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#92 読書記録『くるまの娘』生き辛さを抱えても生きていくということ

 こんにちは。ていこです。

 隙あれば「ありがとう・豊かだ」を呟く生活を始めて、本日で92日目。年末もいつものSTARBUCKSへ……と思ったのですが、営業時間が変更となっており、早朝はまだ開いていませんでした。ということで、急遽、年末年始も通常営業のカラオケへ移動。盛り上がっている声を聞きながらカラオケでnoteを書いています。

 フリーテーマで書いていこうと決意したは良いものの、早速書くことがなく悩んでいましたが、ふと以前に読んだ小説で印象に残っているものがあったので、メモ書きから思い出したことを書いていこうと思います。

『くるまの娘』宇佐見りんさん著

くるまの娘 河出書房新社

父と母と暮らす、女子高校生かんこの目線で、生きづらさと抱えた母と父に揉まれて息苦しい生活を送っている様子が淡々と綴られていく小説です。
脳梗塞の後遺症で生活がままならず、情緒不安定で、時に子供のような癇癪を起こす母。(例えば、思い出の遊園地に再訪した時に、過去子どもたちと乗ったアトラクションがメンテナンス中で乗れないだけで、泣き喚いてしまう等)愛のない家庭に育ちながらも、自身の力で生き抜く術を死ぬ物狂いで身につけたがゆえ、子どもたちにも厳しい教育を押し付けてしまう父。(早起きして英語のラジオを聴く習慣を1日でもサボると、暴言暴力を振るう、というような。)
兄と弟はそうした機能不全な家庭に早々に見切りをつけて、自立し、家を出ますが、主人公のかんこは、自身も不登校気味になるなど多大なストレスを抱えながらも、両親を見捨てることができません。

本来なら、大人は甘えることなく自分の面倒を見なくてはいけない。だが、愛されなかった人間、傷ついた人間のそばに、かんこはいたかった。共に地獄から抜け出したかった。

くるまの娘

もつれ合いながら、脱しようともがく様を「依存」の一言で切り捨ててしまえる大人たちが数多自立しているこの世をこそ、かんこは捨てたかった。

くるまの娘

主人公かんこは、両親にたくさん傷つけられながらも、脳梗塞になる前は、優しく朗らかだった母や、厳しく自分を律し、それでようやく普通の幸せを掴んだ不器用な父のことを見捨てることができません。
むしろ、そうして傷ついてボロボロになってでしか生きることしかできない人間を、『弱者』と切り捨てて距離を置き、関わりを絶とうとする大人たち(家族である兄や弟も含むかもしれません。)をこそ、憎んでいます。

この描写に、私は胸を打たれましたね。生まれたときから、性悪だったり、人に迷惑をかけまくって生きようと思う人なんてほぼ居ないわけです。だけど、たくさん嫌な思いをしたり、傷つけられたり、現在進行形で痛みを抱えていたら、健全に生きることが難しくなる場面はたくさんあります。
私も、私の身の回りの人だって、なにかひとつ綻びあったら、そうやって周りの人に依存しなければ生きていけない可能性もあったし、これからもあるわけなんですよね。

「なんで生きちゃったんだろうな。」
生きているということは死ななかった結果でしかない。
みな、昨日の地獄を忘れて、今日の地獄を生きた。

くるまの娘

物語の終盤、亡くなってしまった祖母の家を
かんこの父が整理しにいく場面があります。暴力や暴言ばかりで、かんこの父に、一欠片も愛を与えてくれなかったような祖母です。その祖母の家から、数人いる兄弟の中の、父の写真をまとめたアルバムだけが見当たらず、その事実を淡々と語った父が、最後にかんこに呟いたのが「なんで生きちゃったんだろうな。」でした。

なんで生きちゃったんだろうな。

重たい言葉です。かんこの父は、酷い思い出だけしかなくても、やはり心のどこかで、無条件に母から愛されることを望んでいたのかもしれないな、と感じます。

私達は、強制的にこの世に産み落とされて、死んでしまうまでの長い期間を、手元にあるカードを使って上手に生きていくことを要求されます。
手持ちのカードがいくら劣悪であっても、それを苦に自ら命を断つのは倫理的に良しとされないですし、結局は、自分の足で立ち、恵まれたカードを持つ人とほぼ同等な環境の中で、辛さを乗り越えていくしかないのです。
そういった人たちの悲しみ、生きづらさを強く感じられる作品でした。

月並みではありますが、せめて自分の身の回りの人に対しては、相手が辛いときにきちんと向き合って、話を聴いて、否定せず受け止められる自分で在りたいなと感じたのでした。

昨日の振り返り / 本日のTODO

昨日の振り返り
■ リングフィット・アドベンチャー 22
□ ブスの美ボディメイク動画 
□ 夫関連のもの掃除

本日のTODO
□ リングフィット・アドベンチャー 23
□ ブスの美ボディメイク動画 
□ 夫関連のもの掃除

12/30(金) 
ダイエット報告: 
ーーkg / ーー%

ありがとう・豊かだ呟き回数: 30 回



▶ ありがとう・豊かだ生活とは

 隙あらば、ブツブツ小声で「ありがとう・豊かだ」を呟く生活を続けることで、自身の感情や物事の捉え方、そして現実がどのように変わっていくのか、しがない30代OLが経過観察をしていくnoteになります。きっかけについてのnoteはこちら。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
なにか質問などありましたら、お気軽にコメントくださいませ。

ではでは、今日も一日呟いてまいります。ありがとう!豊かだ!

22.12.31 ていこ 2,240 文字
よい年越しとなりますように🎍

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