奇妙な癖

　古書店で、中学や高校、大学時代に図書館で読んだ単行本を見つけると、つい手が伸びる。買ってしまう。
　その傾向はずいぶん前からあった。
　でも、その場合、その小説の文庫本を買うことが多かった。
　その時代の単行本は、すでに絶版になっていることが多いので、必然的にそうなってしまったという側面もある。
　文庫本でもそういうことが起こる。すでに文庫本を持っているのに、新装版で、表紙が変わると、つい買ってしまうのである。
　解説が変わっているのならまだしも、そのままでも買う。
　というわけで、同じ内容で、表紙だけが異なっている文庫本がそれなりにある。
　困ったものだが、後悔はしていない。奇妙なものだ。