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『糸と魚と川Vol.01』イベントレポート② ~トークセッション編~

2021年12月14日、駅北広場キターレ in 糸魚川にて「外と中、関係人口とローカルプレーヤー・企業・団体との接点をどう作り広げていくか?その先の未来は?」をテーマに2人のゲストをお招きして、トークセッションがおこなわれました。

本記事は、前回記事に引き続きトークセッション編をまとめたものです。

前回の記事はこちら。
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『糸と魚と川Vol.01』イベントレポート① ~しごとのみらい&美山プロジェクト~

関係人口について

無題のプレゼンテーション

山崎:『糸と魚と川』には、ぜひ多くの方に自分事として関わってほしいですね。もちろん関わり方には人それぞれ温度差があると思います。まずは竹内さんが妙高で関係人口作りに取り組む中で、ぜひ本音の部分をお聞きしたいです。

竹内:妙高の中で関係人口が作れているかというと、若干あるとは思いますが、まだ出来ているとは全然思っていないですね。一方で自分が関係人口になった経験から、単なる仕事やお金だけの繋がりだけではなく、関わった人の想いを知ることが大事だと思っています。仕事に対する温度差は人それぞれだけど、行き来できる理由があることが大切なのではないでしょうか。

山崎:単なる出張ではなく、仕事が関係先にある状況が大切ということですね。

竹内:最も分かりやすいのはお互いに負担がない状態です。そして、お金を超える想い。あそこに行けば楽しそう面白そうって思えることが大事なんです。それを妙高で作れているかと言われれば、まだまだ作れていないと思いますが仕事の関係性は出来つつあります。まずは手弁当で物を作って、あとで分配しようという理想的な形ですね。

山崎:複業というのは関係人口の中で期待できるキーワードですよね。しっかりとした本業がありながら「何か関わりたい」というきっかけを投げかけてみたいという思いはありますね。

竹内:そういった方はたくさんいますよね。あとは地域側がどのような関わり方を作れるかが大事です。これは自分自身も課題と感じている点ですし、そこが解決できれば良い関係性が築けますよね。

山崎:今回『中と外』というキーワードを掲げていますが、その間に壁がありますよね。地域の企業も「どうせ来てくれない」と思うのではなく、チャレンジしてみようという想いが出てくれば、そのハードルも下がるのではないでしょうか。

竹内:そうですね。感覚としては市というプロジェクトがあり、そこに『集う』というイメージですね。

山崎:五十嵐さんは外の方と多く関わっていますが、これまでに面白いと思える人はいましたか?

五十嵐:東京から参加していただいている方もそうですが、地域と行政と一緒に取り組んだ中で知り合った人もいます。美山プロジェクトでは、「よく分からないけど面白そうだからやります」と言ってくれた方もいるんです。

次のステージはまだまだ見えてこないレベルですが、竹内さんが言われたように仕事がキーワードじゃないでしょうか。今回の『糸と魚と川プロジェクト』でも、自分事として関わって、想いを持って事業を作っていきたいですね。

生業を作ることが継続していける必須条件だと思っているので、今はまだ妄想段階ですが、今後は具体化していきたいですね。

渋谷:やっぱり受け入れ側の体制が大切ですよね。企業も自分たちが「どんなことをしているか、どんなことに困っているか」を発信していかないと、自分たちだけで抱え込んでしまって実現するまでに、とても苦労したり、実現できないことだってありえます。

ですが、隠さずに発信することで関わりたいと思ってくれる人が現れるんですよね。美山プロジェクトもそうですよね。妄想段階から発信していたからプロジェクトが進んだのだと思います。近年では都市部を中心にテレワークも盛んになり、複業の受け入れもしやすくなってきましたが、ネットで調べてもデータ入力など作業感が強く、想いに繋がらない仕事が多いんですよね。

ぜひ今後は、糸魚川で想いに繋がる活動を広げていきたいと思います。そして、関係人口から移住して定住人口になってもらいたいですね。確か糸魚川の1年間の出生率は200人を切ったんですよね?寂しいですよね。

山崎:そうですね、今のままでは学校1つで十分だという計算になってしまうんです。なので、このまま黙って見ているだけでなく、何か動いていかないといけないということなんです。『糸と魚と川』も想いが先走って、まだ内容が充実していませんが、これから一緒に盛り上げていくプロセスを発信することで、想いに共感してくれる人がもっと参加してくれたらいいと思っています。

今後のチャレンジは?

