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24卒新入社員いとちインタビューvol.8 | コロナ禍での実習から学んだコミュニケーションの大切さ

みなさんこんにちは!いとちインターンの高橋果歩です。

医療と地域、「い」と「ち」の担い手によるコミュニティデザインプロジェクト「いとち」では、いわき市鹿島町にある「かしま病院」のスタッフや医師、地元住民やまちづくりのプレーヤーと一緒に、医療と地域のよりよい関係を目指し、さまざまな取り組みを行なっています。

今日皆さんに紹介するのは、今年の4月にかしま病院へ入職したリハビリ職3名の方へのインタビューです。今回インタビューした3名のうち、伊藤さんと馬場さんが理学療法士、渡邉さんが作業療法士です。なぜリハビリ職を志し、かしま病院に入職したのでしょうか。リハビリ職を目指したきっかけから新人研修での学び、今後のビジョンなどについて、幅広く伺いました!

早速インタビューの模様をお伝えしたいところですが、3人へのインタビューに進む前に、「リハビリ」について簡単に説明します。

リハビリテーションとは、病気やケガなどによる後遺症や障害のある方が社会復帰を目指すために行う訓練のことで、患者さんに寄り添い適切なサポートを行っているのがリハビリ職のみなさんです。

そしてリハビリ職は、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)の3つの専門職に分かれています。「理学療法士」は、患者さんの心肺機能や「座る・立つ・歩く」など基本的動作の能力を判定し、アドバイスやサポートを行います。

「作業療法士」は、自分らしい生活を送ってもらうことを目標に、患者さんの認知機能や、食事や着替えなどの日常生活機能のリハビリをサポートします。「言語聴覚士」は、話す・聞く・食べる・飲み込むなどの機能が低下している方に、言語能力や聴覚能力を回復させるリハビリテーションを施す、いわば「食べる・聞く・話す」のスペシャリストです。

リハビリ職の説明はここまで。それではインタビューをご覧ください。聞き手は、いとちプロジェクトの水野さんです。

伊藤杏優さん

【プロフィール】伊藤杏優(いとう・あゆ)
2001年生まれ、福島県いわき市出身。いわき市・医療創生大学健康医療科学部理学療法学科に入学。理学療法士免許を取得した後卒業。2024年4月かしま病院に入職し、リハビリテーション部理学療法科で理学療法士として働く。


馬場健成さん

【プロフィール】馬場健成(ばば・けんせい)
2001年生まれ、福島県南会津町出身。いわき市・医療創生大学健康医療科学部理学療法学科に入学。理学療法士免許を取得した後卒業。2024年4月かしま病院に入職し、リハビリテーション部理学療法科で理学療法士として働く。

渡邉熙之さん

【プロフィール】渡邉熙之(わたなべ・ひろゆき)
2001年生まれ、福島県いわき市出身。いわき市・医療創生大学健康医療科学部作業呂方学科に入学。理学療法士免許を取得した後卒業。2024年4月かしま病院に入職し、リハビリテーション部作業療法科で働く。

入職から1ヶ月、今の業務は?

水野:インタビューを引き受けていただきありがとうございます。3人は今年の4月からかしま病院へ入職されましたよね。今、かしま病院では、どのような仕事をされているのですか?(4月26日のインタビュー時点)

馬場:私と伊藤は、かしま病院で、理学療法士として働いています。今は指導してくださる先輩の後ろについて、担当の患者さんが体を動かしたり、スムーズに歩行ができるようサポートしています。カルテの書き方も、先輩のものをみながら学んでいる最中です。

渡邉:ゴールデンウィークが明けると、現場を1人で担当するようになります。そのタイミングに向けて、先輩にそばでみてもらいながらも、自分たちが主体となり患者さんをサポートする段階に入っていますね。

リハビリ研修は本番のような緊張感が漂っていました

水野:ありがとうございます。まだ入社して26日なのに、独り立ちの準備期間に入っているなんてすごいです。私はまだまだ、先輩の後ろについていくことばかりですので…。

入職してみつけた仕事のやりがい

水野:新しい環境に飛び込んで慣れないことも多いとは思いますが、どういった時に仕事のやりがいを感じますか?

馬場:では、僕から。これが“やりがい”というのかは分からないですが、ひとつ印象に残っているできごとがあります。
先ほど、先輩が担当する患者さんを少しだけ介助する機会があると話しましたよね? 最初のころは、やり方があやふやでした。後ろでみている分には簡単なのですが、いざやってみると全然うまくいかなくて…。

患者さんに迷惑をかけてしまっていると思っていたのですが、ある方に「馬場君のためなら歩くのを手伝うよ」と優しく声をかけてもらったんです。患者さんに応援してもらっているんだから、僕も頑張らないと、と思いましたね。その方のために、指導者の方にコツを聞いたり、 自分なりに試行錯誤しながらやってみました。

今では当時より、歩行の介助が上達したかなと思います。患者さんにも「馬場君、いいよ」と言われることが増えました。それが僕の中では“やりがい”であり、この仕事を続けられている理由です。

