兼任禁止の規定
会社法の学習でやっかいなのが、兼任禁止の規定です。まず、条文を見てみましょう。
まず、監査役の兼任禁止が圧倒的に大事なので、これを優先的に押さえます。
突然ですが、「鳥がたくさんいる場所」をイメージしてください。電線の上でもいいですし、池のほとりでもいいです。
その中に一羽、古株の、重鎮のような小鳥がいると考えてください。
「その小鳥、古参」
これが兼任禁止です。
さっきから何を言ってるんだ?となるので、解説します。今回は、語呂合わせメインであり、法律の話はあまりないです。
監査役は、
「その会社」と「子会社」の取締役は兼ねられません。
また、
「子会社」の会計参与も兼ねられません。
「その会社」と「子会社」の取締役
→その 子 取
→その小鳥
「子会社」の会計参与
→子 参
→古参
「その小鳥、古参」
古株の重鎮のような小鳥をイメージしていただければ、それが兼任禁止です。
その他、「その会社」と「子会社」の支配人・使用人・執行役は大体兼任禁止です。このあたりは細かく覚えなくても、取締役とセットで支配人等も大体兼任禁止、といイメージで結構です。
図にすると以下のようになります。
監査役の兼任禁止を覚えたら、「監査等委員である取締役(監査等委員会設置会社)」と「監査委員である取締役(指名委員会等設置会社)」の兼任禁止は楽勝です。
「取締役」が「業務執行取締役」になるだけです。
特に重要な「監査役」と「取締役」の兼任についておさらいとしておくと、あくまで兼任が禁止されているのは「その会社」と「子会社」の取締役なので、「親会社」の取締役を兼ねることは可能です。
もう1つ、兼任禁止の規定があります。
これは「指名委員会等設置会社」特有の話です。指名委員会等設置会社では、取締役は執行役を監督する立場にあります。そして、「支配人その他の使用人」は、ざっくりと言えば執行役の部下です。執行役の部下が執行役を監督することは期待できないので、指名委員会等設置会社の取締役は、支配人その他の使用人を兼ねることはできません。
なお、取締役と執行役は兼ねることが可能です(402条6項)。立法論としては批判もあるところですが、「執行役兼任取締役を通じた情報提供が有用な場合もある」などと説明されています。
くれぐれも、「指名委員会等設置会社以外の会社」では、取締役と支配人の兼任は禁止されていない点に注意してください。このあたりの知識が曖昧だと、「あれ、Aは取締役だから支配人の選任の登記はできないのでは?」というような大きなミスに繋がってしまいます。
ついでに、(指名委員会等設置会社を除いて)取締役と支配人の兼任は可能ですが…、
が…、何でしょうか。
代表取締役と支配人は兼ねられませんね。これは、完全に大小の関係になるので、兼ねる意味がないからです。したがって、代表取締役Aを支配人に選任しても、支配人の選任の登記はできませんし、逆に、支配人だったAが代表取締役に就任したのであれば、支配人の代理権消滅の登記をすることになります。
最後に、会計参与の欠格事由も合わせて確認しておきましょう。
監査役の兼任禁止と同じような語呂を使うと、
「その小鳥、オカン」
です(大阪弁)。
その → その会社
小 → 子会社
鳥 → 取締役
オカン → 監査役
あとは、取締役とセットで支配人等がついてきます。
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