【日記】ささやかなこと、ひとつ、ひとつ。
朝起きたら、梅と氷砂糖が入った瓶をくるくると、まわす。
シャラン、カランと、固く透き通った音を立てていた氷砂糖は、だいぶ溶けて、ちゃぷんと液体の音を響かせるようになった。
はじめて仕込んだ、梅シロップのできあがりまで、もう少し。
日に何度か、瓶を手に取り、くるくるまわす。
眠る前にも、もう一度。
☆ ☆ ☆
今週、子供と一緒に、ベランダでプランターに土を入れて種を蒔き、小松菜を育て始めた。
3日めに、ぽぽっと芽が出始めて、いまは双葉が大きくなり始めてる。
土の匂い、間引きした芽の手触り。
子供の頃にも触れたことはきっとあるはずなのに、どこか新鮮。
そんなふうに小松菜の種蒔きをしてから、前よりずっと天気を気にするようになった。
風が強くはないだろうか。
夜に雨が激しくなるのならベランダから室内にプランターを避難させようか……。
窓の外、空の様子をうかがいながら、考えていて。
ふと、雲のすき間に見えた空がすごく青くて、驚いたりする。
視界に入るたびにすっと背が伸びているような、ちいさな緑の双葉は、なんだか愛しくて、いじらしい。
☆ ☆ ☆
「丁寧な暮らし」に憧れは、ある。
でも自分の生活に、その”憧れ”をどの程度実現できているかというと、正直、まだほど遠いなと思う。
子供と一緒に、駆け回るような毎日。
日々の家事もこなしきれなくて、ぐったり疲れてしまう日もあるし、色んなことを「もういいや!今日はむり!」とぽーんっと投げ出したくなることもなる。
それなのに、なんで、自分で手間のかかる仕事を増やしているんだろう……?とも思う。
ただ「憧れ」だから、というだけじゃない気がしている。
わたしは、たぶん。
「自分の手で、してみたこと」を増やしたいんだと思う。
ふくよかで澄んだ梅の香りも。
手に取ると重くて、ひんやりとした瓶の手触りも。
小松菜の種の小ささも、そこから伸びた芽の瑞々しさも。
ちゃんと自分で触れて、知覚したい。
そうやって何かを育み、作ること。
その成果が手に取れる形に、なること。
――それはきっとわたしが、わたし自身を信じられるようになるための、てがかりになっていく。
(できたらそれが美味しいものなら、もっとうれしい)
いま、なんとなく、そんなことを考えている。
梅シロップ、楽しみ。
小松菜も、大きく育つと、いいな。
読んでいただきありがとうございます◎ 日々のなかに、やさしさと明るさを、さがしていきたいです。