わからないことは積極的に先輩に聞くようにしているといいます(左が馬場さん)

伊藤:最近、ストレッチや筋トレをやりはじめたのですが、終わった後に患者さんから「ありがとう」と言われると、馬場くんと同じく「よかった」と思います。知識はまだまだ身についていないのですが、これからもっと勉強していい治療を提供し、「伊藤さんのおかげで良くなったよ」と言ってもらえる日が来ればいいなと思っています。

患者さんの様子を見ながら、優しく話しかける伊藤さん

渡邉:昨日の自分より、 今日の自分が少しでも前に進んでいること。日々の進歩を感じられることが、やりがいにつながっているのかなと思います。「昨日より楽に起こせたな」とか「意識して取り組んだことがうまくできたな」とか。

あとは、現場で働く中で、学んできたことを活かせているという実感ですかね。患者さんの体調について先輩に質問するときは、これまで習ったことを踏まえて自分の意見を伝えているのですが、「渡邉くんの見方であってるよ」とフィードバックもらえると嬉しいですね。

身近だったリハビリ職への憧れ

水野:自分の成長実感や誰かのために頑張ろうと思えることが、みなさんのモチベーションにつながっているんですね。ではみなさんがリハビリ職を目指したきっかけは何だったんですか?

馬場:幼少期、家の近所に鍼灸師の方がいたんです。 中学・高校でその方にすごくお世話になって、最初はその方に憧れて、「どうすれば鍼灸師になれますか?」と聞きました。 いろいろ話をしていくうちに、「理学療法士」という職種を教えてくれて。

初めて聞いた言葉だったので調べてみると、「高齢者や疾患のある方々の運動機能を向上させるために働く人」と紹介されていました。「人の役に立てる職業だし、かっこいいじゃん!」と思って。そこから、医療創生大学に入学して、理学療法を学び、現在に至ります。

片手でストレッチャーを押し、もう一方で心肺蘇生をする研修も

水野:なるほど。さきほどのやりがいのところでも、患者さんに「馬場君いいねと声をかけてもらえるのが嬉しい」と言ってましたが、「人の役に立てるかどうか」を大切にされているんですね。

馬場:そうかもしれません。患者さんから「ありがとう」と言ってもらえることに喜びを感じますね。患者さんの言葉が頑張るエネルギーになっています。

伊藤:私は、母が半年ぐらい入院していた病院での体験がきっかけです。ほぼ毎日お見舞いに行っていたんですが、担当だったリハビリ職の方の働きぶりを間近でみて、こういう仕事もあるんだと知りました。

根っこは馬場君と一緒で、「人の役に立つ仕事をしたい」とずっと思っていましたね。生まれ育ったいわきで、いろんな人の役に立ちたいという想いから、理学療法士を目指すようになりました。

体を動かすには、患者さんと心を通わせることも大切です

渡邉:私がはじめて作業療法士に出会ったのは、父が肩の靭帯を損傷して、病院でリハビリに励んでいたときです。父に続いて私も肉離れになってしまい、しばらく利き手と反対の手で過ごさないといけない期間が続きました。

頭を洗うことや、ご飯食べることは普段何気なく行っている動作ですが、基本的な動作が難しくなると些細なことがストレスになってしまうんです。そこから、「自分と同じように、心や身体に障害のある方たちが少しでも良くなる方法ってなんだろう」と考えるようになって。

その後、父の担当だった理学療法士の方を思い出し、いろいろ調べていたらリハビリ職にたどりつきました。私は日常生活が過ごしやすくなるようにサポートしたかったので、 作業療法士をやってみようと決めました。

雰囲気の良さに惹かれてかしま病院へ

水野:みなさん、それぞれの実体験をもとにリハビリ職を選ばれているのですね。実体験をもとに「リハビリ職」の道へ進むことを決断したからこそ、想いをもって取り組まれているのではと思います。ところで、数ある病院の中で、かしま病院を選んだきっかけを教えてください。

伊藤:夏に見学でかしま病院を訪れたのですが、理学療法士の方と患者さんが、楽しそうに会話しながらリハビリしている光景を目にしました。雰囲気がとにかくよさそうだなと思ったのが決め手ですね。

水野:雰囲気は大事! ギスギスしたところは続きませんよね。私も雰囲気がいいところで、楽しくやりたいです。

入職してすぐのインタビューで緊張した面持ちの3人

馬場:僕も伊藤さんと同じで、 かしま病院に見学へ行ったときに、時折笑い声が聞こえるほど明るい雰囲気を感じました。患者さんと理学療法士、作業療法士の方々の関係性に、雰囲気がいいなと思いましたね。

あと、僕の祖父母はいわきで暮らしているのですが、祖父母に「かしま病院に就職しようと思ってるんだよね」と相談した時に、「かしま病院は本当にいいと思う」「医師や看護師の方、スタッフの雰囲気が明るいから」と言っていました。

地域の方たちからもそういう声があがるのは、やはりいい病院だと思いますね。祖父母も後押ししてくれていることだしと、かしま病院で働く決意をしました。

終始にこやかにインタビューへ応じてくれました

水野:実際かしま病院にかかっている方の声は、嘘がないので信用できますよね。 地域の方からの評判は、私たちスタッフのモチベーションになる気がしました。 

あと馬場さんの出身は、いわきではなく会津と伺っています。地元に戻りたいという思いはなかったんですか?

