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メタバース入門Ⅰ(メタバースとは何か、メタバースを支える技術、メタバースの分類)

 2021年10月、突如フェイスブックが社名をメタに変更し、マーク・ザッカーバーグCEOは、メタバースの構築に注力して、この先5年でSNS企業からメタバース企業へ移行すると宣言しました。
 現在、このように多くの企業がメタバース関連事業に参入して、次世代のITビジネスとして盛り上がりを見せています。

 一方で、メタバースがどんなものかよく分からない、自分とどういう関係があるのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
 そこで、今回、「メタバースとは何か?」「メタバースに参加するにはどうすればよいのか?」について解説します。

メタバース(バーチャル渋谷)

1.メタバースとは何か

 メタバースとは、「多人数が同時に参加できるインターネット上に構築された3次元の仮想空間」のことです。
 メタバース内の参加者はアバターと呼ばれ、参加者はアバターを操作することによって、様々な行動をとることができます。

 あらかじめ定められた行動シナリオによる制約はなく、アバターの行動は基本的に自由である点が多人数参加型ネットワークゲームとの違いです。
 メタバース内では、アバターが現実世界と同じように自由に行動できることから、娯楽、教育、商売、コミュニティ運営など様々な分野への展開が期待されています。

 メタバースのようなオンライン上の仮想空間は、かなり前からSF小説や映画、アニメの中で描かれてきました。
 SF映画好きなら、自我を持った機械によって人間が閉じ込められた仮想現実世界を描いた「マトリックス」を思い浮かべることでしょう。
 マトリックス3部作は1999年から2003年にかけて大ヒットを記録し、大きな社会現象をもたらしました。

 また、アニメ好きなら、細田守監督の「サマーウォーズ」(2009年)や「龍とそばかすの姫」(2021年)に出てくるネット上の仮想世界が実際のメタバースのイメージに近いと思います。


2.メタバースを支える技術

 本格的なメタバース実現のためには、参加者が仮想空間に没入して現実世界のように感じることができるようにするVR(バーチャルリアリティ)技術が重要であり、特にVRヘッドセットはメタバース普及のカギを握ると言われています。

 2020年にフェイスブック・テクノロジーズが発売したMeta Quest 2は、それまでのVRヘッドセットと比較して低価格(37,180円~)かつ高性能であり、VR導入の敷居を大幅に下げて、普及の起爆剤になると期待されています。

 また、パソコン等に接続しなくても単体で利用できるスタンドアロン型で入門用のVRヘッドセットとして適しています。
 これ1台で、バイオハザード4などのVRゲームのほか、映画館のような大画面でビデオ鑑賞したり、後述のVRChatやclusterのようなソーシャルVRサービスを楽しんだりすることもできます。

 多人数参加型ネットワークゲーム「フォートナイト」の開発元として有名なEpic Gamesが開発した3Dゲーム用エンジンの「アンリアル・エンジン」は、建物や自動車の設計、映画やビデオの制作など幅広い分野で活用されており、メタバースの構築においても中核的な役割を果たすと期待されています。

 アンリアル・エンジンを利用することにより、一般ユーザーでも、バーチャル環境を構築してオブジェクトやキャラクターを配置したり、物理シミュレーションやレンダリングを自動で行ったりすることができるようになります。

 2021年5月には、最新版のアンリアル・エンジン5の早期アクセス版が発表され、同年12月には、映画「マトリックス」の世界を舞台にした技術デモ「The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience」が公表されましたが、実写のようなリアルさに驚きました。
 なお、2022年4月にアンリアル・エンジン5の正式版がリリースされました。 


3. メタバースの分類

 メタバースは、民間企業など特定の組織によって運営される「クローズドメタバース」と、オープンで高度な自治によって運営される分散的な「オープンメタバース」に分類されます。

 メタ(旧フェイスブック)などの巨大IT企業が目指すメタバースは、クローズドメタバースになると予想されており、ユーザーの行動データなどを運営主体が独占的に使用することが懸念されています。

 一方、オープンメタバースの場合は、これらのデータの独占を避けられますが、ガバナンスを機能させることが難しく、メタバースが無法地帯になる恐れが懸念されています。


〇全体構成

【メタバース入門Ⅰ】
 1. メタバースとは何か
 2. メタバースを支える技術
 3. メタバースの分類 
【メタバース入門Ⅱ】
 4. メタバースの歴史 
【メタバース入門Ⅲ】
 5.メタバース実現に向けた企業の取組
 メタバース入門Ⅳ
 6. 代表的なメタバースサービスと始め方
【メタバース入門Ⅷ】
 
7. メタバースの課題と展望 

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