見出し画像

本当の定年後

私が今働いている会社に入社したのが1999年。
今から23年前のことである。もう23年も経つのかという実感がある。

当時は就職氷河期で就職活動は難航していたが私は大学で学んでいたこととは全く違う地元の流通業界に身を置くことにした。
20代の頃はガムシャラに働き、同僚との昇進競争にも熱くなることも多かった。順調にキャリアを重ねて同期の中では最も早い段階でバイヤーになることができた。

バイヤーという仕事は流通業界では花形と呼ばれていて店舗従業員や仕入先からは持ち上げられるような華々しいイメージがあった。
しかし20代後半から30代中盤までの私のバイヤーとしてのキャリアは闇に満ちたものになった。

旧態依然とした上下関係。今では懲戒ものの上司からのパワハラ。
不夜城のような終わらない労働時間。

私は精神的にも肉体的にも疲弊した。周りの人間も次から次へとダウンしていつの間にか消えていく。そんな熾烈な環境だった。
ストレスに耐えながらも30代を乗り切り、希望して1年間の店舗への異動。
店での管理職経験も経て再びシニアバイヤーとして戻ってきたのが40代。

今は少しずつ自分自身の働き方を自分自身でコントロールできるようになってきた。これは会社のトップも変わり時代の変化に敏感になり労働環境が圧倒的に改善されてきたことによる影響が大きい。


就職して23年。すでに役職定年までにはあと10年と後ろから数えた方が早くなってきて「定年後」というものが現実味を帯びてくる年代になった。

今この本を読んでいる。
面白いのが仕事の満足度についての話だ。20代の時に満足度が高まり30代・40代と徐々に下がり、50代前半で底をつき、60代〜でまた上昇を始めるというものだった。
そう考えれば私は今絶賛低下中の年代だ。

この分析では仕事を「他者への貢献」「生活との調和」「仕事からの体験」「能力の発揮」「体を動かすこと」「高い収入や栄誉」という項目に分けている。
「高い収入や栄誉」が大きく占める20代は意欲や主体性が高いが、家族ができて「生活との調和」が大きく占める30〜40代はやはり主体性に欠ける。そして役職定年が見えて、子供も手が離れる50代は最も仕事に対する満足度が低下するのだ。
そして60代以降は「他者への貢献」に目覚めて収入の少ない小さな仕事にも満足感を覚えていくので満足度が高まってくるというのだ。

そう考えるとまだまだ50代が転換期で定年後も小さく仕事をすることで満足を得ていくことができるのだと勇気付けられる。
老後はどうしようと不安にひしがれるのではなく希望を持って生きていきたいものである。

この記事が参加している募集

#読書感想文

188,357件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?