竹内義晴が取り組んでいること.pptx (2)

山崎:竹内さんの将来に向けたビジョンをお聞かせいただけますか?

竹内:先ほど紹介した「しごとのみらい」の内容を実現したいと思っていますが、最終的には仕事を通じて行ったり来たり出来る街にしたいと思っています。妙高市は大学などのスポーツ合宿が盛んな街なんです。何度も行き来して、宿泊施設の人と仲良くなっている姿を見ると、これが仕事でも出来たら良いと思いますね。

複業でも薄く、細く、長く繋がりあって、来年完成予定のテレワーク交流施設がハブのように中心となって、別荘のような場所を企業が拠点として月に3~4人のチームが1ヶ月過ごして、また翌月に違うチームが過ごすなど、サテライトオフィスのような形で使ってもらいたいと思っています。

そのような企業が何社かあって、ハブの中では企業同士が交流でき、合宿型のワーケーションをする人が、そこを拠点として地域の中に入っていったり、複業をする人が地域の企業に関わっていったりすることで、仕事を通じて行き来ができる関係性が作れたら良いと思っています。まちづくりのような話なので個人の力だけでは難しいんですけどね。

山崎:糸魚川でやろうとしているクラブハウス美山も同じような考えで取り組んでいます。そのような施設に竹内さんのようなコーディネーターがいることが、また強みになりますよね。美山プロジェクトのリーダーとして、五十嵐さんは今後どうしたいですか?

糸魚川での妄想

糸と魚と川_五十嵐さん.pptx

五十嵐:美山公園は本当に広く、様々なことができると思っています。今も1週間に1回くらいは新しいアイディアが生まれて、どんどん更新されているんです。

まずは美山公園を日常的に使ってもらえる施設にしたいですね。そこに仕事を絡めることで良い循環が生まれると思います。頑張れる場所を作っていぃ、その仕組みを作っていきたくて立ち上げたのが『糸と魚と川プロジェクト』です。最終的には世代が変わっても継続できる仕組みを作っていきたいですね。

山崎:確かに現在の美山公園で収益が出る施設は博物館やスポーツ施設などの限られた場所だけなんですよね。やはり、それ以外のところに人が集まらないことが課題ですね。なので美山プロジェクトで若い人が一生懸命取り組んでくれることが糸魚川市としても、とてもありがたいですし、市の職員も応援しようという良い雰囲気になっていますね。

五十嵐:企業だけでなく一般の市民の方も多く参加してくれていますからね。

山崎:渋谷さんは繋がりが強い関係人口だと思いますが、糸魚川でやりたいと思うことはありますか?

渋谷:五十嵐さんをはじめとしたチャレンジしている企業はいくつか知っていますが、まだまだ受け皿としては足りないと思っています。なので、今後はより多くの人にプロジェクトに参加してもらい、そのスピードを上げていきたいと思っています。

また多くの人がチャレンジしていく中で、自治体や行政がブレーキを掛けてしまってはもったいないので、複業を活用するなど そのような文化が出来れば、糸魚川はもっと面白くなるんじゃないでしょうか。

学校や病院にも活動が広がっていったら良いですよね。特に糸魚川市がやっている親子ワーケーションはとても素敵な取り組みだと思います。

親子ワーケーションについて

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渋谷:たとえば私が糸魚川でワーケーションをするとしたら、公立の小学校が子どもを引き受けてくれるんですよね?普通はアイディアが出たとしても、なかなか実現しないと思います。

山崎:子ども達にとっても、とても刺激的だと思いますね。親としても仕事をしっかりとしつつ、子どもと一緒にバケーションにもなります。今後はその先に繋げていきたいですが、少なくとも良いきっかけ作りにはなっていると思います。

