実務の話②~リーガルサポートの研修について~

皆さん、こんにちは!
クラスマネージャーの三村です。
今年もいよいよ残り少なくなってきましたが、体調を崩されてませんか?
寒い時期は体を温めることが免疫力アップの秘訣ですから、日本茶などを意識的に飲み、しっかり体調管理をしましょう。

さて、今回はリーガルサポート(以下、「LS」と省略)の研修制度についてお話したいと思います。
成年後見業務を行うに当たってLSへの入会は必須ではありませんが、家庭裁判所のLSへの信頼が厚いこと、会員への様々な支援体制が整っていること、案件がLS経由で紹介されることが多い点などを考慮すると、入会しないという選択肢ないでしょう。

そして、この研修なのですが、だいぶ時間がかかります(汗)。
研修にボリュームがあるのも理由の一つなのですが、LSへの入会と後見人等候補者名簿への搭載にはそれぞれ理事会と業務審査委員会の承認が必要で、そのタイミングを外すと次回の承認が2ヶ月後になったりするからです。

もし合格後、即独立するとすれば、大雑把な流れは

【1】司法書士会入会
 ↓
【2】 LS入会(理事会承認)
 ↓
【3】 研修(面談含む)
 ↓
【4】 後見人等候補者名簿への搭載申請(業務審査委員会の承認)
 ↓
【5】名簿登載式

とこんな感じに。

では、さっそく詳しく見ていきましょう!

【1】司法書士会入会

まず、司法書士登録をする必要がありますが、私の場合、登録まで2ヶ月弱かかりました。
各司法書士会で登録までの時間に差があるのかはわかりませんが、司法書士登録するまでにも時間はかかりますね~
その後、会員証が送られてきますから、その会員証のコピーを添付して、 LSへ入会申請します。

【2】 LS入会(理事会承認)

支部によっては入会前から研修を受講できるところもあるようですが、東京支部では入会後に研修を受講できるようになります。
入会後の重要なイベントとして、所属地区の地区リーダーとの「面談」があるんです。
(ちなみに、この「面談」と「研修の終了」、さらに「名簿登載式への出席」が後見人として仕事をするための必須の条件になります。なので、LSに入会しただけでは専門職後見人として推薦されませんし、相談員としても活動できないので注意しましょう。)
面談では何をするかと言うと、パソコンでLS等各種ホームページへアクセス出来ているかのチェック、所属地区や支部での後見業務の受託状況の説明、勉強会の説明(後見人として業務をするには、業務を行おうとする地域の勉強会に参加する必要があります)などなど。
ただし、この面談も地区リーダーにより方法・内容が千差万別みたいです。
私の場合、事務所に来所されましたが、こちらが地区リーダーの事務所に伺うこともあれば、電話で済ますリーダーもいるようです。

勉強会は各地区ごとに開かれており、私の所属する地区では月1回開かれていますが、2ヶ月に1回のところや年数回のところもあります。
参加者もLS会員のみのところもあれば、弁護士・社会福祉士・ケアマネなどの関係者が参加する勉強会もあり、地区によりまちまちですが、内容は事務連絡や情報提供、業務で分からない点をみんなで意見交換しつつ、話し合いながら解決していくものです。
勉強会は地区リーダーが仕事を割り振るにあたって、その人がどんな人なのかを把握している面もありますね。

あ、それと入会と同時に会費も落とされますよ!
入会費1万円と定額会費2千円/月です。だいぶリーズナブルな様な気がしますが、その理由は公益社団法人だからかな!?。
さらに!!
役員名簿やテキスト類も送付されてきます(なんだか優しくないですか??笑)。

ちなみに、送られてくるテキストには以下のものがあります♪

「法定後見ハンドブック」
「任意後見ハンドブック」
「後見監督ハンドブック」
「執務基準ガイド」
「本人死亡後の引継ぎ事務Q&A」
「LSの歩み」

【3】 研修(面談含む)

それでは、ここからいよいよ研修内容について見ていきましょう。

新規名簿登載に必要な研修は全部で15テーマ!!

