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イタリア優勝🇮🇹〜タックマンモデルに見るアッズーリの軌跡

<今週の能大マガジン week 18>


『イタリア優勝🇮🇹〜タックマンモデルに見るアッズーリの軌跡』


前回は、今回のEURO2020で優勝したイタリア代表🇮🇹(愛称:アッズーリ🔵)について、私が好きなところをお話ししました。

前回の記事はこちら👇

今回は、そんな我々イタリア人が愛するアッズーリがどのようにして優勝できたのかをタックマンモデルというチームビルディングにおける5つのステップに当てはめて振り返ってみます。

※PMBOK Guideの学習を通して学んだことを絡めて考えてみます
※当方PMP資格などは取得しておりませんので予めご了承ください
※ご指摘ご感想お待ちしております😉


タックマンモデルとは

心理学者のB. W. Tuckmanが提唱したモデルです。チームは成立期(Forming)動乱期(Storming)安定期(Norming)遂行期(Performing)解散期(Adjourning)という5段階を経て成長する、という考え方です。
成立期
プロジェクトの目的を発表する。メンバーはまだよそよそしく、各人が役割と責任について学ぶ

動乱期
異なる考えや、非生産的な環境になり、メンバー間の対立が起こる

安定期
メンバーが一緒に作業を始め、メンバー間に信頼関係が築かれていく

遂行期
相互に依存関係を保ち、生産性が高く、課題に効果的に対処できる

解散期
プロジェクトが完了し、解散する

『図解即戦力 PMBOK第6版の知識と手法がこれ1冊でしっかりわかる教科書/前田和哉』より引用


これをイタリア代表(アッズーリ)のEURO優勝に置き換えてみます。

成立期✊:2018年ロシアW杯予選敗退からマンチーニ監督が就任。再建を目指す。
動乱期🌀:招集されたことのない選手を多数招集し試合で試す。
安定期🤝:試合を重ねて戦術の理解度が高まる。招集メンバーが絞られる。
遂行期💪:EURO本選。全員がチームとしての戦い方を熟知し、試合をこなす。
解散期👋:EURO優勝。一時解散。W杯へと続く。

これらに沿って、我らがアッズーリの2018年W杯予選敗退からEURO2020での優勝への軌跡を振り返ります!


成立期の前に

成立期の前に、2018年ロシアW杯予選敗退当時の険悪なムードをお伝えしておきます😉笑
W杯本戦出場をかけたプレーオフで、ダニエレ・デ・ロッシが選手起用に対して怒りをあらわにしている様子です。
この試合でこのままいけば敗退となるところで、攻撃的なカードを切るべきところを〇〇監督は守備的なポジションのデ・ロッシを起用しようとしました。
おそらくですが、これがデ・ロッシの代表最期の試合になるかもしれなかったからだと思われます。
この起用に対して、「おれじゃなくて、インシーニェ(画面右。リーグで活躍している攻撃的選手)だろ」と怒ります😡
(デ・ロッシのチームのために闘う姿勢が熱いなと思いました🔥)

このような最悪のスタートからのサクセスストーリーを見ていきましょう!


成立期✊

2018年ロシアW杯予選敗退からマンチーニ監督が就任。再建を目指す。

2018年ロシアW杯で60年ぶりの予選敗退
1いや0からチームを再建するべくイタリア代表監督に就任されたのが、ロベルト・マンチーニ監督でした👱🏻‍♂️
これからロシアW杯が始まろうとしていたときに、イタリアは既に次のステップへ進んでいたとポジティブに捉えることもできたでしょう。

とにかく、まずは2年後(実際は3年後になりましたが)のEURO2020に向け、チームを立て直すプロジェクトが始まりました✊


動乱期🌀

招集されたことのない選手を多数招集し試合で試す。

0からチームを再建すると言いましたが、本当に「0」からというに相応しい行動をしていました。
今まであったチームを一旦「0」にして、選手・スタッフ・戦術を再構築していきました。
選手で言うと、20年弱もの期間、正ゴールキーパーを勤めていたジャンルイジ・ブッフォン、3センターバックのユベントストリオの一角を担っていたアンドレア・バルツァッリ、そしてASローマのバンディエラ、ダニエレ・デ・ロッシ、、、と長年アッズーリを支えてきた選手が代表から退きました。
マンチーニ監督は、これらの選手に代わり代表経験問わず様々な選手を積極的に招集し試合で起用してきました。
1試合の登録選手数が23人のネーションズリーグにおいて、41人の選手を招集し全員にチャンスを与えながら競争力を上げてきました。
ASローマ・セリエAのファンとして、「今」のセリエAで活躍する選手が多く招集されていたことはとても嬉しかったです🔥
また、誰しも代表に呼ばれる可能性があるという認識から、セリエAの競争力も強化され、より面白いリーグになっていったような気がしています。
実際、セリエA 9連覇をしてきたユベントスが、20/21シーズンはついにその王者の身を下ろされ、さらに2~5位の勝ち点差はわずかに2という面白い展開になりました。

