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レポート | 2024年1月と2月のいとち | 学びと体験のかしまへ

2024年も2月中旬に入りました。寒い日が続いていますが、いとちプロジェクト、今年も日々順調に、そして楽しく活動しています。この2ヶ月を振り返るレポートを掲載しました。しばしお付き合いください。

日々のいとちワーク

毎週火曜日14時より、いとちワークが実施されています。いとちワークは、病院や施設から一歩地域に出て、その地域の風景の中を歩いたり、地域の人たちとおしゃべりしたり、暮らしぶりを想像したりして地域を学ぼうという研修ワークです。講師は、いとちプロジェクトのメンバーが務めています。誰になるかは運次第です。

こちらは2月のいとちワークの模様です。寒さも落ち着きつつあり、ゆったりと歩けるようになりました。鹿島町久保の穂町地区、木船地区、病院のある鹿島町上蔵持地区などを30分ほど歩きます。

筆者がガイドをして歩いています
いわきヘリテージ・ツーリズム協議会のガイド、皆川亨智さんも参加
地元の風景、季節感を感じる時間

いとちワークでは、気になった風景をパシャパシャとスマホで撮っていくんですが、美しい写真を撮ることより、「スマホで写真を撮ろう」と身構えること、その姿勢が大事なのかもしれません。

今年から、いわきヘリテージ・ツーリズム協議会の皆川亨智さんがワークに参加くださっています。いわきの暮らし、文化的な背景などについても適宜レクチャーしてくださっていて、私たちメンバーにとってもたいへん充実した地域体験の時間になってきました。

病院での実習の様子

かしま病院には、毎週月曜日から金曜日まで福島県立医科大学の学生が2名ずつ研修に入っているので、毎日何かしらの研修プログラムが組まれています。火曜日は「いとちワーク」ですが、それ以外の日も現場でめちゃくや動いてもらうというのが研修スタイル。

下に紹介するのは、いずれも1月の研修の模様です。

胸水穿刺を行う研修医と医学生

胸に水が溜まった患者さんの胸水穿刺(せんし)の様子。医学生や初期研修医にもやってもらっています。この胸水穿刺は、診断検査に必要なサンプル液を採取したり、胸水が肺組織を圧迫することで生じる息切れを和らげたりすることが目的。肋骨の間から針を刺し、胸腔内まで進め、肺に届かないようにして注射器で水を抜き取ります。

胃瘻にお水を入れる処置も、学生にやってもらいます

こちらは、胃瘻(いろう)の方に給水する医学生の様子です。胃瘻の方も水分補給が必要です。学生からは「胃瘻は、将来自分が指示を出すかもしれない対応ですが、現場の医療職の皆さんが、いかに丁寧に処置や検査をしてくれているのかわかりました」「寝たきりと思っていましたがたくさん話をしてくれました。思い込みをせず、その人と向き合う大切さを学びました」という感想が出てきていたそうです。

患者さんへの語りかけ

通常、医学生の研修は月曜日から始まりますが、さっそく月曜から、病院や施設に赴き、患者さんや利用者さんに声かけをしてもらいます。文枝先生によると「上の学生はちょっと上からの目線になってしまって、こういう声かけの仕方だと、あまりいい反応をもらえません」とのこと。こういうことはやはり現場でしか学べません。

また、文枝先生からはこんなコメントも。「人が老いていくこと、死んでいくことを、頭の中では漠然と理解はしているものの、学生たちは、高齢の方や、入院・入所されている高齢者と対話した経験がほとんどない。そうした人たちとの出会い・対話は、大きな学びになると思います」

地域での医療は「看取り」とは無縁でいられません。個人の尊厳を守りながらできるだけ自分らしく最期の瞬間まで生きる。そのサポートを、多職種の人たちが連携して行っている現場をみる/知ることで、頭の中で考えてきた「医療」をいい意味で崩す。そんな時間になっているようです。

学び酒場「いとちナイト」

少しまとまった期間、かしまで過ごす学生は、研修の成果発表と慰労を兼ねた宴会「いとちナイト」に参加します(強制ではありません)。今回は、1ヶ月間、かしまホームに滞在しながら病院&地域での実習に参加した、杏林大学医学部の5年生、河野龍之介さんの発表が行われました。

河野さん(左から二人目)を慰労するいとちナイト
現役の薬剤師など、かしま病院のスタッフも参加してくださいました

いとちナイトは、だいたい2、3ヶ月に1回くらいの割合で開催されていますが、どの回にも、かしま病院理事長の中山大先生が参加してくださり、自身の医学部生時代の話や、病院の運営についてなど、さまざまな話をしてくれます(お酒も若干入っているので、かなり盛り上がります)。

学びの時間もしっかりあります。今回は、第99回常磐医学会にて会長賞を受賞した、かしま病院薬剤部の荻野太文さんも来場。「医・薬学部連携型臨床実習の試みー実践的なチーム医療人の育成を目指して」という、賞を受賞した際のプレゼンを私たちにも見せていただきました。

荻野さんのプレゼンにも「育成」という文字がありますが、かしま病院の取り組みが、ここにきて「人生育成」「学びの場づくり」というところに収斂されてきたようにも感じます。とてもいい流れができてきました!

2024年、いとちプロジェクトも3年目。学生や研修医、地域の人たちにとって魅力的で刺激的な「学びの場」に育てていけるよう、今後もアイディアを絞りながら楽しく運営していきたいと思います。

いとちの研修が気になる方は、ぜひご連絡ください。老人ホームを改装した宿泊施設「かしまホーム」に滞在しながら、現場での実習を受けることができます。医療系ではない学生の滞在も可能です。ぜひ私たちと、鹿島のまちを歩きましょう!!

以上、いとちプロジェクトのメンバー、小松理虔のレポートでした。

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