①法定後見等の相談・申立
②成年後見の基礎実務1
③成年後見の基礎実務2
④リーガルサポートの報告制度
⑤保佐、補助の基礎実務
⑥後見等監督の基礎実務
⑦成年後見等の事件終了の基礎実務
⑧任意後見の基礎実務(相談・契約含む)
⑨成年後見制度の理念とリーガルサポートの成立過程と役割
⑩後見業務への心構え、後見人等の倫理
⑪認知症の理解
⑫知的障害者の理解
⑬精神障害者の理解
⑭虐待等、人権に関する内容
⑮指定研修

1テーマ約90分の講義に対し、それぞれ1,000字以上のレポートを提出しなければなりません。
受講する順番に指定はありませんが、提出期限は各研修を申し込んでから1ヶ月以内です。
また、研修動画内で音声によりパスワードが告知されますから、そのパスワードもレポートに添えて送信します。
 
ちなみに、レポートのテーマについては決まりがありません。
今後成年後見業務を行うことを前提に、受講して習得したこと又は気付いたことをもとに、自分でテーマを設定して作成していくことになります。

研修開始当初、単位認定は早いと翌日、遅くとも2,3日後だったのが、途中で3週間弱くらい経っても単位認定されない事があったんです。
「ええっ!?もしかして単位を落としたッッ??」
と心配になり、「単位認定されない場合ってどうなるんでしょう?」と、電話をかけたんです。
担当者の方曰く、「概ね2~3週間くらいで単位は付与されます。単位が認定されない場合は研修委員の先生から連絡がありますから」との事でした。
受講した研修とあまりにも無関係な内容のレポートだと単位付与されませんから、くれぐれも注意して下さいね。

私の感想として、15個ものレポートを書くのは結構な重荷でした。
司法書士試験では論文試験があるわけではないので、書く事に慣れてないということもありますし、テーマを自分で設定して自由にって言われると逆に書きづらいし、書くネタも尽きてくるというか...。
特に上記の⑥「後見等監督の基礎実務」は、後見人としての経験を積んでからでないと監督人に就任できないので書きにくかったですし、⑤「保佐、補助の基礎実務」⑧「任意後見の基礎実務」も後見の派生類型みたいな感じで書きにくかった記憶があります。
それでも、先述の送付されてきたハンドブック等のテキストを参照したり、認知症などの書籍を自分で購入し、書き上げました。
後見人の職務は基本的に被後見人本人が亡くなるまで続くわけなので、その責任の重さを考えると、レポートの負担も当然なのかなとも思いますけどね。

【4】 後見人等候補者名簿への搭載申請(業務審査委員会の承認)・【5】名簿登載式

そして、あとは後見人等候補者名簿への搭載申請をし、名簿登載式に出席するだけです。
名簿登載式は支部役員の出席のもと、自己紹介をしたり、2年に1回の更新の話(更新時にも研修アリです)や業務遂行上の問題点などを90分行います。
イメージとしては、地区リーダーとの面談の内容を膨らませたような感じかな!?
これでようやく後見人として仕事が出来るようになります。

ただし、ここで注意して頂きたいのが、後見人として仕事が出来るようになったとしても、職務対価としての報酬は1年後になるという事。
私の場合、 LSへ入会申請してから名簿登載式までおよそ9ヶ月(ある程度集中して研修に取り組んだので、これでも早い方だと思うのですが...)、さらに後見人としての報酬は1年後ですから、2年程度は後見業務から収入が入らないことになるので、他から収入を確保する必要があります。

【6】最後に

後見人として接するのは、やはり圧倒的に年配の方(しかも身寄りがなかったり)が多くなります。
歳を重ね、人生の終盤に向かっていく時、人は様々な出来事に直面しますよね。
病気になるのはもちろん、思いがけず仕事を失ったり、大切な人を亡くしたりもします・・・そんな人生の辛い時間に、たった1人でも誰かがそばにいてくれれば、1人でも多くの人が寄り添ってくれれば、力を得て、救われるんじゃないかなと思います。
「寄り添う」なんて簡単に言えないですし、傲慢な考えかもしれませんが。

合格後、あなたも後見業務に携わりませんか?


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