イトグチヤ

わたしの「心地よい」を探す物語 − イトグチヤは、奈良県奥大和地方 室生にある古民家のお宿です。 わたしがお宿を営む中で、日々肌で感じる空気をできる限り言葉にできればと思っています。

イトグチヤ

わたしの「心地よい」を探す物語 − イトグチヤは、奈良県奥大和地方 室生にある古民家のお宿です。 わたしがお宿を営む中で、日々肌で感じる空気をできる限り言葉にできればと思っています。

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    新しい旅のカタチを模索する

    「 自分を大切にする 」 誰もがどこかしらで出会ってきたであろう言葉だが、具体的にどうすればいいかを知っている人は、案外少ないのではないだろうか。 かくゆう私は「自分を大切にする」という言葉を知るよりも先に、傾聴!カウンセリング!とカウンセラーをしている母の影響で、自分と向き合う機会がたくさんあった。時には怒りや悲しみといった感情の行き先として、新聞をビリビリに破いたり、プラスチックのバットでクッションを思いっきり殴るなどした。 そんな幼少期を過ごした私にとって、カウンセ

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      • 海と 酒器と

        海のない奈良で、磯の香り漂うイベントをやります。 島根県隠岐諸島の一つ、知夫里島より直接仕入れた海産物と、 オーナーの偏愛によって集められた酒器とを味わう一夜限りのイベント。 ゴールデンウィークの始まりに、ちょっとディープな体験はいかがですか? ご案内お申し込みはこちら 物語陸の孤島「室生」と、モノホンの孤島「知夫里島」 今回その2つを結んだのは、たびたびnoteにも登場する弊パートナー。 島根県隠岐諸島で高校時代を過ごした彼曰く、このふたつの孤島には時計の針では示せ

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        • 擬態する感情

          天井にシミができた。 人ふたり覆うほどの大きなシミだ。 イトグチヤが冬休みに入ってからというもの、日々増していく寒さと湿気に負けないようにと、換気と火入れだけは毎週欠かさず続けてきた。 にもかかわらず、今私の頭の上にはメタモンのような形をした模様が張り付いている。 心なしか天井が紫に見える。 あと、なんだかいつもよりフローリングが冷たい気がする。 視線を落とした先には、これまた大きな水溜り。こっちは水色のメタモンかぁ。 受け入れ難い現実に、一瞬ポケットからモンスターボー

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          • 思考の循環

            いつだって、花をもらうのは嬉しい。 「あなたのことを大切に思っているよ」と言われているようで、恥ずかしくも暖かな気持ちになる。なるんだけども、パートナーともなると、その思いやりだけでは心許ないなと思うことがある。 冬の始まり。ガンガンに焚いたストーブに背中を預け、部屋の隅でぶら下がった花束を眺めている。この花をくれた人とは、地味で終わりのない話をたくさんしてきた。 イトグチヤが12月から冬休みに入る。 気密性とは縁遠い古民家だ。どんなにストーブをたいても室温はせいぜい20

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            猫になれる宿

            「ここは猫になれますね」 縁側から外を眺めていたお客さんに言われたことがある。 彼女が座っていた古い籐のロッキングチェアは、足もとにオレンジの陽だまりができてじんわり暖かい。いかにも猫の好きそうな場所だった。 こんな時、「猫が好きそうな」とか「猫が居るような」などと言いそうなものだが、彼女は「猫になれる」という表現を選んだ。 私はこれに似た言葉を、ある暗闇で聞いたことがある。 大阪のど真ん中。たくさんの人が行き交う場所に、純度100%の暗闇を体験できる「対話のある家」とい

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            素っ裸で出会う

            「印象に残っている素敵な出会いはなんですか」と聞かれると、ちょうど1年前、とある温泉での出来事が思い出される。 道端のススキが揺れ、遠くに香る金木犀に気づく頃、私は故郷の九州で湯船に浸かっていた。脱衣所と、地面に掘った浴槽だけのシンプルなつくり。一見温泉とは分からないほど集落に馴染む、いわゆる秘湯である。 中は狭く、6人も入れば窮屈になってしまうため、入浴時間は原則1時間。目の前の秘湯にワクワクした顔と、さっきまでの極楽タイムにほくほくした顔が、やや忙しなく入れ変わる。

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