『スキルを適切に評価する』『人材育成と人材投資』と簡単に言われても・・・
日経BP谷島さんの記事をきっかけに Gartnerのプレスリリース「2024年に向けて獲得すべきマインドセットを発表」を読みました。
『成功か失敗よりも、経験を積むこと』『「何でも松」から「松竹梅」へ』といったマインドセットが紹介されていてとても興味深かったです。
個人的に一番気になったのは『スキルを適切に評価する』『人材育成と人材投資』です。これらは特に重要な気がするけど、能力を客観的・定量的に評価するのは簡単ではないですよね。
ちなみに、一口に「スキル」と言っていますが、その中身はさまざまなものがあります。
ドラッカーモデルによると
「マネジメントスキル」管理職や経営者に必要な管理能力
「ヒューマンスキル」コミュニケーションやプレゼンテーションに関するスキル
「テクニカルスキル」業務遂行に必要な能力や知識
「コンセプチュアルスキル」知識や情報など複雑な事象を概念化し、抽象的な考えや物事の本質を理解するためのスキル
の4つに大別されています。
ちなみに「コンセプチュアルスキル」の例としては
論理的思考 物事の順序や成り立ちを言語化して論理的に説明できる能力
水平思考 先入観なく、自由に考えられる能力
批判的思考 課題を発見し、問題解決に向けて考えられる能力
多面的視野 幅広い視野を持ち、複数の選択肢から一つの施策を選べる能力
柔軟性 トラブルが発生しても柔軟に対応できる能力
受容性 自分と異なる考えや価値観を素直に受け入れられる能力
知的好奇心 未知のものに興味を示し、解き明かそうとする能力
探究心 物事の成り立ちに興味を持ち、解き明かそうと努力する能力
応用力 1つのスキルで外の問題に対応できる能力
があるようです。
「テクニカルスキル」や「マネジメントスキル」は専門の研修を受けたり、書籍などで何かの知識を得ることで習得することができ、それらの知識や実績からある程度の評価は可能です。一方で「ヒューマンスキル」や「コンセプチュアルスキル」は状況・場面・役割などによって取るべき言動も変わってきますし、「どんな場面においても絶対的に正しい答え」というものはあり得ず、客観的・定量的に評価することがとても難しいです。
人事評価で使われる「コンピテンシー評価」が難しいのはそういう面があるためかなと思います。360°評価はチームの中でのその人の貢献度を見るという意味ではよさそうですが、これもチームメンバーのスキルに依存するところがあって簡単ではなさそうです。
「ヒューマンスキル」や「コンセプチュアルスキル」は評価が難しいから(効果が目に見えにくいから)というのもあるのかもしれませんし、「テクニカルスキル」のような事業(利益)に直結するスキルでもないために、会社などでスキルを向上させるための研修もそれほど重要視されていないような気がします。
「ヒューマンスキル」や「コンセプチュアルスキル」が一朝一夕で習得できるスキルでもなく、事業を営む会社としては効果が見えにくいスキル開発に力を入れにくいというのは理解できます。
ただ、いくら良い技術やスキル(テクニカルスキル)を持っていたとしても、それをうまく扱えず方向性が間違っていたりすれば大きな利益につながることはなく、結局目先の利益だけを追うことにしかならないと考えています。
「ヒューマンスキル」や「コンセプチュアルスキル」を本当に身につけようと思ったら、定期的に振り返りを行って上記の「コンセプチュアルスキル」の例のような行動が取れていたかを確認するなど、地道な努力が必要でしょう。
でも、以前より言っているように「テクニカルスキル」のような簡単に手に入るスキルは簡単に陳腐化してしまいますが、「ヒューマンスキル」や「コンセプチュアルスキル」はちゃんと身に付けられれば一生の武器になるはずです。
目先の技術ばかりを追うのではなく、将来を見据えて「ヒューマンスキル」や「コンセプチュアルスキル」が重要視されるようになって欲しいです。
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