話は逸れましたが、この動乱期において、マンチーニ監督は様々な選手を起用しながら、戦術もこれまでのカテナチオとは違った攻撃的なスタイルを取り入れながら、試行錯誤してきました🌀
W杯を逃した当時、クラブで目覚ましい活躍を見せていたロレンツォ・インシーニェ(SSCナポリ)が代表では思うように起用されなかったり、アッズーリのファンや選手たちさえも不満をあらわにしたりしていましたが、マンチーニ監督はそのような不満を見事に払拭し、期待以上に面白い招集・選手起用を続けてきたと思います。

ここで、EURO2020のラッキーボーイ、マヌエル・ロカテッリ(サッスオーロ)初招集時のツイートを見てみましょう☺️



安定期🤝

試合を重ねて戦術の理解度が高まる。招集メンバーが絞られる。

動乱期において、監督・選手・スタッフ含め初めて同じチームで仕事をするメンバーが相互理解を深めながら試行錯誤してきました。
その後、イタリア代表としての戦術が固定され始め、結果に結びついてきます。
攻撃的なサッカー。
前線からの連動されたプレスとショートカウンター、ゴールキーパーを含めた攻撃の組み立て、センターバックや中盤の底からの縦パス、左サイドでのポゼッションから展開する攻撃、、、
このようなニューノーマルアッズーリ像が構築されていきました🔵
チームがだんだんと成熟し、誰が出ても同じサッカーをできる状態になってきました。
8連勝27戦無敗。
これは、EURO開幕時の記録です。
様々な選手を起用しながらも、このようにEUROが開幕するまで(もちろんEURO本大会でも)、非常に安定したパフォーマンスを見せるまでに成長してきました。

監督ー選手ースタッフ間の信頼関係も強固なものとなっていきます。
ここで、この頃のピッチ外での様子を見てみましょう😉

ジョルジーニョ(チェルシー)による、『Wonderwall』- Oasis👇


遂行期💪

EURO本選。全員がチームとしての戦い方を熟知し、試合をこなす。

EURO本戦に向け、26人のメンバーが招集されました(1試合のベンチ登録メンバーは23人。このうち出場したのは25人!出場しなかったのはキーパーのメレト(SSCナポリ)のみ。まさに全員サッカー。しかも無敗記録は更新中!)。
ここに残った選手たちは全員が戦術を熟知している状態です。
ここまでくるとあとはやるだけ。
Just do it.
大会後、試合前のメンバー発表の様子が公開されましたが、まさにその状態で、マンチーニ監督は(冗談を交えながら)スターティングメンバーを発表するだけ。
あとは、ピッチに立つ選手に任せる。
完全に、監督ー選手ースタッフ間の信頼関係が出来上がっていました🤝🤝🤝

マンチーニ監督が、怪我をしたSpina(スピナッツォーラ)をラインナップにあげてみる様子、「言うことは何もない」「やるべきことは分かってるはずだ」と選手を信頼し切っている様子です👇

この頃ももちろんピッチ外でも上記の信頼関係が築かれています。
SNSでは、FWのチーロ・インモービレ(SSラツィオ)にドッキリを仕掛けるシーン、試合後に「Un'estate italiana」を歌うシーン、後に大会MVPとなる正GKのジャンルイジ・ドンナルンマ(PSG)をからかうシーンなど、大会前からの良い雰囲気をそのままに、いやそれ以上に、非常に良い関係性が見られました☺️

ここで、※コロケーションの様子をお届けします。

身長163cmの10番ロレンツォ・インシーニェ(SSCナポリ)が抱っこされながら、身長196cmのドンナルンマの頭を叩くシーン👇

※コロケーションとは(PMBOKでの定義)、コミュニケーション、作業の関連性、および生産性を向上させるために、プロジェクト・チーム・メンバーを互いに物理的に近い場所に配置する組織の配置戦略、のことです



解散期👋

ユーロ優勝。一時解散。W杯へと続く。

大会開幕当初は優勝候補にあげられることがほとんどなかったアッズーリが優勝しました🇮🇹🔵
私は信じていましたが、まさか本当に優勝するとは、、!!
見事、EURO2020を制覇したイタリアは次なるステージへ進みます💪
2022年カタールW杯へ。
今回出場できなかった選手も出場すると思いますし、非常に楽しみです😌



最後に

最後に、イタリア優勝の喜びを耐えきれない「イタリア人」たちを見てみましょう☺️
イタリアならではの性格が出ていて最高ですね😂


コロナはおかまいなし!


毎試合後に歌っていた「Un'estate italiana」をみんなで合唱!


テーブル上にダイブするダニエレ・デ・ロッシ(元ASローマ、現イタリア代表コーチ)👇
普段このようなことをする性格ではないので、余計におもしろいです😂


参考資料

・図解即戦力 PMBOK第6版の知識と手法がこれ1冊でしっかりわかる教科書 - 前田和

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