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【択一式】所有権に関する登記(髙橋講師)

みなさん、こんにちは。伊藤塾司法書士試験科講師の髙橋智宏です。

特別冬期講習のテーマ ~択一登記法ポイント講義~

今回から、冬休み中の受験生応援企画「蛭町講師&髙橋講師による特別冬期講習」をスタートしていきます。記述の神様と呼ばれる蛭町先生とのコラボ企画ということもあり、私の担当する択一式においても、登記法を扱い、多くの受験生が躓きやすい、かつ差が付きやすい論点のポイント講義を行っていきます。

択一登記法の対策に特化した「択一登記法集中演習講座」をご検討いただいている方は、その体験版としても参考にしていただければ幸いです。

ぜひこちらの冬期講習を通して択一式・記述式ともに登記法を強化してほしいと思います。

今回の問題 ~所有権に関する登記~

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【1】第1問の解説 ~相続資格の併有~

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被相続人Aの唯一の相続人であるBが,配偶者及び妹としての相続人の資格を併有している場合において,配偶者としては相続を放棄し,妹としては相続を放棄しなかったときは,その旨を明らかにした添付情報を提供すれば,AからBへの相続を登記原因とする所有権移転の登記を申請することができる(平27.9.2民二363号通知,登記研究820号)。

〔趣旨〕通常,相続放棄は被相続人の債務から解放される目的で行われるところ,相続人の資格を併有する者の相続放棄がされた場合は,いずれの資格においても相続放棄をしたものとして取り扱われるが,本問のように,添付情報から申請人は配偶者として相続放棄はしたが妹としては相続放棄をしていないことが明らかとなっているような場合には,それぞれの資格において相続放棄の意思を判断することが合理的であるからである。

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【2】第2問の解説 ~生年月日が登記事項になる場合~

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相続による持分移転の登記により,同一の不動産につき,住所を同じくする同名異人の共有者が併存することとなる場合,相続を登記原因とする当該持分移転の登記においては,相続人の生年月日が登記事項となる(昭45.4.11民事甲1426号回答)。

〔趣旨〕この場合,相続人の生年月日を登記記録に記載しなければ,登記記録からいずれの共有者なのかを判別することができないからである。

〔よくある質問 ~「住所を同じくする同名異人」は実際にいるのか~〕
Q. 「住所を同じくする同名異人」とはどのような場合でしょうか?相続人の間で住所と氏名が同一である場面が想像つきません。
A. 例えば,「山田太郎」とその妻「山田花子」が「田中太郎」を養子にすれば,太郎は「山田太郎」になります。その後「山田花子」が死亡すれば,相続人は夫の「山田太郎」と,養子の「山田太郎」になります。頻繁に起こることではありませんが,ありえなくはない話です。昭和55年度の記述式試験において出題実績もありますので,記述対策としても要チェックです。

【3】第3問の解説 ~法定相続情報一覧図~

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推定相続人のうち廃除の審判を受けている者がいる場合において,登記原因証明情報として法定相続情報一覧図の写しを提供して相続を登記原因とする他の相続人への所有権移転の登記を申請するときは,別途,推定相続人の廃除の審判書及び確定証明書を提供することを要しない(平29.4.17民二292号通達参照)。

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