20日取締役B退任」の登記を申請することになります。死亡によって権利義務が解消され、本来の退任原因及び日付で退任登記をします。一方、代表取締役としては「令和2年7月22日代表取締役B死亡」の登記を申請することになります。Bは代表取締役としては権利義務では無かったため、「7月22日死亡」によって退任することになります。

「権利義務取締役だから代表取締役としても権利義務」と思いこんでしまうと失敗するので、注意してください。

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