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【記述式】申請の個数の判断-名変省略①(蛭町講師)

【1】記述式試験における過去問の活用

 司法書士試験は,昭和54年の第1回国家試験から令和2年まで,「国家試験」として42回実施されており,その全てに「記述式試験」として,模擬の登記業務を内容とするものが不登,商登各1問ずつ出題されている。42年分の出題実績は,出題傾向が「過去問の焼き直しプラスアルファ」となりつつある程の分量に達している。

 これは,出題実績を踏まえ,適切に出題予想ができれば,予想論点を軸に大幅に学習対象を大幅に絞り込み,記述式試験の学習時間を最低源に押さえ,その分,択一試験のための学習時間を増やすことが可能となることを意味する。

 出題予想と言えば,それに懐疑的となる受験生が普通であろう。しかし,私が考える出題予想とは,「出題の手口」(どの論点がどのように出題されているのか)を分析・把握し,それが現在の社会・経済・実務の動向の変化により,どのように変化,修正されるのかを「想像」することであり,出題の手口を把握している限り,誰でもすることができるものである。

 過去問は,様々な使い方が考えられるが,少なくとも記述式試験の過去問の使い方の本質は,「出題の手口」を分析・把握することにある。択一のように繰り返しそれを解いたところで,出題の手口を的確に分析できなければ,何度も同じ手口に引っかかることになるであろうし,何より過去問を,出題予想の基礎資料とすることができないからである。

 この連載では,「記述式過去問手口分析講義」を使って,連件申請で出題されている不登記述の申請の個数の判断のポイントを説明する。

【2】申請の個数の判断-原因関係の個数例外

 連件申請では,申請の個数及び申請の順序の判断が核心となっている。この判断を誤れば平成20年のように欄ズレにより0点となるからである。
 このうち申請の順序の判断は,中間省略登記禁止の原則に従い原因関係を時間順に整理し,登記の連続性の基本が分かっていれば,判断を大きく誤ることはない。むしろ,問題なのは,申請の個数の判断なのである。

 申請の個数は,原因関係の個数例外,一申請の例外を判断要素とするものであるが,多くの受験生がまとめ切れていないのが原因関係の個数例外であろう。
 原因関係とは,法律構成した法律関係のうち登記の対象となる法律関係をいう。この原因関係には,3つの申請の個数を減少させる例外と1つの申請の個数を増加させる例外の計4つがあり,近年の記述での失敗の多くが,申請の個数の判断の誤り起因するといっても過言ではない状態となっている。

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