馬場:地元に戻るという選択肢も考えたんですが、祖父母になにかあってもすぐに駆け付けられる距離の方がいいなと思い、かしま病院を選びました。

水野:そうだったんですね。では最後に、渡邉さんお願いします。

渡邉:通っていた大学に、昔かしま病院へ勤めてた先生がいらっしゃって、その方の話を聞いて決めました。「多職種でコミュニケーションを取りやすい」、「 地域での予防や生活維持まで、トータルで診られる」などですね。中でも「医師やソーシャルワーカーとのコミュニケーションが取りやすい」という意見を聞いて 勉強になりそうだなと思いました。

コロナ真っ只中の学生時代

水野:みなさんの年代は、ちょうど大学入学時にコロナが流行りはじめたのではないでしょうか。社会の変化が激しい中での学生生活だったと思いますが、いちばん記憶に残ってるできごとはありますか?

渡邉:厳しい感染症対策で患者さんに触れられない中、どのようにリハビリを学んでいくのかはとても苦労しました。この時期の実習は、感染症対策で見学が多かったり、今よりも実習生の体調管理や毎朝のチェックがシビアでしたね。

見学でわかったことや自分なりに分析したことを担当の方に伝えて、フィードバックをもらう。患者さんに直接触れること以外で自分に何ができるのかを、強く意識した実習期間でした。大変でしたが、その分記憶が鮮明に残っているし、いろんな知識がついたと思うので、そこはよかったと思います。

リハビリ中もコミュニケーションは忘れません

水野:大変な経験をポジティブに変換できているのは、渡邉さんの強みですね。伊藤さんは、なにかありますか?

伊藤:実習で、担当していた患者さん専用の筋トレプログラムを考えたことがありました。すると、「私のために考えてきてくれたの?」と泣いて喜んでくださった方がいて。思い切って提案してみてよかったですし、記憶に残っています。

馬場:僕も伊藤さんと似ているのですが、「この患者さんのために考えてよかった」と思えたことですかね。実習の最後、担当していた患者さんにかけてもらった「ありがとう、いい理学療法士になってね」という言葉は、いちばん記憶に残っています。

もっと人の役に立てる人に

水野:最後に、今後の目標ややりたいことがあれば、教えてください!

馬場:目標といえるかはわからないですが、これから独り立ちしてプログラムを考えることや、患者さんの状態の評価を自分一人でやる機会が増えてきます。最初からスムーズにはいかないと思うので、先輩や同期を頼り、患者さんのために頑張りたいと思います。

パソコンへ情報を打ち込む時も真剣です

水野:確かにそうですね。でもそういうときに、同期という存在が心強かったりしますよね。

馬場:本当にそうだと思います。リハビリ職の同期は11人いるので、自分は1人じゃないんだなと思えます。

渡邉:目標は、まずは慣れることですね。そしてプログラム一つひとつの目的を意識しながら、なあなあにならないように過ごしていきたいと思います。これまでの期間で、いろんな先輩の指導を見させてもらいました。実際に活動してみると、筋肉ひとつとっても触り方や動かし方が全く違い、みなさん自分の型をもっていました。僕も少しずつ自分に合った型を見つけていきたいです。

「からだ」だけでなく「こころ」のサポートも行うのが作業療法です

伊藤:私は、ここから5年先の目標になるのですが、理学療法士の認定資格をとりたいと思っています。実習で脳血管の病院に行った時に、そういった資格があると知り、興味をもちました。

骨折の場合は、痛みがなくなればある程度動きもよくなるんですが、脳血管の場合は麻痺が残るため、障害と向き合う時間が長くなります。かしま病院は脳血管疾患の患者さんが多く、認定資格をもっていれば役に立てるので、頑張りたいと思います。

ボールを足で挟むことで、左右対象に鍛えられます

今回は、4月に入職したリハビリ職3名の方にインタビューをしました。

インタビューをまとめていて印象的だったのが、言葉の節々に感じた彼らの「人を思いやる気持ち」の強さです。日頃から、不慮の病気やケガで障害を抱えることになった患者さんと関わる彼らには、相手に寄り添い、精神的な支えになることが求められているのではないかと感じました。

「人を思いやる気持ち」は、「い」と「ち」のよりよい関係性づくりにも大切なことだと思います。医療側と地域側、双方の円滑なコミュニケーションが求められる「いとちワーク」。これまでも、対話を重ねていくと、異なる価値観をもつ相手とぶつかってしまうことがありました。

リハビリ職の方々のように、相手の考えを受け止め思いやることで、自分自身にとって大切な学びを得られると思います。今度、彼らの姿勢を見習って、これからの「いとちワーク」に取り組んでいきたいと思います。

インタビューを受けてくださった、伊藤さん、馬場さん、渡邉さん、ありがとうございました!










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