見出し画像

美しきかな江戸切子を体験する

Vol.116
東京は築地産院で産まれ、八丁堀と銀座で育った私は、結構な江戸っ子であると思っている。
幼稚園時代は日本橋の百貨店で遊んでいたり、飲食店を経営していた祖父の休憩の間に上野動物公園へパンダを見に連れて行かれたり、週末は浅草の観音様へ祖母とお参りに行ったり。語れば多い江戸界隈の昔話なので、銀座線沿線の銀座から浅草までの駅それぞれに思い出が深い。

そんな背景ではあるが、江戸切子だけはあまり触れてこなかったと思った夏。
なので、ちょっと江戸切子を知りたい! となった。


東京で伝統工芸に触れるなら江戸切子

東京は江戸。江戸という町民文化の中で育まれた伝統は多い。
三味線、浴衣、提灯、洋傘など、東京伝統工芸も多岐に渡る。
そんな中、手軽というか、実際に自分で身近に使えるものは江戸切子のではないだろうかと思う。
イタリアに戻る前に、なにか日々使用するもので日本の伝統はないだろうか考えて、ふと思い浮かんだのが江戸切子であった。

もともとは薩摩藩のびいどろを学んだ江戸の人が、江戸に持ち帰り始めたということ。元祖ではないにせよ、その切子というカット技術の美しさは工芸品であろう。

江戸切子は結構な力と集中力が必要な技

結構、墨田区、江東区、台東区には江戸切子工場があり、体験させてくれることがわかった。
せっかくなので自分で江戸切子を作ってみようと体験させてもらうこととした。

美しき江戸切子グラス。

まずどのグラスがいいかを決め、そこにポスカでデザインしたい線を書き込む。
その線に合わせて、グラスをカットしていくという作業である。
このカットするというのが、まぁ力のいるものであることがやってみるとわかる。
そしてジッとカットの深みを様子見ながら切り込んでいくので、なかなかな集中力だ。

一生懸命に底にカットを入れる時は力と集中力が必要。

そして色の濃いグラスはデザイン線が見えなくなってしまうため、結構難易度が高いとか、斜め線は結構難しとか、ちょっとしたアドバイスを聞くと、販売されている江戸切子の価値がなるほどとわかるようになる。

なんとかカットを入れた自作江戸切子。

底圧で重厚感もある気品高い江戸切子

すっかり江戸切子の世界を楽しんだのであるが、やはり買い求めるには結構値段が張る。
しかし体験ならば4000円前後で済むことがわかったから、少しお得感はある。
美しいかどうかは別ではあるが、満足度はそれなりにある。

憧れの高杯。結構なお値段でびっくりする。

ワインを楽しむには、ワインの色合いがわからなくなってしまうので難ではある江戸切子。
しかし現在、テキーラやラムにハマっている私としては、高杯の江戸切子で飲めたらきっと美味しいと邪推にて憧れを抱く私であった。

長く海外に住むと、日本の当たり前にあった伝統や文化がとても愛しくなる。

この記事が参加している募集

おすすめギフト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?