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【第1回】樋口 敦(後編) 「日本がW杯で優勝してほしい」

中村が会いたい人に会いに行き、活動や思想をインタビューしてくる「今日はこの人に会ってきた」。今回は、理学療法士の樋口 敦さんの後編です。

アスレティックトレーナーとして選手の身体のケアに努めながら、若手選手たちの移籍交渉などもカバーする仲介人業を展開しはじめているといいます。後編では、2015年に一般解禁となった仲介人業についてお話を伺います。

新しい時代の仲介人業

—仲介人業をはじめることになったきっかけは?
パーソナルケアをしている選手から、チームの立ち位置、試合に絡んでいるか、監督との相性、チームの戦術などの相談を聞いているうちに、自分が仲介人として活動できるのではないかと考えはじめました。選手とは定期的に会っていますし、いろんなチームと関係を持てるのは僕のメリットになり、それで移籍先が探せれば選手にとっても幸せになるのではないかと。

メディア運営のアドバイスもしています。個人の影響力が大事になってくる時代で、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSの使い方を自分で身につけていけば、芸能事務所に所属する必要もなくなります。個人でYouTubeチャンネルを作って発信すれば、それもまた影響力を高めることができますから。それによってサポーターとの距離も近くなり、応援してくれる人をより増やすことができます。

仲介人の業務も、そうした新しいフェーズに移行していると思います。単に移籍交渉、契約延長交渉をまとめるだけでなく、新しい時代の仲介人を作っていきたいです。

―樋口さんへのコンタクトも、SNS経由が多いのですか?
最近は増えてきましたね。Twitterでコンタクトがあった選手にはまずパーソナルトレーニングを施し、それでいい感触を得てくれた選手には「実は仲介人もやってるんだけど」と、段階的に話を持ちかけています。まずはトレーニングが本職ですから、そこからですね。JFAへの登録はまだなので、実際に交渉などをはじめるのは来年からですが。

自分が岡山に所属していた時、自分の契約の交渉をしたことがあるので、ある程度はイメージできます。ちなみに自分の交渉では、シーズン中のけが人の数、怪我から復帰するまでの速さなどをデータ化し、チームに提示して交渉しました。客観的な部分でデータを示すということですね。主観的な部分では、チームが選手の様子を見て相性を測っていたと思います。

もちろん選手とアスレティックトレーナーの交渉は違う面も出てくると思うので、自分もいまさまざまなこと勉強している最中です。また、契約書の法務的な面は、その道のスペシャリストが知り合いにいるので、協力してもらっています。

―仲介人業のビジョンはありますか?
僕自身が経験を積んで、海外への移籍を成立させることはもちろんです。しかしそれだけでなく、セカンドキャリアのケアもできるのが理想だと思っています。現役時代は身体とチームのケア、引退した後はセカンドキャリアの支援ですね。

メディア運営はそういった意味もあります。選手にはそれぞれ個人のファンがついているので、選手時代からメディアをうまく運営して、自分のファンを増やしておく必要があるんです。選手個人が大きな影響力を持っていれば、引退後にどんな仕事につくとしても役に立ちます。サッカーを辞めた後も幸せに生活できるようにサポートすること。それも仲介人の仕事のひとつだと思います。

―樋口さん自身も6000人以上のフォロワーがいらっしゃいます。一般の方に比べると多い数字ですが、どのように増やしていったのですか?
フォローしてくれる人が何を求めているか、ということを深掘りして、それを発信しています。僕がプロとして持っているコンテンツを届ける、それが投稿の8割です。そして素の自分を2割です。ずっと専門的な内容だけ発信していても親近感がわかないので、抜きどころは必要だと思います。僕がコーラの写真をアップすれば、「あ、この人でもたまにはコーラ飲むんだ」とリラックスできるじゃないですか。そういう抜きどころも意外と大切だったりします。

―樋口さんのSNSの使い方と、選手のSNSの使い方は違う気もします。
そうですね。僕たちのフォロワーと芸能人のフォロワーは違って、芸能人のファンはプライベートな部分、普段は目に見えない部分を求めています。選手は芸能人と同じなので、「今日はこれを食べました」という投稿でも、ファンは喜んでくれるんです。そういった部分も選手には伝えています。

―なるほど。では、これから選手たちやサッカー界へはどういう貢献をしていきたいですか?
一番は、日本がW杯で優勝してほしいです。そこに貢献できる選手が生まれてほしい。その中で僕ができるのは、正しいトレーニングの方法、正しい栄養摂取の方法、睡眠、コンディショニング、それらの情報を発信していくことです。それが選手の可能性を増やすことにつながると信じています。それが一番ですね。

仲介人としては、移籍金を釣り上げるような悪徳仲介人ではなく、選手の適正な価値と情報を届けて、クラブも選手もお互いが納得する契約を作ること。そして、選手のセカンドキャリアまで見据えた新しい仲介人業を開拓していくことです。

樋口敦(ひぐち あつし)
フリーランスのパーソナルトレーナー、理学療法士、アスレティックトレーナー。J2のファジアーノ岡山でのアスレティックトレーナーを務めたのち、独立。現在は若手選手の身体のケアを行う傍ら、仲介人としても活躍する。ツイッターでは身体に関する情報を定期的に発信。SNS経由で契約した選手も多数。
ツイッター:@1983physio

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フリーランス編集者、ライター。サッカーや写真の本や記事をつくります。
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