なぜ就活はビジネスヘアにしなきゃいけないの?【見た目の印象論】
操作イトウです。
今回は、そろそろ本格的に就活が始まった人たちに向けたお話。
就活を始めると、当たり前のように「就活ヘア」にすることを求められます。「就活ヘア」といえば、男性なら短髪、または刈り上げてオールバックにし、女性なら低い位置で一つ結び。ブリーチなんてもってのほか。学生たちは、残り少ない学生生活の貴重な期間に、お洒落したい気持ちを捨てて「就活ヘア」にしなければなりません。
「そもそもスーツを着なきゃいけない理由も分からないし、個性をアピールするはずの就活で、ステレオタイプにさせられるのはなぜ!?」
ヘアスタイルから見た美容師の知見で、お答えします。
就活ヘアについては、以前にもお話ししています↓
■就活ヘアは「できる人」っぽく見える
学生に「就活ヘア」が求められる理由は、ズバリ、「できる人」っぽく見えるからです。面接などの限られた時間の中で自分を「優秀な人材」としてアピールするには、見た目の印象に頼らない手はありません。
そんな就活ヘアの重要なポイントは2つ、
①「おでこ」と「眉毛」
②「耳周り」と「襟足」です。
このポイントに倣わなければ、就活中の印象はガタ落ち、面接の結果に直結するほどの影響を及ぼします。
①「おでこ」と「眉毛」が見えると、「できる人」っぽい
下の絵は同じ顔ですが、前髪だけ変えています。
上段の123よりも、下段の456の方が大人っぽく見えるのではないでしょうか?
上段と下段の違いは、「おでこ」と「眉毛」の見え方です。
「おでこ」と「眉毛」が隠れていると、「幼い」「可愛い」「根暗」な印象に見えます。
対して「おでこ」と「眉毛」が出ると、「大人」「精悍」「仕事ができる」ような印象を与えます。
▼「おでこ」と「眉毛」は表情が出やすい部分だから
印象が変わる理由は、「おでこ」と「眉毛」は顔の中でも表情が出やすい部分だからです。言わずもがな、表情は言葉を凌駕するほどの情報量を持っています。
「おでこ」と「眉毛」が見えている状態は、相手に「私はこんな気持ちです」と伝えているようなものです。対して、隠れていると表情が見えにくく、「ミステリアス」で相手に気持ちが伝わりにくくなります。
就活の場面では、限られた時間で自分を好印象に見せたいので、「根暗」「ミステリアス」は避けたいところです。そのため、おでこの幅を広げて望むのが良いでしょう。
ちなみに、1の「眉上ぱっつん前髪」は例外的で、「アーティスティック」な印象も与えます。「眉毛」が出ていることで「活発」な印象ですが、「おでこ」が隠れていると「子供っぽい」印象に寄るので、「仕事ができる」人には見えにくいといえます。
②「耳周り」と「襟足」がスッキリすると、「できる人」っぽい
就活ヘアでは、「耳周り」と「襟足」をスッキリさせる必要があります。
近年、若者を中心に人気のウルフスタイルですが、これは「耳周り」と「襟足」を長く伸ばすのが特徴です。ウルフスタイルはカジュアルな私服に合わせることで本領発揮するスタイルですが、反面でフォーマル/ビジネスライクなスタイルには向きません。
▼カジュアルはだらしなく見える→仕事ができなさそうに見える
フォーマル/ビジネスライクなスタイルは、当然「仕事ができそう」に見えます。対して、カジュアルなスタイルは「仕事ができそう」には見えません。これは、カジュアルはだらしなく見えやすいからです。
カジュアルなファッションには、シワや劣化(経年変化)をカッコいいとする文化もあります。古着に代表されるダメージジーンズや使い古したブーツも、なんだかカッコよく見えます。
ですが、ダメージジーンズや使い古したブーツに不快感や不信感を感じる人もいます。「ダメージジーンズを履いていたら、おばあちゃんに心配された」というエピソードは、その典型です。
おばあちゃんからすると、
「ズボンすら新調できない→お金を稼げていない→仕事ができない」
と想像しているのです。高いお金を払ったヴィンテージのジーンズも、“見る人が見れば”カッコいいに過ぎないのです。
対して、フォーマルなスタイルのカッコいいの定義は、「清潔感」です。オーダースーツが身体を採寸して作られる理由は、スーツにはシワが無い状態がカッコいいとされているからです。
それくらい無駄がなく、ピシッとまとまったスタイルからは「高級感」も生まれます。「高級感」があると、「お金を稼いでいる→仕事ができる」と想像できるのです。
つまり、シワシワに経年変化したスーツは最悪です。ピシッと「清潔感」があるようにしていると、「できる人」っぽく見えるのです。
▼ヘアスタイルの清潔感は「耳周り」と「襟足」
ヘアスタイルにおいて「清潔感」に気を使うべきポイントは「耳周り」と「襟足」です。どれ程カッコいいヘアスタイルであっても、スーツのスタイルで「襟足の毛がシャツの襟にかかる」ことはナンセンスです。そのためウルフは、フォーマルとは対極なのです。
そのため、女性の「後ろの低い位置で一つ結び」というのも、就活ヘアでは必須です。
その際、「結ぶ位置」も重要です。「高い位置」でのポニーテールは、活発でガーリーな印象になります。対して「低い位置」でひとつ結びにすると、シックで大人っぽい印象になります。
これは、低い位置であればポニーテールの後ろ髪は動きにくく、ピシッとした印象になるからです。対して結ぶ位置が高くなるほど、後ろ髪は揺れてカジュアルな印象になります。
そのため就活ヘアにおいては、低めに結ぶ方が「できる人」っぽく見えると言えるでしょう。
■企業はどんな人材を求め、何を見ている?