渋谷:教育面でサポートがしっかりしていないと、なかなか移住まで辿り着かないので、このような受け入れたい体制があることで糸魚川が移住先の選択肢に入ってくるんじゃないでしょうか。私もよく出張で全国各地へ行きますが、本当は子ども一緒に行きたいんですよね。このような体制が様々な方向で広がってほしいです。

山崎:子どもの時に糸魚川を体験するというプロジェクトを糸魚川市は長くおこなっていて、東京の中学生を農村体験として受け入れていますが、その甲斐もあってか想いがあって糸魚川に関わりたいという人が多い気がしますね。

渋谷:妙高でも農泊とかありますよね。やはり糸魚川に『帰ってこれる街』になってほしいですね。

山崎:糸魚川には大学や専門学校がないので高校卒業後に市外に出る際に、親が「糸魚川には働く場所がないから帰ってこなくていい」と言うんですよね。それを変えたくて、市内の3つ高校の保護者総会に訪れて「絶対にそういうことは言わないでくれ」と伝えたのですが、とてもアウェーな雰囲気を感じましたね。

やっぱり親世代が糸魚川に誇りを持っていないから、どんどん糸魚川離れが加速している気がします。糸魚川に自分のやりたい仕事は無いかもしれないけれど、今の子ども達はオンとオフの切り替えができるから仕事と遊びは切り分けて考えられると思うんですよね。やりたい仕事がなければ自分で創るという選択肢もあるので、そういった若い子達の支援もしていきたいと思っています。

竹内:私の子どもが高校3年生なんですが「一度家から出てしまったら、もう帰ってこない」という価値観を持ってしまっているんです。でも、家を出ても「親はどうしているだろうか」など地元を気にする機会は絶対に訪れますよね。その時に、仕事を辞めてまで地元に帰ってくるのはハードルが高い。でも、複業という形で地元の企業に関わりを作れば、週に一度でも仕事で帰ってくることが出来るますよね。

先日、地元の高校で講演をさせてもらったんですが、その時に子ども達に言ったのは「いつか地元に帰ってきたくなる時が必ず来る。その時までに地元と都会を行ったり来たり出来る関係を作っておくから、遠慮無く羽ばたいていっていいよ」とは伝えましたね。こういうことが地域にとって、とても重要だと思うんですよね。

五十嵐:私も娘には「違う大陸に行ってくれ」と伝えていますね。美山でも子育て世代には積極的に関わってほしいと言っています。やっぱり子どもの頃に地元に愛着を持つことが大事なんですよね。

私も中学校などで講演をしたことがありますが、地元への強い想いを持って、一度外に出て糸魚川にはない様々な経験をした人が太く繋がってくれると、糸魚川としてもより豊かになる可能性があると思いますね。

山崎:自分たちも一度地元を出た人間ですし、外に出て目的を持って頑張ろうとしている子ども達に縄を付けて「出て行くな」と引っ張ろうしているわけではないですからね。

まずは糸魚川を知ってほしい

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渋谷:そろそろ終わりの時間が近いので、それぞれ一言いただけますか?

山崎:わたしはもう十分話したので、お二人からお願いします。

竹内:正直悩み事はたくさんありますが、悩んだだけ形になると思っているので、これからもどんどん妄想アイディアを膨らませていこうと思います。

五十嵐:東京から2時間で来れる立地条件で、海と山がギュッと集まった他にはあまり見られない地域性を、まずはぜひ一度足を運んでもらいたいですね。

竹内:最後に1つだけ。東京など都市部から見たら、糸魚川も妙高も新潟の端っこのほうだって見られると思いますが、せっかくなので糸魚川と妙高で一体となって盛り上げていきたいですね。

と締めくくり、トークセッションは終わりを迎えました。

『糸と魚と川Vol.02イベントレポート① ~3Mプロジェクト&複業人材マッチング~』はこちら。
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https://note.com/ito_sakana_kawa/n/nf1d34a9edaaa

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