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北谷馨の質問知恵袋 「略式手続の場合」に関する質問

今回は、「略式手続の場合」に関する質問です。

Q:合併等の組織再編手続で、反対株主の買取請求が認められない場合として「略式手続の場合」があると思いますが、具体的にどういう話なのかよく分かりません。

組織再編手続で、反対株主の買取請求が認められない場合は、ざっくりと言えば

①総株主の同意を要する場合
②簡易手続の場合
③略式手続の場合の特別支配会社

の3つです。

①はそもそも反対株主がいないからであり、②は影響が小さいから我慢してくださいというものです。
質問にもある③がやはり少し分かりにくいと思いますが、実は簡単な話です。

略式手続とは、A株式会社がB株式会社の特別支配会社である場合、A株式会社とB株式会社が吸収合併(吸収分割・株式交換)をするとき、支配されているB株式会社においては株主総会決議を省略することができるというものです(特別支配会社とは、試験対策上は「議決権の10分の9以上持っている会社」と考えて構いません。)

このとき、
・A株式会社では株主総会決議が必要であり、A株式会社の反対株主は買取請求ができます。
・B株式会社では株主総会決議を省略することができ(略式手続)、B株式会社の株主は、A株式会社を除いて反対株主の買取請求ができます。

「A株式会社を除いて」という部分が分かれば今回の質問はクリアです。
A株式会社がB株式会社の特別支配会社ということは、A株式会社はB株式会社の大株主です。B株式会社の株主構成は例えば「A株式会社950株・Cさん30株・Dさん20株」のようになっています。
そして、B株式会社の株主のうち、A株式会社を除いたCさん・Dさんは反対株主の買取請求ができます。逆に言うと、B株式会社の株主のうち、A株式会社には反対株主の買取請求が認められないということです。A株式会社と合併をするのにA株式会社が反対株主の買取請求をするというのは明らかにおかしいでしょう。

結論は簡単な話なのですが、「B株式会社の株主は全員買取請求できない」とか「A株式会社の株主は買取請求できない」というような誤解をされている方も多いので注意してください。

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