就活が始まると、中々内定をもらえない、そんな方も多いはずです。「最終選考で落ちた私は、受かった彼らより劣っているのか」と自暴自棄になってしまうものです。
「やっぱり喋れる人が有利じゃん?」「自己主張が強い人とか、競争意識の高い人の方が強いんだよなぁ。」
では、就活生を選び取る企業は何を求めているのか?これは企業目線になると、イメージしやすくなります。
▼そもそも自己アピールが苦手…
自分を売り込むような面接に、苦手意識を持っている人は多いと思います。対策として就活のセミナーで指導を受けたり、就活用に「ガクチカ(学校生活の実績や思い出作り)」に励んでいる方も多いはず。
例えば集団面接になると、横に並ぶ就活生たちが明確に比較対象になって、ディベートするにもおしゃべりが得意な人が有利で、その人ばかり喋ると時間内に自分の持ち味を発揮する間もない、なんてこともあるようです。
だったら、いっそのこと見た目からインパクトある格好で臨んだ方が、アピールできるのでは?そんな時間の限られた面接で、人柄が分かるのか?
▼実は「自己主張の強い人」「破天荒な人」は求められていない?
もちろん、あらゆる企業はハイスペックで有望な人材が欲しいと考えています。例えば、事業が活性化する「起爆剤になりそうな人材」は魅力的です。ですが、同じぐらい魅力的な要素は「ウチの会社に調和できるかどうか」です。
大多数の中小企業は、従来のメンバーシップ型雇用がほとんどです。昨今注目されているジョブ型雇用はまだまだ少数派で、多くは能力主義ではありません。
メンバーシップ型雇用の場合、長く雇用することが多いため「ウチの会社に調和するかどうか」はとても重要な条件になります。即戦力という意識よりも、雇用している間に育てて能力が身につけば良いので、社内のチームの輪を乱さず、力になってくれる人材の方が重要なのです。
対して「起爆剤になりそうな人材」は、「破天荒」で「自己主張が強い」人のように感じます。ですがこのような人は、悪く言うとトラブルメーカーになる可能性が高くなる。
日本の雇用制度は解雇する条件が厳しいため、簡単に人をクビにできない事情もあります。長い期間雇用する前提では、トラブルを起こしそうな新人は受け入れたくないのです。
そのため、今いる従業員からの信用・信頼を得れることは、会社にとって重要な要素なのです。
■就活はルッキズムに反する?
とはいえ就活は始まったばかり。まだ現実を受け入れられずに、就活を渋っている人、くすぶっている人もいるでしょう。
「だからって、ステレオタイプにさせられるのには納得いかない!!」「見た目から個性を主張したい!」「そんなのルッキズム(見た目による差別)に反する!」
踏ん切りがつかない気持ちもわかりますが、よく聞くその言い訳は通用しません。
▼「人は見た目によらないのでは?」
「人は見た目によらない」と言いますが、それは初対面の人には通用しません。初対面の人との対話において、「外見」はめちゃめちゃ重要です。相手のことを知るには時間がかかるからです。
「人は見た目によらない」は、ある程度時間を共有した人に対して生まれるもので、「見た目によらない」良い部分を見出しているに過ぎません。
▼就活ヘアにもできない人は「やばいやつ」だと思われる
先述した通り、多くの企業は「起爆剤になりそう」な人材よりも、会社に適応しつつ良くしてくれそうな人材を求めていることが多いです。
つまり、大事な面接に奇抜な格好をしてくる程の「破天荒な人」はいらないのです。将来を左右するであろう“この局面”で就活ヘアにもして来ない人は、常識知らずの「やばいやつ」だと思われるだけなのです。
就活ヘアでステレオタイプになることは、ルッキズムを否定しているわけではなく、「就活のために就活ヘアにする」という行為が、「節度のある」「一般常識を守れる」「覚悟を持った」人だという証明なのです。
■美容師はいつでも就活生を応援しています
僕は職業柄、就活に出向く学生を見送ることが多いです。我々美容師は、いつでもヘアスタイルを通して就活生を応援しています。
がんばれー!!
ではまた。
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